グループ外出向でも出向先の上司から高評価を得ておきたい
グループ外出向で得ておきたいものは
自分に置き換えて、考えてみてほしい。異業種への出向を新たな経験だととらえられる人もいる反面、出向先がグループ内とグループ外では意味合いが大きく違うがゆえ、自分にとって危機的な出来事だと感じる人もいるのではないか。もしこのような慣習が世の中の多くの企業に今後定着していったら、自らのキャリアを毀損されるリスクに直面するビジネスパーソンが急増する可能性がある。
将来転職するつもりがない人でも、出向元に戻った時に、本来自分が望んでいた本業の仕事に戻れるのかどうか不安に感じる人はいるだろう。仮に以前の職場に戻れても、出向しなかった人よりも業務経験や専門的なスキルの面で不利な状況に追い込まれていることがないかどうか、心配は尽きないはずだ。ではどうしたらいいのか。
グループ外への出向で異業種、異職種に転職する場合でも、その仕事を短期的に取り組む腰掛けの仕事としてとらえるのではなく、新しい仕事をできるだけ早く覚え、職場に貢献し、新しい職場で良好な人間関係を築いて新しい上司からも評価されることが大切である。
不本意な異動なのだから、そう簡単に気持ちを切り替えられないという人もいるに違いない。気持ちはよく理解できる。しかし出向先で評価を下げたなら、出向元に戻った時の扱いがさらに悪化してしまうかもしれないため、ここは何とか考えをあらためて、むしろグループ外の企業への出向は、自分にとってそれまでのキャリアを見つめなおすいい機会ととらえてみてほしい。
つまり異業種、異職種への転職の実現は一般の転職社会では難易度が高いが、今回は出向という手段だったために、それが実現したのである。
グループ外出向は、異例の異業種・異職種への転職機会ととらえる
異業種、異職種でキャリアを積むという考え方を持てば、これを機に新しいキャリアに一歩踏み出すことができる。もちろん出向元に早く戻りたいと思うかもしれないが、いつ戻るのかは分からないし、それが1年や2年であっても、その期間のキャリアを無駄にするのは惜しい。まして3年以上であったなら、じゅうぶんに新しい仕事も覚え、転職市場でも新しいキャリアとして業務経験や実績をアピールできるようにもなってくる。出向元に戻る際も、できればグループ外で経験した業務を活かせる職場に戻ることを希望するのが、キャリアの持続性やスキルアップ等を考慮すれば、いい選択になる可能性が高い。また、グループ外出向の期間が長期化してきたら、そこで培った新しい業務経験や実績をアピールして、これを機に別の会社に転職を試みるのもありではないだろうか。
このように今、転職市場ではグループ外出向という機会を上手に使って、能動的に異業種、異職種への転職が実現できる新しい転職パターンが生まれつつあるのかもしれない。
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