40代50代のおばさんはNG!? 悪い印象を与える言葉遣い5つ
つい口をついた言葉が原因で、幼稚な言葉遣いだと思われているかもしれません
自分では使うことがなかったのに、テレビやほかの人の話を聞いているうちにいつの間にか言葉遣いがうつっているということは多々あります。
言葉は、使う人の個人差や捉え方の違いもあり、ひとつだけが正しくこれは間違いと言い切れるものばかりではありません。
しかし、若者言葉や最近の言葉などは、学生時代や若いうちはよくてもある程度の年齢になると、何だか幼稚に聞こえてしまったり不適切で耳障りな言葉に変わってしまったりという恐れもあります。
今回は、近年よく気になるといわれる言葉で、特に大人世代は使い方に気を付けたいものをご紹介します。言い換え例もお伝えしますので、ぜひ見直してみましょう。
パターン1.「メチャクチャ」「ヤバい」などの若者言葉
「メチャクチャうまい」「メチャクチャすごい」「マジ、ヤバイ」というように、物の程度の大きさや感動、おいしさを表すような場面で頻繁に耳にします。「滅茶苦茶」と書く通り、本来はあまりよくないことに使われることが多いものでしょう。滅茶苦茶
1. まったく筋道が通らないこと。度外れなこと。また、そのさま。めちゃめちゃ。「滅茶苦茶なストーリー」「滅茶苦茶な値段」
2. どうにもならないほどにこわれたり、混乱したりすること。また、そのさま。めちゃめちゃ。「せっかくの集まりを滅茶苦茶にする」「書類の順序が滅茶苦茶だ」
[補説]近年「―楽しい」「―怒られる」のように、副詞的に用いて、程度のはなはだしいさまの意を表す例が増えている。
「デジタル大辞泉」小学館より
「ヤバイ」も同じような理由で、多用していると幼稚な印象を持たれかねません。
やばい
危険や不都合な状況が予測されるさま。あぶない。
「―・い商売」「連絡だけでもしておかないと―・いぞ」
[補説]若者の間では、「最高である」「すごくいい」の意にも使われる。「この料理―・いよ」
「デジタル大辞泉」小学館より
本来は危険、不都合な状態を表すものですね。しかし、現在は「めちゃくちゃ」と同様に「この店メチャクチャヤバい」のように最上級の褒め言葉のような意味の使われ方をしています。
おいしさや感動などを表現するというのは案外難しいという理由もあり、「メチャクチャ」「ヤバい」と言えば大体伝わるという便利さも影響しているのかもしれません。
幼稚な印象を避けるために、どのような言い換えができるでしょうか
しかしこのような使い方を大人世代が多用してしまうと、状況によっては、何だか幼稚に聞こえてしまったり、不適切、耳障りな言葉に変わってしまったりする恐れがあるため、言い換え例を知っておくと便利です。
<メチャクチャ・ヤバいの言い換え例>
■物の程度、大きさを表すなら
たいへん、とても、すごく、ものすごく、最高、見事、すばらしい、えらく、いたって、きわめて、格別に、類を見ない、無類の、たいそう、すこぶる……など。
■心が動かされる、感動を表すなら
感動、感激、感銘を受ける、琴線に触れる、胸を打つ、胸にしみる、心にしみる、胸に迫る、グッとくる、ジーンとくる、胸が熱くなる、心を揺さぶられる、涙があふれる、こみ上げる、感極まる、言葉で言いようもない、心が震える、胸に・心に刻まれる……など。
昨今、耳にする「エモい」と同じような使われ方をしている部分もあるのでしょうか。
■食べ物への感想を言う場面
「たいへんおいしい」の意味で言い換えて、舌鼓を打つ、ぽっぺたが落ちる、満喫、ご馳走、喉を鳴らす、思わず顔がほころぶ、あとを引く味……など。
また食材の新鮮さや色、形などへの感想という意味で言い換えて、新鮮な、みずみずしい、採れたての、出来たての、生きがいい、旬な、あざやかな色・つや……など。
手料理をごちそうになった場合などには、手際が良い、腕利き、プロ並み、プロ級の腕前、まるでお店のよう、料理上手、器用、見事な手さばき、食べるのがもったいないぐらい……など、その料理の腕や盛り付けのきれいさを褒めるというのもいいものです。
