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All About Japan編集部「世界のSDGs特集」とは?

現在、193か国が2016年から2030年の15年間で、SDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)という目標が設定されています。様々な社会課題に「とも(コレクティブ)に動く(アクション)」ことを目指し、コレクティブインパクトの手法で、社会実装を実現していきたいと考え、All About Japan編集部では「世界のSDGs特集」の記事を作りました。
 
今回のテーマは、SDGsの「食品ロスゼロ」に注目します。世界の貧困地域では食品が足りていない一方で、先進国では食品が大量に廃棄されているという現状を解消する必要があります。各国の食品ロスゼロへの取り組みを紹介することを通して、日本に生活している方へのヒントになり、目標の達成と食品ロスゼロの実現に推進することができれば幸いです。
 

①タイの食ロスの現状は最良と言えない

 
タイ

タイでよくある路上果物屋。食べる分だけ購入できる。

SDGsの「目標12 ターゲット12.3」によると、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させる記載があります。タイの天然資源・環境省はすでに小売業、生産業と手を組んで、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる取り組みを行っています。1年ごとに5%減少、2025年までにはタイ全体25%減少させる目標が立っています

現在、タイのリサイクリング事情はまだ先進したとは言えません。各自治体のごみ回収・リサイクリング・分別の事情は自治体それぞれで違っていて、各自治体の差がとても大きく統一した感覚はありません。タイの天然資源・環境省、公害監視局によると、タイでは食品ごみを含む有機物生ごみの産出量は年間一人当たり254kgだと言われています。SDGsの目標を達成するためには現状難しいです。政府と小売り大企業の協力だけでは足りると考えられず、地方自治体、国民、一般家族の協力も必要です。それだけでなく慎重に少しずつごみ処理とリサイクルの仕組みを推進させるだけは足りないかもしれません。その現状と必要性がある今だからこそ、おもしろいごみの処理方法が生み出されるのです。
 

②ミミズ処理法や三輪車リサイクル屋さんなど。それぞれの人、地方の必要性から生まれたおもしろいごみ処理法

 
タイ

自宅の前から当日の調理に使う分だけ生野菜が購入できるタイの移動八百屋さん。Sry85, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons

資源、制度、ルールなどの整備が足りなかった代わり、タイでは開発途上国なりのクリエイティビティがあります。タイの様々なおもしろいごみ処理法の例を紹介したいと思います。
 

ミミズ処理法で食品ごみを肥料にする

ナーケー郡、ナコーンパノム県ではミミズを使った生ごみの処理を自治体レベルで行っています。対応ごみの分類はほとんどの生ごみと家庭の食品ごみです。そのため食ロスの対応の一つにもなります。実施しているのは自治体だけではなく、自治体から必要なツールと材料とミミズをもらい、自分の家庭で行った家族も少なくありません。おまけとして、ミミズによる生ごみ処理の後はオーガニック肥料になります。

こういうミミズなどを使って食品ごみを別のものにするのは実はいくつかの種類がありとても幅広いです。十分広い土地がある場合は、食品ごみを軽く埋めて、悪臭防止し、太陽と土に働かせる方法もあります。有用微生物群(EM溶液)を利用して処理を早くすることも多くあります。農家の割合がとても多いタイの地方自治体には、こういう肥料にする食品ごみの処理法は最適な一つの方法かと考えられるでしょう。
 

リサイクルデリバリー「サーレーン」

食品ごみではないですが、タイの最も派手でおもしろいリサイクル方法は家庭までごみを買ってくれるリサイクルデリバリ―自転車「サーレーン」です。

サーレーンとは中国語から借りた言葉「三輪車」という意味。サーレーンと言うのは大きい荷台付きの自転車または原付バイクのような乗り物を呼ぶ言葉です。荷物を乗せるだけではなく、人を乗せる交通手段として使うこともできます。荷台がサイドカーのように位置するタイプもあり、荷台が車の前に位置するタイプもあります。

サーレーンの種類はとても多く、日本人の目から見ると「おもしろい」から「路上を走って違法じゃないのか」までの反応が得られます。サーレーンをどのように、どんな事業、どんな商売に使うのはもちろん自由です。

しかし、ごみの回収事業・リサイクル事業に使われる場合はとても多く、タイ人にとっては、サーレーンと言えば「リサイクル屋さん」のことです。このおもしろい荷台付きの乗り物で街中を走り回って、ごみを無料で回収したり、安く買ったりする場合もあります。サーレーンのリサイクル屋さんたちは間違いなく、タイのリサイクルを支えている静かなヒーローです。
 

③マラソンなどリサイクルと関連のない場面でアピール


タイ

食品ごみを肥料にする

もちろん、どれだけ発達したごみ処理のシステムがあっても、SDGsの目標を達成させるには、タイ国民の食品ごみ処理法とその他のリサイクルへの興味関心を高めていく必要もあります。そのため、ごみ処理とリサイクル技術関連の教育は様々な機構が行っています。これは政府、教育機関などに限らず、意外と民間企業までもよく協力してタイ国民のごみ処理への好奇心を高めています。

民間企業の例では、家庭ごみ処理機の製造者です。もちろん民間企業のため、どうしても利益は目的です。そのため、食品ごみ処理の重要性と家庭ごみ処理機の必要性がわからないタイ人を相手に商売をするにはアイデアが必要です。

例えばOKLINという家庭食品ごみ処理機の製造者は、様々なおもしろいキャンペーンで、タイ人にごみ処理機の使い方と必要性を見せています。ごみの量が多いマラソン・スポーツイベントで家庭ごみ処理機を設立して、マラソン参加者に食品ごみの分け方を教えて、自分自身にごみ処理機に入れさせる取り組みなどを行っています。簡単な体験ですが、ごみ処理機の存在を知らなかった人にとってはかなり良いきっかけになったことでしょう。
 

④クリエイティビティと個人個人の参加が大事でしょう


タイ

一人分の料理スキルを極めるも理想の世界のため

日本ではちゃんとしたごみ管理の制度が定められ、処理方法もかなり統括されています。自治体と家庭の役割分担もタイより十分はっきりしています。これはタイより進んでいると言え、どちらかというとタイ人として日本から学びたい気持ちです。

しかし、早く進化する世界の中には、積極性と柔軟性は必要でしょう。開発途上国の国民として、物足りないこと・ちゃんと決まっている制度がない時、自治体が対応していないことがあれば、自分たちでどうにか対応するのは開発途上国民の強みです。

日本にこういうことを適用するなら、まずはみんなそれぞれ、自分が担当している範囲を見てできることを考えてみるのは大事でしょう。

例え自治体の発達したごみ制度があったとしても、その通りに対応して終わるだけではなく、自分も積極的に新しい食品ごみの削減方法を考えてみてはいかがでしょう。自分自身しかできない、制度の効果を超えることがあるはずです。例えば「食べきれないぐらい多い料理を作らない、一人暮らしの適量の料理を作る方法を勉強しよう」とか、これは簡単に見える方法かもしれませんが、気づかない人もまだ多く、そして実施できると、自治体のごみ処理以外の効果が発生するでしょう。

みんな自分の家庭の中だけでも良いので、積極的にクリエイティビティのある食ロス削減方法を一緒に探して試していけば、世界は少しでも良くなるでしょう。都会の家庭、地方の家庭、大家族、一人暮らし、みんなそれぞれのできることが見つかるはずです。

執筆者:ラチャウット(All About Japan タイ語編集リーダー)
 
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