消費者からは好評な各社の新料金プラン

NTTドコモがオンライン専用でコストパフォーマンスが高い料金プラン「ahamo」を2020年末に発表して以降、KDDIの「povo」やソフトバンクの「LINEMO」、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」と、携帯各社が相次いで従来より安価な新料金プランを発表。携帯電話料金の引き下げが急速に進んだことで大きな注目を集めました。

そして各社が発表する数字を見ると、消費者の新料金プランに対する関心の高さを見て取ることができます。例えばNTTドコモは、ahamoは2021年2月5日時点で先行エントリーの登録者数が100万件を突破したと発表。2月28日時点では160万人を突破したとしており、同社の予想をはるかに上回るエントリー数を獲得しているようです。
NTTドコモは「ahamo」の先行エントリー数が、2021年2月末時点で160万人を突破したと発表している

NTTドコモは「ahamo」の先行エントリー数が、2021年2月末時点で160万人を突破したと発表している

しかもNTTドコモは、2020年12月に番号ポータビリティで約12年ぶりに転入超過になったことも明らかにしています。同社は2009年以降ずっと顧客が他社に流出し続けていたのですが、ahamo効果でついに流出が止まったというのは驚くべき変化といえるでしょう。

また楽天モバイルは、月当たりの通信量が1GB以下であれば月額料金が0円になる料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の発表以降、申し込み数が急増。新料金プランを発表した2021年1月29日時点では累計申込数が220万だったのが、2021年2月8日には250万を突破。さらに3月9日には300万を突破するなど、好調な伸びを示しているようです。
楽天モバイルは「Rakuten UN-LIMIT VI」の発表以降申込数が急増、累計申込数が2021年2月8日に250万、3月9日には300万を突破したという

楽天モバイルは「Rakuten UN-LIMIT VI」の発表以降申込数が急増、累計申込数が2021年2月8日に250万、3月9日には300万を突破したという

両社の数字はあくまで「先行エントリー数」「累計申込数」であり、実際の契約者数とは異なる点に注意が必要です。ですがそれでも、新料金プランが各社の勢いにつながっていることは十分伝わってくるでしょう。
 

値下げは業績悪化に直結、携帯以外の事業拡大が重要に

ただ一方で、携帯電話料金は携帯各社の収益の要でもあるため、低価格のプランを相次いで投入したとなると各社の収入が大幅に減ってサービス品質などに影響が出てしまわないか?という点が気になるところかもしれません。そこで重要になってくるのが、携帯電話以外の事業でいかに収入を増やし、携帯電話料金収入の減少を補えるかということです。

中でも携帯電話事業以外の事業を積極的に強化しているのがソフトバンクです。それを象徴しているのが、2021年3月1日にポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を有するZホールディングスと、「LINE」を有するLINEが経営統合し、LINEがソフトバンクの実質的な傘下企業になったことす。
ヤフーを有するZホールディングスとLINEは2021年3月に経営統合、両社はともに実質的なソフトバンク傘下となっている

ヤフーを有するZホールディングスとLINEは2021年3月に経営統合、両社はともに実質的なソフトバンク傘下となっている

Yahoo! JAPANは年間ログインユーザーID数が約8000万、LINEは国内月間アクティブユーザー数が約8600万と、いずれも国内で非常に多くの顧客を抱えるサービスとして知られています。それに加えてソフトバンクはアカウント登録者数3500万人のスマートフォン決済サービス「PayPay」も持つことから、国内有数の3つのサービスを連携してオンラインサービスの強化を進め、携帯電話以外の事業を強化しようとしている訳です。

KDDIも最近の業績を見ると、携帯電話以外の事業が成長のけん引役となっているようです。中でも同社が力を入れているのが金融事業。「auじぶん銀行」「auカブコム証券」など傘下に多くの金融会社を持つことから、スマートフォン決済の「au PAY」を軸にそれら金融サービスを連携して事業強化を図っています。
KDDIは2019年に傘下の金融関連企業を取りまとめる「auフィナンシャルホールディングス」を設立し、金融事業に力を注いでいる

KDDIは2019年に傘下の金融関連企業を取りまとめる「auフィナンシャルホールディングス」を設立し、金融事業に力を注いでいる

NTTドコモも同様に携帯電話以外の事業拡大を進めていますが、中でも同社が力を入れようとしているのが法人向けのソリューション事業です。2020年に日本電信電話(NTT)の完全子会社となったことでグループ内での再編が進められており、同じ完全子会社のNTTコミュニケーションズをNTTドコモの子会社にし、法人向けの事業をそちらに集中させて強化を図る考えを示しています。
総務省「公正競争確保の在り方に関する検討会議」第2回会合資料より。NTTはNTTコミュニケーションズをNTTドコモの子会社とし、法人事業を一元化することで強化を図る考えだ

総務省「公正競争確保の在り方に関する検討会議」第2回会合資料より。NTTはNTTコミュニケーションズをNTTドコモの子会社とし、法人事業を一元化することで強化を図る考えだ

ですが同社は、固定通信で圧倒的支配力を持つNTT東日本・NTT西日本を持つNTTの完全子会社となったため、公正競争上問題が出てくるのではないかと競合他社から問題視されています。そこで現在、総務省で公正競争確保のためのルール整備が進められている最中で、その結論が出なければ事業再編が思うように進められないのが悩みどころといえそうです。

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