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All About Japan編集部「世界のSDGs特集」とは?

現在、193か国が2016年から2030年の15年間で、SDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)という目標が設定されました。さまざまな社会課題に「とも(コレクティブ)に動く(アクション)」を目指し、コレクティブインパクトの手法で、社会実装を実現していきたいと考え、All About Japan編集部は「世界のSDGs特集」を作りました。

今回は、SDGsの「食品ロスゼロ」に注目します。世界の貧困地域で飢餓が発生している一方で、先進国では食べられる食品が大量に廃棄されているという現状を解消する必要があります。各国と地域の食ロス取り組みを紹介することを通して、日本に生活している人々にも普及啓発をし、目標と達成と食品ロスゼロの実現に推進することができれば幸いです。

特別な「中国式」食事習慣

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中国のレストラン

まず、中国で、他の国と違う食事の文化があります。日本の場合、食事に招待された際にはゲスト側が残さず完食することが礼儀正しいとされます。一方中国は昔から招待する場合、「ゲストさんが完食する場合は料理が足りなくて満足できなかった」という認識が一般的です。この常識があるため、中国でレストランや家で招待された場合、料理は少しだけでも必ず残っています。そうすると、招待する人も招待された人も安心です。
 
もちろん、「メンツ」を重視する中国人にとって、たくさんの贅沢料理を準備することは、自分がいい生活をしていることを示す方法の一つも言えます。このような習慣がある国において、食品浪費の規模も大きいです。最新のデータ(2020年8月)により、中国で一年間浪費された食品は約800万トンで、約2億人の一年間の食品総量相当な量です。

対策:民間から、最初の「光盤行動」

中国で、食品ロス対策と言えば、「光盤行動」の知名度が一番高いでしょう。多くの人が知らないのは、「光盤行動」の発端は政府ではなく、民間集団だということです。2013年1月、「IN_33」という公益社団は、「从我做起,今天不剩饭(私から始めて、今日の食事、残りはありません)」というスローガンをつくって、インターネットを経由して食品浪費しない呼びかけをしました。多くの人が応じて、この活動はどんどん大きくなり、影響力がだんだん増え、北京をはじめ、全国で広がっています。「光盤行動」は、2013年の中国十大流行語の一つとなりました。
Weiboで投稿した光盤写真(@林梦驹)

Weiboで投稿した光盤写真(@林梦驹)

「光盤行動」の意味は、「皿にある食べ物を残さず、きれいに食べ尽くす行動」です。このイベントを展開するとともに、「IN_33」団体はたくさんのポスターを配り、多くのレストランは店内でポスターを貼り付け、メニューの中に「光盤行動」のスローガンも添付しました。その後、「光盤族」という名前が誕生し、それは、「光盤行動」に応じる人たちの共通のあだ名です。当時、「光盤族」たちは、完食後のきれいなお皿の写真を撮って、SNSで発表することが流行していました。

 

コロナ危機中:再びの「光盤行動」

2020年の初め、新型コロナウイルス感染症拡大の原因で、中国の各地での経済は大きな打撃を受けていました。1月の月末から3月の中旬まで、ほぼ中国本土の各業界すべて「一時停止」の状態でした。それは第二回目の「光盤行動」が発生する背景です。2020年4月、「地球の日」を迎えるきっかけに、中国共青団中央の公式アカウントは中国版のTwitterと言われる「weibo」で「2020重启从光盘做起(2020年のリスタートは光盤から)」という話題を作り、地球を守ることと経済を回復するために、食品浪費を止めることをまずやろうという呼びかけがSNSで拡散していました。各地の高校や大学なども、それに応じて、「光盤」というキーワードをめぐり、様々なイベントを開催しました。
 
「2020年のリスタートは光盤から」ポスター(共青団中央の公式アカウントより)

「2020年のリスタートは光盤から」ポスター(共青団中央の公式アカウントより)


2020年8月、習近平国家主席が、「誰知盤中餐、粒粒皆辛苦(皿の上の1粒1粒が、人々の苦労のたまものだと、誰が知っていることか)」という中国の詩を引用し、新聞紙『人民日報』を通じて「重要指示」を発表しました。「指示」により、「浪費は恥」という雰囲気も全国で出てきています。その後、中国中央テレビ局の番組で、「大食い」動画やライブ配信をめぐり様々な問題を報道し、「误导消费,浪费严重(消費者をミスリードし、浪費現象が深刻で)」というコメントも付きました。中国版TikTokをはじめ、中国の各動画プラットフォームですぐに「大食い」に関する映像の再審査を始め、過食、食べるふり、嘔吐、または過度の食事の宣伝をする内容を発見されたらそのデータを削除し、代わりに「文明吃播,珍惜粮食(いい飲食ライブを放送、食べ物を大切にする)」)の文字が現れました。
 
これが「突然」大食い映像が中国各プラットフォームで消えた原因です。

完食行動だけで十分?

「大食い」動画や映像に対する再審査だけでなく、各地方政府、各業界は様々なイベントや活動を開催しています。例えば、中国の食配サービスアプリ「餓了麼(ウーラマ、Ele.me)」の公益部門「RELAB」は食品ロス対策として、いろいろな公益イベントをデザインしました。「食品浪費ゼロの大作戦」はその中の一例です。2020年9月1日~10日の間に、Ele.meは、国連食品農業機構の中国代表オフィス(China Permanent Representation to UN Agencies for Food and Agriculture)と提携をし、プラットフォームで小盛り料理を発売しながら、様々な「食品浪費ゼロ」キャンペーンをしました。イベントに参加した37,000軒のレストランをプラットフォームで集中的に宣伝した一方、積極的に小皿料理を注文したユーザーたちの数を計算し、中国貧困緩和財団(China Foundation for Poverty Alleviation)「ラブミール」プロジェクトではその数に対応した66,000の「ラブミール」を寄付しました。食品浪費を止める一方、食品の再分配も実現できたので、たくさんのいい評価を得ました。
 
「餓了麼」の公益部門「RELAB」

「餓了麼」の公益部門「RELAB」

 

ミッションコンプリートではない

広い中国で、さまざまな対策や行動を行っていますが、2021年3月10日、中国ネット上で有名なインフルエンサー「泡泡龙(泡泡竜)」さんが死去したことがニュースになりました。この29歳の方は、体重160kgで、元シリーズ大食い動画の主人公でした。大食い動画が禁止されてから大食い動画制作をやめましたが、ある「詐欺防犯」の公益動画を撮影した後、急死しました。この悲しいニュースから、中国はまだまだ途上にあります。 

 
ライブ配信中の泡泡竜さん(生前)

ライブ配信中の泡泡竜さん(生前)

 
要するに、中国の食品ロス政策と行動は他の国と違うところが多いでしょう。これは中国式のやり方です。これからも食品ロスをめぐる政策や指示も出るはずです。時間をかけて、中国で新しい文化と生活習慣は必ず生まれると考えられます。 
 
執筆者:王 黛青(All About Japan 簡体字 編集リーダー)
 
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