2020年は「香水」で一大ブームを巻き起こした瑛人、『鬼滅の刃』テーマ曲で世代を超えて支持されるLiSA、NiziUやTWICEなどのアイドルユニットが注目を集めました。

彼らヒットアーティストの共通点として挙げられるのが「動画との親和性」。音楽雑誌の副編集長も歴任のフリージャーナリストの私が、ヒットの理由を改めて振り返るとともに、2021年のヒット予測も試みます。
 

2年連続TOP10入りが4曲も……コロナ禍でヒットチャートに変化?

2020年12月4日にBillboard JAPANが発表した総合ソング・チャート【Billboard JAPAN HOT 100 of the Year 2020】は以下の通り。
 
  1. YOASOBI「夜に駆ける」
  2. Official髭男dism「Pretender」
  3. LiSA「紅蓮華」
  4. Official髭男dism「I LOVE…」
  5. King Gnu「白日」
  6. 瑛人「香水」
  7. Official髭男dism「宿命」
  8. あいみょん「マリーゴールド」
  9. LiSA「炎」
  10. あいみょん「裸の心」
LiSA

LiSA

2位のOfficial髭男dism「Pretender」、3位のLiSA「紅蓮華」はともに2019年の上半期にリリースされた楽曲。King Gnu「白日」、あいみょん「マリーゴールド」、そしてOfficial髭男dismの「Pretender」と「宿命」の4曲は、昨年の【Billboard JAPAN HOT 100 of the Year 2019】にもTOP 10入りしています。

1曲のロングヒットが続く背景には、コロナ禍で新譜のリリースやそれに伴うプロモーションが大幅に減っていることが一つの理由に挙げられます。一般社団法人日本レコード協会の集計(※1)によると、オーディオレコード生産実績の月次数値は2月以降前年比を下回るようになり、2020年1月から10月までの集計で対前年80%と大幅に落ち込んでいます。

コロナ禍で「チャートが前年と比べて大きく変化していない」ことが、2020年最大の変化といえそうです。もっとも、LiSA「紅蓮華」は2020年の鬼滅の刃ブームによるリバイバルヒットともいえますし、2019年はロングヒットする名曲が量産された年だったという分析もできそうです。


※1 一般社団法人日本レコード協会「オーディオレコードの生産実績の月次数値に関するデータ」(一般社団法人日本レコード協会)

 
 

「香水」とNiziUの共通点は動画で“かぶせやすい”こと

ランキングから離れて「今年はやった曲は?」と思い浮かべると、瑛人の「香水」を挙げる人が多いのではないでしょうか。



公式YouTube動画の再生回数は記事執筆時点(2020年12月5日)で1億2707万回を超えており、文字通り「国民的ヒット曲」といえますが、そのヒット要因は?と問われると一つに答えを絞るのが難しそうです。

エモーショナルな歌声、歌詞への共感、アコギを中心としたシンプルな音色などは無論のこと、曲自体の親しみやすさから男女を問わずさまざまな“歌い手”によるカバー動画が広まったこともヒットの要因といえます。さらに、お笑い芸人を中心にしたパロディ動画もブームとなりました。
瑛人

瑛人

そして韓国の音楽プロデューサーJ.Y. Parkと日本のソニーミュージックがタッグを組んだオーディションを経てデビューしたNiziUも、「Make you happy」の縄跳びダンスがTikTokを中心にヒットしました。

どちらもYouTubeやTikTokなど「動画との親和性」がヒットの要因とされていますが、「動画との親和性」とはすなわち「キャッチーなフレーズ」があることです。

パッと聴いて耳に残る印象的なフレーズがあると、人の記憶に残りやすく、まねしやすくなります。ポップなメロディに特徴的な歌詞や振り付けがあると、TikTokで使われやすくなりますし、YouTuberが皆同じネタを重ねる、いわゆる「かぶせる」ことも再生回数を伸ばすための鉄則となっています。
NijiU

NiziU

 

2021年のヒット予測!「動画との親和性」は続きそう



コロナ禍でライブイベントの中止が続く中、自宅で、スマホで音楽を楽しむという傾向は2021年も続きそうです。ある音楽プロデューサーによると、Spotifyで試聴し気に入ってもらうために「いきなりサビから入る曲」が増えているなど、楽曲の作り方も動画やストリーミングを意識したものになりつつあるといいます。

その点、TWICEなどK-POPアイドルの楽曲は動画との親和性が高く、個々のキャラクターの親しみやすさも相まって多くのファンを獲得しています。また、ダンサブルな楽曲を好む10代と比べて、20~30代では瑛人や平井大など落ち着いた楽曲をInstagramのリールに使用する傾向も見られます。いずれにしても「動画との親和性を高めること」が引き続き2021年のヒットの方程式となりそうです。
 

YOASOBIに見るヒットの新たな形

ところで、冒頭で取り上げた【Billboard JAPAN HOT 100 of the Year 2020】で1位を獲得したのは、YOASOBIの「夜に駆ける」でした。YOASOBIはAyase(ボーカロイドプロデューサー)とのikura(幾田りら/シンガーソングライター)による「小説を音楽にするユニット」。
YOASOBI

YOASOBI

ヒットの要因はやはり「動画とストリーミング」と言えそうです。2019年11月のデビュー曲「夜に駆ける」は、Apple Musicの日本で最も聴かれている曲ランキングのプレイリスト「トップ100:日本」で25日連続1位を記録しました。TikTokでの着火はもちろん、YouTubeで2020年5月に公開された「THE HOME TAKE」もロングヒットを後押ししました。

「THE HOME TAKE」とは、アーティストの自宅やプライベートスタジオから一発撮りの音楽を届けるもので、コロナ禍でSTAY HOMEが続く中、音楽ファンとミュージシャンをつなぐ新たなスタイルとして注目されています。

 

YOASOBIは2021年1月6日に自身初のCD『THE BOOK』をリリースしますが、全9曲の歌詞や原作小説、ミュージックビデオの世界観が詰め込まれたページを綴じ込んだ特製バインダーが付属。文字通り「本」のようなCDになるということです。

また、瑛人も2021年1月1日にリリースするアルバム『すっからかん』に、「香水」のキラーフレーズとして話題を集めたドルチェ&ガッバーナとコラボし、本物の香水のミニボトルを先着特典に付けるということです。

出口の見えないコロナ禍で、物理的なつながりが薄れている今、あえて“カタチ”にこだわるアーティストの創意工夫にも引き続き注目していきたいですね。


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