お金の悩みを解決!マネープランクリニック/40代独身の人のお金の悩み

47歳独身・実家暮らし。両親が亡くなった後、一人で住む家をどうすべきか悩んでいます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、同世代よりも貯金が少ないことで悩む47歳の会社員女性です。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 趣味を楽しみながら、10年先のために貯蓄を頑張る

ご家庭のご事情はわかりました。ご実家の抵当が外れるまでは、建て替えは難しいでしょう。現状維持で同居を続けられるのがよいと思われます。中古マンションを購入するよりも、ご自身の貯蓄を増やすことが優先です。毎月貯蓄がしっかりできていますので、趣味を楽しむためにも、今一度、収支を整理して、ご自身の老後資金をどのくらい準備できるのか把握しておくようにしましょう。
 
ご相談者がストレスをためずに健康で過ごせるのは、趣味があるからでしょう。その趣味にかかるお金はこれまでどおりで構いませんが、年間の上限は決めるようにしましょう。現在、趣味娯楽費と雑費で毎月9万円、年間で108万円です。これにボーナスからの支出を加えて年間120万円。これを上限と考えてみてはいかがでしょう。それ以外の毎月の支出は現状維持で大丈夫です。ただし、ボーナスで毎月の生活費を補てんするのは好ましくありません。その分だけは毎月の支出を整理してみてください。
 
毎月8万3000円の貯蓄とボーナスから10万円程度の貯蓄ができれば、年間で110万円貯めることができます。60歳になるまでの13年間で1430万円です。これに、現在の貯蓄430万円、投資330万円を加えると2190万円です。さらに退職金100万円を加えれば2290万円となり、これが老後資金のベースとなります。
 
趣味を楽しみながら、ここまで貯められたら、ひとまず安心できるのではないでしょうか? 無理をして副業をしなくても、しっかりと家計管理をして貯蓄を増やせるよう頑張ってください。ストレスで買い物に走ってしまっては元も子もありませんから。
 

アドバイス2 65歳までは収支トントンになるような働き方を

65歳まで再雇用制度があり、仕事が続けられるのであれば、給料が今より減ってしまっても続けてください。収入が減り、貯蓄はできなくなるかもしれませんが、収支トントンの生活ができればいいでしょう。60歳から65歳まで個人年金があり、年間50万円受け取れます。収支がトントンであれば、まるまる貯蓄に回すことができ、5年間で250万円を老後資金に上乗せでき、都合2540万円になります。
 
また、終身年金は60歳で払込み終了し、年金で受け取るとのことですが、もし解約すれば返戻金465万円が受け取れますから、65歳時点では約3000万円を老後資金として残せる計算になります。
 
65歳からは、公的年金と個人年金で年間約190万円の収入に対して、支出は保険料の払込みがなくなり月15万円程度になると年間で180万円です。65歳からも計算上は収支トントンで生活できるでしょう。
 
ただ、趣味にどれぐらい使うかにもよりますし、この頃には実家の固定費などの負担もあるでしょう。ある程度、貯蓄からの取り崩しはやむを得ません。ですが、現時点での試算では、公的年金を70歳に繰り下げる必要はなく、老後に金銭的に困ることは基本的にはないでしょう。
 

アドバイス3 実家に住み続けることを念頭に親、弟と話し合いを

ここまでは、ご実家に住み続けることを前提に話を進めてきましたが、借入額1400万円の返済が滞りなく続けられるかが懸念材料になります。弟さんに確実に完済してもらうことが何よりも重要ですが、完済したあと、ご実家をどうするかも話し合いをされておくといいでしょう。
 
万一、ご両親に今後介護が必要になり、施設入居された場合、ご両親の年金などで賄えればいいですが、不足した場合、ご実家の売却なども視野に入れなければならないかもしれません。また建て替えは無理でもバリアフリーなどの修繕・リフォーム工事は必要になるかもしれません。こうした費用について、どのように負担するのか、また実家の相続はどう考えるのかで、ご相談者の住まい方も変わってくるでしょう。実家を売却すれば、家賃負担が発生し、貯蓄からの取り崩しが多くなってしまいます。相続時にご両親に金融資産があまりなく、実家のみとなると、相続でトラブルに発展しかねません。
 
ご相談者は、将来的なこともお考えになっておられるようですので、できれば親御さんを交えて、弟さんと十分に話し合いをされておかれるといいでしょう。
 
保険については、個人年金を一括で払込みをしても大丈夫ですし、このまま払い続けてもいいです。どちらでも老後資金に大きな影響はありません。一括で払込みをした場合、毎月の保険料支払いはなくなりますが、その分は貯蓄に回すなど支出の管理はなさってください。また、医療保険に新規で加入する必要はありません。何かあれば貯蓄で対応できます。
 
貯蓄と投資のバランスについては、やや投資の比率が大きいように思います。iDeCoとつみたてNISAはこのまま継続し、積み立てを中止している投資については、頃合いをみて売却してもいいでしょう。流動性のある預貯金の割合を増やしておくことも大切です。
 
一人でいろいろと考えないといけなく、大変なお気持ちになるかもしれませんが、悩みを抱え込まず、ご家族で話し合われてくださいね。にゃんとも笑顔さんご自身は、できるだけストレスをためずに、長く働けるように健康第一で過ごしてください。
 

相談者「にゃんとも笑顔」さんから寄せられた感想

深野先生からのアドバイス、じっくり読ませていただきました。まずは自分の現在の方向性が大きく間違っていることはないということがわかり、そのことに大変ホッとする思いがいたしました。 一人で考えているとどうしても不安のほうが大きくなり、何から手を付けてよいのかもわからなくなってしまっていたところ、もっといろいろと厳しいご指摘を受けることも覚悟しておりましたが、深野先生の冷静・的確でありながら、温かく親身なアドバイスをいただけたことで、漠然とした不安が一つ解消され、将来に向けてこれまでより前向きな気持ちで取り組んでいけそうな気がしております。思い切って相談させていただいて本当によかったなと思いました。今後は先生にいただいたアドバイスに従って、まずは現状の貯蓄ペースを維持すること、マイナス分について早急に支出の見直しをすること、また、両親・弟ともなるべく早いうちに今後についての話し合いの機会を持てるようにしたいと思います。そしてできるだけ長く働けるよう、これからもストレスや健康に気を付けながら頑張っていきたいと思います。この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。深野先生もどうかお体に気を付けて、さらなるご活躍をお祈り申し上げます。



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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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