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マンションVS戸建て 新築VS中古 買った人は実際どう検討したの?データで読み解く最新動向とは?

家を買いたい、でもマンションか戸建にするのか、新築中古にするのか、それとも土地を買って建てる注文住宅がいいのか迷いも多いもの。今回は、家を実際に購入した人たちについて国土交通省がまとめたデータをもとに、みんなどうしてる?をまとめてみました。

千葉 由里

執筆者:千葉 由里

マンションの買い替え・売却ガイド

家を買った人たちは、どんな検討をして、何を理由にその物件を購入したの?

マンション

マンションか戸建てか。はたまた新築か中古か。悩みは尽きないもの

家が欲しい。しかし、マンションにするのか、戸建にするのか、新築にするのか中古にするのか、それとも土地を買って建てる注文住宅がいいのか、など迷っている方も多いのではないでしょうか。
 
今回は、国土交通省の「令和元年住宅市場動向調査」から、「実際に家を購入した人が、マンション、戸建て、新築、中古など、どんな種別の物件を並行して検討したか」について、現場から見えた4つの傾向、そしてその家を選んだ理由は最終的に何だったのかを、調査データをもとに、住宅購入における最新の傾向を解説します。
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
グラフは「注文住宅」「(新築)分譲戸建住宅※1」「中古戸建住宅」「(新築)分譲マンション※1」「中古マンション」の5つの物件種別の購入者を対象に、購入時に、その物件種別にした理由を集計したデータです。

※なお、注文住宅は全国、その他の家のタイプは3大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)で集計した数字となっているため、データの地域比較における誤差は発生しますので、あくまで、大まかな傾向であることをあらかじめご了承ください。

※1:元データではそれぞれ「分譲マンション」「分譲戸建住宅」となっており、法令上は中古扱いとなる築1年を経過した新築未入居物件も一部含まれますが、ここでは分かりやすく解説するため、「分譲マンション」は「新築分譲マンション」、「分譲戸建住宅」は「新築分譲戸建て」と表記して解説させていただきます。
 

住まいの現場で感じた住宅選び4つの傾向

前回記事は上記データをもとに、「注文住宅」「中古戸建住宅」「中古マンション」「分譲戸建住宅」「分譲マンション」の5つの家を対象に、購入時、他に検討した住宅は何だったかについて解説しました。

ここからは、最新の住宅購入者の検討傾向を、筆者の経験も踏まえて大まかに4つ解説します。
 
1. とにかく新築! 物件見学も「新築限定」の新築「超」こだわり派
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
上記データは、中古住宅を選ばなかった理由についての調査データです。データにもあるように、中古を選ばなかった新築系物件の購入者の購入理由は「新築だから」が、一番目・二番目にあがる大きな理由となっています。

日本人は概してきれい好きなせいか、世界でも類を見ないほど新築志向が強い、とよくいわれています。

先にあげた「比較検討した住宅」の図版からもわかる通り、新築物件間の平行検討率が最も高く、せっかくなら新築にこだわって探すという層が、購入検討では最も多い傾向になっています。
 
また新築物件は、「住宅ローン控除」や、コロナに対応した「すまい給付金」などからもわかるように、税制面でのさまざまな優遇措置があり、日本の住宅政策がこれまで新築中心だったことにも起因しているといえそうです。
 
2. 戸建てへの強いこだわり
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
上記の図は、戸建住宅の購入者を対象に、購入時に、併せて比較検討(平行検討)した物件種別のデータです。

このデータを見ると、「注文住宅」を購入した人のうち、27.5%の人が「新築分譲戸建て」を、16.6%の人が中古戸建てを検討しており、あわせて約半数が戸建て間での平行検討です。新築分譲戸建て検討者も、約半数の45.6%が注文住宅検討、中古戸建て検討が19.5%とあわせて約7割が戸建間での平行検討と、データからは戸建て購入者の「戸建てへの強いこだわり」が見受けられます。
 
実際に、家探しの現場でも、小さなお子さんがいるご家庭はとくに、階下などへの騒音を気にすることなく、子供に毎日をのびのび過ごして欲しいという強い思いで「家族のため」を理由に戸建てを購入する方々が最も多く見受けられました。

一方で、もともとマンションで暮らしていたものの、騒音・ゴミ・近隣住戸とのトラブルなどを経験し、戸建志向が強まった方々も一定数いらっしゃいました。
 
分譲マンションは、新築時は管理面で大きなトラブルがなくとも、年数が経過するにつれ、管理組合の運営や、修繕、建て替えなど、所有者同士で話し合って解決していかなければならないことが多くなったり、物件内で起こった事件・事故が資産価値に影響したりと、集合住宅ゆえのリスクがあります。

