お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

39歳主婦、コロナ禍もあり貯蓄はほぼゼロに。来月からパートで働きます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、来月からパートで働く39歳の女性の方。コロナ禍でなかなか世帯収入が上がらず、赤字家計が継続中。結果、貯蓄が底を突き、教育資金や老後資金など、不安とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 毎月の赤字を解消し、ボーナス依存から脱却する

お子さんのことに加えて、コロナウイルスの影響でご主人の減収や、つるぎさんも思うように働けなくなってしまったこと。心配事が重なってしまい、不安なご様子は、ご相談からも窺えます。確かにきびしい状況でしょう。しかし、簡単ではないですが、家計再生の可能性は十分にあると考えます。
 
大事なことは、焦らず、しかし確実に一段一段再生に向けて進んでいくことです。幸い、つるぎさんのパートが決まり、月4万円程度の収入が見込めるとのこと。これも大きな前進です。
 
そんな中、再生の第一段階は、家計赤字の解消です。貯蓄はできなくても、かかる生活費を毎月の収入の範囲内に収める。これを目指します。
 
現在の家計は、毎月の赤字をボーナスで補填している形ですが、ボーナス依存という状態はリスクと考えるべきです。とくに気になるのは、住宅ローンのボーナス払い。ボーナス月は21万円の加算ですから、年間42万円。これは大きな金額です。これに固定資産税やクルマの維持費を加えると、確実にボーナスから60万円超が支出されます。現在の支給額はそれでも余裕はありますが、つるぎさんも心配されているように、このコロナ禍ではいつ減額されても不思議ではありません。
 
赤字家計の解消として、家計支出の削減に着手しなくてはなりません。削減余地のある費目としては、まず保険です。学資保険以外、すべて見直します。ご主人加入の終身保険は払済保険に。その他、がん保険2本と医療保険は解約します。
 
新たに加入する保険ですが、まず死亡保障がそもそも不足しています。お子さんはすでに12歳、持ち家なので、夫婦とも1000万円を保険期間10年の定期保険で確保します。保険料は夫婦合わせて月4000円前後でしょう。医療保障は入院5000円の必要最小限にとどめます。医療保険の保険料は夫婦合わせて4000円台で収まるはず。同等の医療共済で確保しても構いません。
 
この見直しで、毎月の保険料は学資保険と合わせて1万6000円ほど。月9000円、年間で10万円近く保険料コストが抑えられます。ただし、保険は新たに加入してから、解約等を行ってください。
 
他に見直し余地があるものとしては食費、通信費、雑費でしょうか。本来食費は過度に削るべきではないですが、月6万円のうち2万円が外食費ですから、削減は可能でしょう。通信費はスマホ等の契約プランの見直しを行ってみてください。雑費は、ご主人の小遣いが含まれているので無理に削るのは難しいですが、月1万円のプロテインは本当に必要かどうか。少なくとも今は一時的に休止し、家計を抑える行動が必要だと感じます。
 

アドバイス2 ボーナスは半分を貯蓄に回す

世帯収入は、パート収入を4万円とすれば35万円。現在、支出が月38万1000円ですから、保険料と食費、通信費、雑費で少なくとも3万円コストダウンできれば、赤字は解消されます。これは十分クリアできる数値でしょう。さらに月4万~5万円のコストダウンも工夫次第で可能だと思います。
 
現状で赤字が解消されれば、ボーナスで補填していた生活費が貯蓄に回ります。金額としては少なくとも60万円はしたいところ。旅行や帰省は、コロナ禍でもあり、ここ1年、2年は控えてもいいでしょう。また、ボーナスの半分程度が貯蓄に回るということは、仮にボーナスが半減となっても、固定資産税や住宅ローンのボーナス払いなどはそこから捻出できることになります。これも大きなポイントです。
 
家計の見直しで年間60万円(ボーナス分のみ)。これを2年間継続したら、次は第二段階です。借入の返済が2022年4月に完済となります。また、返済期間は不明ですが、自動車ローンも長くて5年返済ですから、近いうちに完済となるはず。これら支払いが終わると、家計に余裕が生まれますが、そこで気を緩めず、これらの返済額、計5万4000円を貯蓄に回します。年間で約65万円。ボーナスの貯蓄分と合わせて、年間115万円の貯蓄が可能です。
 
これを16年間(ご主人定年まで)継続できれば1840万円。学資保険と合わせて約2000万円となります。途中、クルマの買い替えが少なくとも2回。その費用を差し引いても、お子さんの教育資金としては十分な金額でしょう。
 
そのクルマですが、住宅ローン負担が大きいので、新たにローンは作りたくありません。クルマは現金で購入してください。当然、車両価格も抑える意識が必要です。
 

アドバイス3 パートの収入アップと前向きな気持ち

第三段階としては、老後資金の準備となります。退職金2000万円は大きな金額ですが、それだけに頼るのはやはりリスクがあります。そもそも、2000万円で老後資金が必ず足りるという保障はなく、また、退職金の金額も確約されたものではありません。リスクを抑えるために、できる備えをしておく必要があります。
 
ポイントは2つ。まず、つるぎさんが今後さらにパート収入を増やしていく。フルタイムでなくても構いません。扶養の範囲で、月8万円程度まで得られればいいでしょう。それにより、月4万円貯蓄ペースがアップできれば年間48万円。10年間で480万円、15年間で720万円も老後資金を増やすことができます。
 
もうひとつのポイントは、ご夫婦ともに60歳以降も何かしら収入を得ること。少なくとも公的年金が得られる65歳までは働くことを目標にしてください。それにより、老後資金の目減りを遅らせる効果があります。
 
教育費の必要がなくなり、手元にある程度貯蓄があれば、住宅ローンの繰り上げ返済を行うのも、老後資金づくりと同じ効果があります。先に触れましたが、ボーナス月の加算分は、定年後には大きな負担となります。完済がご主人71歳というのも不安要素です。退職金の一部を充ててもいいと思います。その際、ボーナス払いの分を優先的に返済し、そこだけでも定年時までに完済できるといいと思います。
 
ともあれ、まずは赤字家計の解消から。貯蓄が「ほぼゼロ」に等しい今の家計でもっとも怖いのは、生活費を借り入れてしまうこと。少額であっても、安易なキャッシング、クレジットのリボ払いの利用も、避けなくてはいけません。それらは習慣化しやすく、結果、立て直しは数年遅れてしまうでしょう。今なら着実に一歩一歩、再生に取りかかれます。
 
先が見通せない今、お子さんのこともあり、不安でいっぱいになる気持ちは十分理解できます。しかし、つるぎさんが後ろ向きになっては先には進めません。本当の意味で、お子さんが頼れるのはご両親だけです。ご主人と協力しながら、元気に、そして前向きに家計改善を目指してください。
 

相談者「つるぎ」さんから寄せられた感想

うちの家計でも負債を減らして貯蓄ができる家計に立て直しができるとおっしゃっていただき、本当に涙が出そうです。某保険の代理店で、良い保険に入っているから見直しは必要ないといわれたばかりでしたので、正直驚きました。また、保険の勉強もしてこなかったので、安い保険料で高い保証を受けられる保険が存在していることも知りませんでした。将来のことを考えて通信費の見直しや、車を軽自動車に変えたばかりだったので、主人に今回のファイナンシャルプランニングの話をしたところ、あまりいい顔をされませんでしたが、まずは保険の勉強をして、自分の保険から着手したいと思います。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など





取材・文/清水京武

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