子育て

人一倍「繊細な子」に親はどう関わる? 心の回復力を高める要素4つ

すぐに凹む敏感な子は、感受性が豊かな優しい子が多いもの。「立ち直る力=レジリエンス」を育み、自信をもって力を発揮できる子に育つようサポートしましょう。たとえ壁にぶつかり倒れても、その都度立ち直り、その子らしく生き生きと歩き続ける力を育みたいですね。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

<目次>

凹みやすい「敏感な子」は感受性がとても強い

人一倍「繊細な子」に親はどう関わる?

すぐに凹みがちな子に「レジリエンス=立ち直る力」を育みましょう

些細なことのように見えても、すぐに凹んでしまう子がいます。例えば、お友達のちょっとした仕草や表情から「自分は嫌われている」と落ち込んだり、学校で先生から少し注意されると「自分はダメな子だ」と深刻に捉えてしまうのです。そうした子どもの様子を前に、親として「こんなことで凹むなんて、この先、この子は大丈夫かな」と心配になることもあるでしょう。
 
すぐに凹みがちな子は「感受性の強い敏感な子」である場合が多いものです。大多数の子が特に気にも留めず通り過ぎてしまうような物事にも、強烈に感じ入り、繰り返し考え続けてしまうため、周りの子より深く傷ついたり、ネガティブな気持ちを長い間引きずってしまいます。
 

 困難を跳ね返し立ち直る力「レジリエンス」とは?

こうした”人一倍”凹みやすく感受性の強い子に育みたいのが「レジリエンス」です。レジリエンスとはもともと物理学の分野で「外力による歪みを跳ね返す力」という意味で用いられていました。心理学では「困難を跳ね返し立ち直る力」とされています。

また、50年近くの研究を通し分かっているのは、レジリエンスは”後天的に育んでいくことができる”ということです。
 
すぐに凹んでしまう子には、「そんなことでくよくよしないの!」「すぐに泣くなんて情けない!」などと感情を表すことを否定するのではなく、凹んでもその都度立ち上がる力を培いたいものです。すると、感受性豊かな性質にも自信をもち、より自分らしく生き生きと力を発揮できるでしょう。
 

敏感っ子はレジリエンスを育みやすい

ハーバード大学小児発達センターによると、「高度に敏感な(Highly Sensitive)」子ほど、レジリエンスを育む働きかけに著しく効果的に反応するといいます(*1)。これは、敏感な性質について理解すると、納得できるでしょう。
 
敏感な子は、ネガティブなことにもショックを受けやすいですが、ポジティブなことにも大いに感動するなど強く反応します。つまり、周りの物事全般をまるで「吸い取り紙」のように吸収し、より大きく影響を受けるといえます。

では、レジリエンスとは、具体的にどのようなもので、どのように育むことができるのでしょうか? 様々な学説や方法がありますが、ここでは、米国心理学協会があげる次の「4つの要素」をみてみましょう(*2)。
 

立ち直る力を育む要素1:親子、他者との温もりある信頼関係

多くの研究が、レジリエンスに最も大切な要素は、「周りの1人とでも温もりある信頼関係を築くこと」としています。確かに、たとえ困難にぶつかり落ち込んでも、頼ることのできる温もりある関係に恵まれるならば、その子は再び立ち上がることができるでしょう。

子どもの年齢が低いほど、最も大きな影響を受けるのが親子関係です。ですからまずは、日々の関わり方を通し、子どもが「ママ・パパは味方になってくれる」と感じられる温もりある信頼関係を親子間に築きたいものです。

とはいえ毎日四六時中顔を突き合わせていれば、我が子にイライラしたりカチンとすることもたびたび起こるでしょう。そんなときは、自分の子どもを置き替えて「大切に思う友人」などを思い浮かべてみるのも方法です。そんな友人に対してならば、例えば、頭ごなしに従わせようとはしないでしょうし、何か失敗しても「何やってるの!」と怒りをぶつけ咎めることもないでしょう。なるべく相手の思いや気持ちに耳を傾け、話し合いを通し物事を共に進めていくはずです。