そういった理由から、マンションから戸建てへの買い替えを検討するケースが多々ありました。

もちろん戸建てにも戸建てなりの大変さやトラブル、リスクはありますが、マンションと戸建の大きな違いは、マンションは一つの建物を同時に多くの人が所有するということで、何を決めるにしても、お互いに協議し、気遣い、折り合っていく必要があるということです。

そのハードルが非常に高いと感じ、長い目で見て、シンプルに自分でなんでも決められる戸建にしたい!というのが買い替え層の本音のようでした。

また昨今は、コロナの影響での「おうち時間」や「テレワーク」の増加で、戸建てを検討される方も増えてきているため、令和2年以降のデータでは、戸建志向が一層顕著になる結果が出るかもしれません。
 
3. とにかく立地派。ミクロな立地にこだわって探す立地最優先派
一番種別にこだわりなく、賃貸物件も含め、種別を幅広く検討するのが、立地最優先派。その地域に住むために、すべての物件を並行して検討します。

もちろん、その地域が気に入っているから、という方もいらっしゃいますが、子供の学校のため、親の介護のためなど、どうしてもそこに住まざるを得ない、という方々も少なからずいらっしゃるようです。

上記データでどの物件種別でも、広く薄く他種別に検討がまたがっているのは、ミクロ立地派の影響があると考えられそうです。
 
4. 近年ますます増加中? 自分好みにリノベーションしたい中古リノベ派
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
最近増えていると感じるのが、リーズナブルな中古物件を購入して、自分好みにリフォームやリノベーションをする中古リノベ派。欧米などでは最も一般的な中古リノベ派ですが、新築物件志向の強い日本ではまだまだ少数派でした。
 
たとえ戸建てでもマンションでも、価格がリーズナブルな「中古」であれば、先のデータからも種別は問わない傾向にあるようです。
 
実際に中古を選んだ理由に関するデータをみてみると、一番の理由が価格のリーズナブルさ、三番目に「リフォームによって快適に住めること」が理由になっています。
 
とくに昨今は、物件探し(仲介)から内装工事まで、ワンストップで対応する、リノベーション専門会社も数多く登場しています。

まるで注文住宅であるかのように、内装は新築同様で、かつ自分のこだわりを反映した家にできるとあって、強い中古リノベ志向で物件探しをする人が増えてきています。

なかには、モデルルームならぬ体験型ショールームを備えた会社も登場し、内装をよりイメージしやすくなったり、またコスト抑えるため、友人や家族と壁塗り、床張りなど工事の一部を自分たちで取り組んだりできるプランなど、リノベ施工の選択の幅が広がっているという背景もあります。
 

購入する際、その物件を選んだ理由は何だったのでしょうか?

最後に、戸建、マンションそれぞれで今住んでいる物件を選んだ決め手を聞いた調査データを紹介します。
 
1. 戸建て
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
・注文住宅は、「信頼できる住宅メーカーだったから(49.4%)」と住宅メーカーが決め手のポイントになっています。
・新築分譲戸建住宅は、「一戸建てだから(56.2%)」「新築住宅だから(53.8%)」が決め手のポイントになっています。
・中古戸建住宅は、新築戸建住宅と共通して「一戸建てだから(56.5%)」が決め手であるものの、新築と比較すると「価格が適切だったから(57.2%)」がより大きな決め手のポイントとなっていることがわかります。
 
同じ戸建でも、注文住宅のみ、新築分譲戸建、中古戸建住宅と決め手理由が異なりますが、注文住宅の購入者にとっては「ハウスメーカー選び」が最も大きな決め手ポイントとなることがうかがえます。
 
2. マンション
国土交通省令和元年「住宅市場動向調査」
新築分譲マンションは、「立地環境の良さ(61.3%)」「新築だから(61.0%)」が決め手の大きなポイントとなっているようです。

マンションは、戸建に比べると、駅近立地のことも多く、通勤・通学、買い物など、生活上の利便性の高さが、決め手のポイントとなっているといえそうです。
 
以上、住宅購入の最新傾向と、その住宅を選んだ理由についての調査データを紹介しました。

住宅選びは様々な選択肢があり、優先順位付けも人それぞれ。平均的にはどのような検討を行っているかを本記事では紹介しました。もし検討したことがなかったということがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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