パターン2.「ムカつく」などの愚痴や悪口
頭にくる、 腹が立つといった気持ちは何歳になっても湧き起こってくるでしょう。しかし「あれってムカつく」という気持ちは自分本位になりかねないこともありますし、また聞いている第
三者も困ってしまうばかりで、気持ちがうまく伝わらないこともあるでしょう。
腹が立つというよりは、残念な気持ちや思っていることとは違う気持ちであったことを表わす言葉に言い換えてはいかがでしょうか。
<言い換え例>
残念、悔やんでも悔やみきれない、痛恨の極み、本意でない、不本意、真意でない、意図するところではない、心残り、心外……など。
パターン3.「ソッコー」など本来の使い方ではない俗語
辞書を引くと、今使われている「ソッコー」は俗語であり本来の使い方ではなかったことがわかります。くだけた場面ならばそう問題にもならないでしょうが、目上の人との会話や改まった場面ではそぐわない感があります。速攻
1. 競技・試合などで、相手にすきを与えず機敏に攻撃すること。また、そのような攻撃。「速攻して敵の機先を制する」
2.《俗語。「即行」「ソッコー」とも書き、副詞的に用いる》すぐさま。ただちに。「速攻帰る」「速攻(で)仕事に取りかかる」
「デジタル大辞泉」小学館より
<言い換え例>
ただちに、すぐに(すぐさま)、今すぐ、いちはやく、大急ぎで、(大)至急、迅速に、全速力で、一刻も早く……など。
パターン4.「感謝しかない」など「〇〇しか」を使った強調表現
こちらは、数年前まで聞かなかった言葉です。気になるのは筆者だけなのではと感じていましたが、最近はこの言葉に違和感があるという意見も聞くようになりました。少し前ならば、「感謝の言葉もございません」がこれに一番近い意味で使われていたように思います。「言葉もございません」というのが、言葉が無いというような印象を与えるのかどうか理由はわかりませんが、この言葉に取って代わった感があります。
それ以外のものを全く否定するような「しか」を用いることで、「感謝」を強調する意味で好まれているのかもしれないという感じも受けます。
<言い換え例>
感謝の言葉もございません、感謝の言葉も見つからない思いです、言葉に表せないほど感謝しております、感謝の思いで一杯でございます……など。
パターン5. 間違った敬語
「母からいただいたものです」ほかの4つは、どちらかと言えば若者言葉や最近の言葉といわれるものですが、こちらは敬語の誤り、敬語の使い方の点で引っ掛かるものです。「いただく」は本来「もらう」の謙譲語です。ですから「母からいただいた」では、身内である母に敬語を使っていることになります。
「いただく」は「もらう」以外に「食べる」意の謙譲語でもありますが、「朝はスムージーをいただきます」などの例にも見られるように、「いただく」は謙譲語ではなくて「もらう」や「食べる」の丁寧語のように誤解されて使われている例なのかもしれません。
しかし、本来の正しい意味で使っている人から見れば「すてきなネックレスですね」「母からいただいたんです」と言われたら、やはりおかしな感じを与えてしまいます。
<言い換え例>
言い換えというよりも、敬語としては誤用になるわけですから適切な表現を用いるべきです。
母からの贈り物(プレゼント)でして、母から譲り受けたもので、母からのもので……、母が記念にと(買って)くれまして……など。
ひとつの言葉である程度通じるというのは、考えようによっては便利な点もあります。しかし、便利な反面いつでも同じ言葉ばかりでは大切な場面でも言い換えができないばかりでなく、言葉の表現力も薄れてしまいます。
無理に使い慣れない言葉を使うのではなく、ときには自分の言葉で思いを伝えてみるのも工夫のひとつといえるでしょう。
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