大学入学共通テストは「大学入試改革」の柱の一つ。受験の仕組みをQ&A形式で解説
Q. 大学入学共通テストとは? その目的とは?
大学入学共通テスト(共通テスト)は、大学入試センター試験に代わる新たな試験として実施されます。国が進める「高大接続改革」のひとつで、「大学入試改革」の目玉とされています。これまでの大学入試では、主に知識・技能が評価されるテストが実施されてきました。しかし、これからは学力の3要素と呼ばれる
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力
- 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
共通テストでは、これまでの大学入試センター試験を引き継ぎながらも、「高大接続改革」や「大学入試改革」といったねらいに沿って設問や出題形式が見直されます。
Q. いつから導入されるの? 実施日は?
共通テストはいくつかの試行調査を経て、2021年度入試(2021年4月に大学に入学する受験生を対象)から実施されます。センター試験と同様に、毎年1月中旬の土・日曜の2日間にわたって実施されます。最初の入試は2021年1月16日(土)と17日(日)に実施されます。なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う特別措置として、第二日程が30日(土)と31日(日)に設定されています。
Q. 大学入学共通テストの受験料や申し込み方法、その他の手続き方法は?
毎年6月下旬に実施要項が発表され、9月から受験案内(出願書類)の配布が始まります。受験案内は、共通テストを利用する大学で受け取ったり、全国学校案内資料管理事務センターに申し込んだりすることで入手できます。現役生は学校経由で、既卒生等は個人で直接出願します。出願期間は9月下旬から10月上旬で、検定料は3教科以上受験する場合は1万8000円、2教科以下の場合は1万2000円となっています(成績通知を希望する場合は800円がかかる)。
Q. 国公立大学を受験する際の共通テストの仕組みって?
大学入学共通テストは、国公立大学を志願する人は原則、受験
学校推薦型選抜(推薦入試)では、学校長の推薦が必要となり、その際、共通テストを課す・課さない場合の2つに分かれます。
共通テスト終了後に、解答・配点が公表されますので、自己採点を行った後、志望する大学を決めて出願することになります。
Q. 私立大学でも共通テストが使えるの?
私立大学の8~9割程度で、センター試験と同様に共通テストを利用した入試が実施されます。ほとんどは、センター試験を利用した受験方式を受け継いだ形となりそうです。ただし、私立大学の合格者は各大学の個別試験で決まる方式が主流のため、今のところ共通テストを利用して私立大学に入学する人はそれほど多くないと考えられます。
Q. 共通テストの出題範囲は? 教科と科目の違い
共通テストは国語、地理歴史・公民、数学、理科、外国語の6教科30科目で構成されています。受験生はこの中から、志望する大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。理科では、化学基礎(基礎科目)と化学などの組み合わせなどによって、受験できる科目数が変わるので注意が必要です。出題範囲は、数学IIIのような内容は除外されていますが、基本的には教科書の内容に沿った基礎的な内容から応用的な内容まで幅広くなっています。
Q. 作文があるって本当!? センターと違う出題形式とは?
国語と数学で記述式の導入が検討されましたが、当面は導入が見送られ、センター試験同様に全問マーク式で実施されることになります。しかし、英語では大幅に出題傾向が変わるようです。まず、発音・アクセント問題や文法問題がなくなり、全問、資料・長文読解問題となります。配点も見直され、リーディング100点、リスニング100点とリスニングの配点が高くなります。さらにリスニングでは、音声が1回しか流れない問題もあるなど、大幅に出題傾向が変わります。
その他、多くの教科・科目で複数の資料やデータ等を読み取る思考力や判断力が必要とされる問題の出題が増えると予測されています。
Q. 必要とされる共通テスト対策とは?
これまでのセンター試験でも、例えば数学では数値だけを答えるのではなく、選択肢の中から適切なものを選ぶ問題が出題されるなど、思考力が問われる問題が出題されてきました。しかし、先ほども紹介したように、英語では大幅に出題形式が変更されます。そのため、たくさんの資料や文章を読む必要があり、特に英語では速読や多文多読などの共通テスト対策が欠かせません。大手予備校などが実施している模擬試験を積極的に活用したり、共通テスト対策問題や予想問題を解いたりするなど、これまで以上に幅広い勉強方法を取り入れる必要があります。
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