亀山早苗の恋愛コラム

「もう続けられない…」。コロナ禍で不倫をあきらめる人、続ける人

現在、11都府県が緊急事態宣言下にあるが、その最中にも不倫の関係で悩んでいる人たちは続出している。一方で、「もう続けられない」と別れを決意するカップルも。続ける人、あきらめる人、その分かれ目はどこにあるのだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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不倫の関係を続ける人、あきらめる人

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現在、10都府県が緊急事態宣言下にあるが、その最中にも不倫の関係で悩んでいる人たちは続出している。一方で、「もう続けられない」と別れを決意するカップルも。続ける人、あきらめる人、その分かれ目はどこにあるのだろう。

 

出張先の大阪で、同じホテルで…

「3年近くつきあっている彼がいます。お互いに家庭がありながらも、なんとか続けていきたいとがんばってきた。2度の緊急事態宣言が出たからといって別れるなんて考えたこともありません」

そうきっぱり言うのは、マホさん(42歳)だ。相手は学生時代の恋人だったトオルさん。卒業と同時にうやむやになってしまった関係だったが、4年前に新幹線のホームでばったり会った。

「それぞれ大阪に出張だったんです。大阪までずっとしゃべり通しで楽しかったんですが、大阪で別れたあと、なぜこのタイミングで彼に出会ったのか考え込んでしまって。ふたりとも一泊だったのですがホテルは知らせていなかった。深夜、彼から電話がかかってきて話したら、なんと同じホテル。バーで飲んで、お互いに結婚して子どももいることがわかったけど抑止力にはならなかった」

出張先だから気が緩んだだけ、学生時代の恋が完結した、トオルさんとのことはこれで思い残すこともない。一時はそう考えたという。

「でも違っていたんです。私たちは、再度、恋をしてしまった。離れていた15年間のお互いのことを知りたくて、そして今、何を考えているのか知りたくて会わずにはいられなかったんです」

マホさんは現在、3歳年上の夫と11歳、7歳の子、実母と一緒に住んでいる。共働きなので夫とは常に連絡をとりあい、なるべくどちらかが夕飯に間に合うように帰宅するのが約束事だ。

「もともと私は残業が多かったんですが、コロナ禍で残業が減りました。出社しなくていい日もある。そんなとき家族には出社だと言って彼に会っています。後ろめたさはあるけど、彼との関係を続けたい気持ちが強い。彼も同じ気持ち。図々しいのはわかっていても、他人にとやかく言われたくないとも思っています」

彼女からは自分の身を守っている感じが伝わってくる。ハリネズミのように、外に向かって棘を出すしかないのだろう。10年、20年と不倫の恋が続くケースもある。お互いの強い意志が恋を続けていく要因になることは間違いない。

 

恋する気持ちが不意に途切れて

一方、つい最近、彼との関係を解消したと話してくれたのはエリさん(44歳)だ。結婚15年、中学2年生になったひとり息子がいる。

「パート先の上司と関係をもってしまったのは1年前。まさに新型コロナウイルスという言葉を聞き始めたころでした」

小学校卒業間近の息子は急に大人びてきて、ここまで大きくなったんだなあという感慨があった。一方で、夫との関係は良好とはいえなかった。

「夫は気むずかしいところがあって、子どもが生まれてから私にはまったく自由がありませんでした。ママ友とのつきあいも夜は絶対にダメ。実家に戻るのは年に1回だけ。3年前、パートに出るときも『家事に支障がないように』と釘を刺されました。だから仕事先の飲み会などもいっさい参加していません。そういうストレスがずっとたまってきたような気がします」

エリさんの心身を、夫からのストレスがじわじわとむしばんでいたのかもしれない。コロナ禍で職場の体制も変わったが、幸い、エリさんの仕事は減少しなかったためパートとしての「クビはつながった」という。

「事務所に行くと上司の彼とふたりだけということもありました。なんとなく世間話などをしているうちにお互いに配偶者に不満があるとわかり、そこから一気に親密になったような気がします」

閉塞的な世の中の空気も影響したのかもしれない。いつしかふたりとも、「この人こそ出会うべき人だったのだ」と思い込むようになったという。恋は誤解と錯覚から始まることも少なくない。もちろん、それで続くケースもある。

ところがエリさんの場合、2度目の緊急事態宣言が出た1月始め、突然、熱から冷めたような状態が訪れた。

「もっと彼のことが知りたい、もっと一緒にいたい。ずっとそう思っていたのに、ある日突然、『もういいや』と自己完結しちゃったんですよね。知人がコロナに感染して大変だったという話を聞いたことも影響しました。

もし私が彼から感染したら、あるいは彼に感染させたら。家族はどうなるのか。そう思うと恋する気持ちが飛んでいった。それからはどうがんばっても、熱い気持ちが戻ってこない。彼は変わってないし、彼のことが嫌いになったわけでもない。私自身が戸惑ったし辛かったですけど」

彼にそうは言えないので、夫に疑われているのでしばらく会えないとだけ告げた。最初は納得してくれなかった彼も、次第に落ち着いてきて、今では「ただの職場仲間」として接してくれるようになった。

「かえって居心地のいい関係になれました。私の恋愛熱はあそこまでだったんだと思う。いろいろなリスクを背負って、それ以上続けられなかった」

寂しさのあまり、恋愛にしがみついてしまう人もいるが、エリさんは周りの状況と自分の心に忠実だった。不倫の恋は引き際も重要なのだ。
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