お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

50歳公務員、抑うつ状態、不眠症に悩まされ休職したいが、子どもの教育費がかかります(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、精神的な病気に悩まされ休職を希望する50歳の男性です。妻に相談しても精神的に限界と言われ、まだまだ子どもの教育費がかかるため、マネープランクリニックに相談をしたいといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 体調を整えることが優先。休職に引け目を感じる必要はない

最初のご相談時点から変化があり、すでに病気休暇に入られたとのことで、よかったです。これまでずっと辛い気持ちをこらえて働いてきたのですから、しばらくは、十分休養をとってほしいと思います。体調を整えることが何よりも優先です。
 
公務員規定で、多少条件が違うかとは思いますが、医師の診断書があれば、当面3カ月間の給与は全額、その後1年までは80%、1年後から2年半までは、共済組合から、給与の3分の2の傷病手当金が支払われることになります。ボーナスも今年の冬までは支給されると思いますから、しばらくの間は、生活に困ることはないでしょう。また、これまでの蓄えもありますから、過度の心配は不要です。休職中の給与は、定められたことですから、引け目に感じることはありません。
 
今後、金銭的な部分をどう考えていけばいいか、整理してみましょう。
 
まずその前に、家計支出のうち、やはり食費はかけすぎています。通信費の節約なども考えているようですから、合わせて3万~4万円程度は支出を抑えるようにしていただきたいです。毎月の支出を28万円まで削減できると、年間336万円で、これに年間で支払いが発生するものを加えると、約370万円が年間支出となります。
 
一方、収入は、サントスさんの給与が当初は全額支給ですが、仮に1年間は80%として計算します。月収が28万円、ボーナスは冬のみで60万円。合計約400万円です。これに妻のパート収入を月8万円とすると年間で96万円。世帯で約500万円は確保できます。年間の支出が370万円ですから、130万円ほどは黒字となります。
 
2年目の給与は3分の2、ボーナスなしとなるため、年間の収入は約280万円。妻の収入を加えて世帯では、380万円となります。ほぼ収支トントンということです。2年半までは、この状況でいけますが、それ以降は、無給となるため、1年目の黒字分から充当したり、貯蓄からの取り崩しが必要になってきます。
 
今から3年後に復職しないのであれば、53歳から公的年金の受給がはじまる65歳までの12年間は、妻の収入のみとなります。サントスさんの体調次第ですが、月8万円程度で構わないので、アルバイトなどができれば、世帯収入は約200万円となり、年間の不足額は170万円となります。12年間で約2000万円の取り崩しになります。
 

アドバイス2 子どもの教育費を差し引き、65歳時点で1700万円残る 

現在、金融資産が4200万円あり、夫婦それぞれの退職金1700万円を加えると5900万円あります。お子さんの教育費がひとり800万円として2人で1600万円。金融資産から差し引くと残りは4300万円です。
 
このほか、家の修繕費や、場合によっては車の買い換え費用が発生し、800万円ほど使うとすると、残りは3500万円となります。
 
アドバイス1で説明したように、53歳から65歳までの不足分が2000万円とすると、65歳時点での金融資産は、1500万円となります。
 
65歳以降は、サントスさんの公的年金と妻のパート収入で、約260万円。いずれ妻も公的年金受給になれば、約280万円になります。このころには、お子さんも成人し、お金がかからなくなっていますので、家計支出を収入、年金の範囲で収めることができれば、貯蓄の1500万円を取り崩すことなく生活できるでしょう。
 
今は控えているかもしれませんが、体調が戻れば、旅行などもしたいでしょうし、不意の出費もあるでしょう。ですから、貯蓄の取り崩しがゼロとはいかないでしょうが、1500万円あれば、十分対応していくことも可能でしょう。
 

アドバイス3 再就職できれば、その分、ゆとりができるが、無理はしないこと

本当なら、サントスさんの体調が戻られるまで、奥さまの退職は待ってほしいところです。でも奥さまも精神的にキツイ状況にあるということですから、ご夫婦ともに、健康第一に考えて、当面は二人ともゆっくりされるのがいいでしょう。仕事を離れ、精神的に落ち着かれたら、次のことを考えればいいのです。
 
金銭的に余裕があるわけではありませんが、この先、3年、5年で生活が立ち行かなくなることはありませんから、過度な心配はせず、体調管理だけしっかりなさってください。もしも体調が戻り、別の勤務先が見つかるようでしたら、厚生年金に加入できるところがベストです。もちろんアルバイトでも大丈夫ですが、少しでも収入が増えれば、それだけ老後資金の不安はなくなりますし、国民年金の支払いをしなくて済みます。これは、あくまでも元気になったら、と考えてください。
 
最後に、保険についてですが、すべて現在の職場を通じての保険であれば、退職後の加入継続の可否は確認するようにしてください。万一、すべて解約となったとしても、新たに保険加入はしなくて大丈夫です。低解約返戻金型保険の保険料は、家計負担にもなっています。解約返戻金の総額は936万円と高額ですが、給与が減額になった段階で、加入継続かどうか、条件次第で検討してみてもいいかもしれません。
 
休職中は、家にこもっていると、不安が増してくることもあるでしょう。できるだけ外に出て息抜きすることも大事です。奥さまには、このアドバイスを一緒にみていただき、二人ともゆったりすること、金銭的な不安は当面ないこと、復調したら収入を得ることなどをお話ししてみてください。その後は、一人ひとりが、今後の過ごし方を考えてみてください。また何か変化があれば、ご相談ください。
 

相談者「サントス」さんより寄せられた感想

深野先生、アドバイスを頂きまして、ありがとうございました。今は、体調を回復させることが大事だと、後押ししていただいた感じがします。療養に専念したいと思います。金銭的なものも、今回のアドバイスを参考にさせていただき家庭でも、よく話し合いたいと思います。回復しましたら、楽しみも持ちつつ、細長くではありますが、仕事もしていきたいと思います。
 

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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