子どもも、自らの思いや気持ちを尊重されると感じることで、相手への信頼感を育むことができます。大切に思う友人をイメージすることで、子どもとの間により適切な距離感を見出していきましょう。
 

立ち直る力を育む要素2:心身の健やかさ、ウェルネス

身体をいたわりましょう。身体の健やかさは心の状態に影響します。適切な栄養、十分な睡眠、適度で定期的な運動を心がけ、ゆるやかな生活リズムの繰り返しにより、心身は健やかに保たれます。生活が乱れ体調が優れないならば、心の回復力も発揮することが難しいものです。

また、ひとつひとつの動作を丁寧に心をこめて行いましょう。ストレス低減に効果的とされるマインドフルネスを実践するのも方法です。例えば、より心を込めて意識的にひとつひとつの動作をしてみます。何かを食べるにしても、舌の上の食材の感触、飲み込もうとする衝動などをより丁寧に感じてみましょう。

身体の感覚にフォーカスすることで、普段考え事でいっぱいになりがちな頭の中がすっきりすることがあります。
 

立ち直る力を育む要素3:取り組む目的を整理して見出す

何かがうまくいかないとき、その取り組みの目的について話し合ってみるのもいいでしょう。例えば、自転車をなかなか乗りこなせず落ち込んでいる場合は、乗れるようになったらどんなに楽しいことがあるかについてアイデアを出し合ってみます。

「お兄さんお姉さんと一緒に走ることができる」「遠くまでお出かけができる」などといったアイデアが浮かぶでしょう。目の前に立ちはだかる壁も、その先へと進む目的を思い出すことで、より勢いよく乗り越えていく意欲がわきあがります。
 
壁にぶつかったら、「今、何ができるかな?」とアイデアを出し合ってみましょう。そしてひとまずの目標を立てます。目標が大き過ぎたり、はるか先に感じるようならば、目標までの道程をより細かく分けましょう。

例えば、ピアノの曲をマスターすることを難しく感じて凹んでいる場合は、数日ごとに数節弾くことができるようにするといった目標を立ててみます。達成しやすくすることで、行動へと踏み出しやすくなります。
 

立ち直る力を育む要素4:ネガティブな気持ちを疑い、健やかな思考へ

resilience

凹んでいる理由について「本当にそうかな?」と話し合ってみましょう

何かがうまくいかない理由について「本当にそう?」と確認してみるのも方法です。物事をどう捉えているかによって、湧きあがる感情は異なるものです。

例えば、「子どもが宿題をしないのは怠惰」と親自身がイライラする場合、宿題をしないのには、他に理由があるかもしれません。授業の内容がよく分かっていないこともあるでしょう、逆に簡単すぎることの繰り返しに閉口しているのかもしれません。イライラの理由について話し合い、見直すことで、より効果的な解決策が見えてきます。

明確ではないことについては、ひとまず「分からないまま」にしておくのもいいでしょう。例えば、お友達が会話の中で使った言葉や仕草について「自分のことが嫌いに違いない」と子どもが落ち込んでいる場合、「決めつけず、ひとまず保留箱に入れておこうね」と話し合います。そして、お友達に手紙を書いたり、お出かけに誘ってみたりと、ポジティブな関係を築くための行動を起こすよう励まします。初めから悩み思い込み諦めるより、お友達との関係もより良い方向へ向かうことがあるでしょう。

人生では困難や逆境に出あうこともあるものです。スグに凹みがちな敏感な子だからこそ、たとえ壁にぶつかり倒れても、その都度立ち直り、その子らしく生き生きと歩き続ける力を育みたいですね。
 
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【参考資料】
・*1:'InBrief: The Science of Resilience' Center on the Developing Child, Harvard University
https://developingchild.harvard.edu/resources/inbrief-the-science-of-resilience/
・*2:'Building your resilience' American Psychological Association
 https://www.apa.org/topics/resilience

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