お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

38歳貯金180万円。赤字家計を改善したのに夫が減収でまた赤字に転落(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、パートで働く38歳の主婦の方。貯蓄を増やそうと家計を見直し、その甲斐あって改善したのも束の間。コロナウイルスの影響で、夫が減収となり、また赤字家計に……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 今後3年は「毎月赤字を出さない」ことが家計目標

りんさんは赤字家計を改善するため、昨年、自身で家計を見直されました。月額で8万円近く生活コストを下げたのですから、実に立派です。しかし、今年になって新型コロナウイルスの影響でご主人が減収。再び赤字家計になってしまったとのこと。落胆の思いかもしれませんが、先の見直しをしたからこそ、赤字幅も最小限に収まったともいえます。前向きにとらえ、再度、家計の立て直しを目指してほしいと思います。
 
まずは現状の家計収支ですが、データによれば月1万2000円の赤字。ボーナスについては、家計改善後の初のボーナスですから、実際どのくらい貯蓄できるかは不明ですが、使いみちが決まっている支出を差し引くと、残りは54万円。ここから生活費の補填をすると、年間で約14万円ですから、差し引き40万円。計算上、これが年間で貯蓄できることになります。ただし、ボーナスが減額されないという前提での金額です。
 
家計はいろいろ見直しをされたわけですから、新たにコストを下げる余地は少ないかもしれません。保険についても、必要な保障を無駄なく上手に確保しています。
 
そうなると、目についてしまうのはご主人のタバコ代。月3万円は家計支出の12.5%を占めています。タバコ代以外のご主人の小遣いが1万円ですから、もしかしたら、タバコ代は減らさないかわりに、他の支出は我慢するということなのかもしれません。いただいたデータにも「たぶん止められない」とありますので、実際に禁煙は難しいのでしょう。ただし、健康面を考えれば百害あって一利なし。検討すべきことだと思います。
 
ともあれ、目下の家計の目標は「赤字家計にしないこと」。コストダウンの目標額としては月1万円ほど。きびしい月は現状維持でも構いません。期間としては、息子さんが小学校に入学するまでのおよそ3年間。この間、もしかしたらボーナスから40万円程度貯蓄ができるかもしれません。であれば、合計で100万円超の貯蓄の上積みが可能。まずはそこを目指してください。
 

アドバイス2 できればフルタイム勤務を目指したい

次に、3年後以降について。そこから、りんさんが扶養の範囲で働きに出るということですから、通常であれば毎月貯蓄が可能となりますが、それに併せて、実家への1万円の支払い(家賃兼水道光熱費として)をアップさせるとのこと。実費としての水道光熱費に固定資産税も負担するということで、月5万円くらいを想定されています。であれば、パート収入が8万円になっても、家計支出も4万円アップなので、結局今と変わらず収支はトントン、貯蓄できないことになります。
 
対応策としては、りんさんが扶養の範囲にこだわらず、フルタイムで働くということ。当然、育児、家事の負担が重くなりますから、ご主人の協力が欠かせません。それと、税金や社会保険料で考えれば「年収130万円以下か160万円以上が得」といわれていますが、それよりもより多く収入を得られることをまずは目指してください。また、その場合、正社員でなくとも厚生年金加入にはこだわるべき。将来の公的年金の支給額が増えますので、老後対策になります。
 
もうひとつの策としては、お義父さんに支援してもらう。つまり「甘える」ということ。お義父さんの資産状況は不明ですが、もし可能なら、今後も「1万円のみの負担」を継続させてもらう。これはご主人が依頼することになるでしょうが、これが可能ならパートでも月4万円の貯蓄がしばらく可能となります。
 
フルタイム勤務かお義父さんの支援か、どちらにしても月4万円貯蓄できれば、年間48万円。ボーナスからの貯蓄も加算して年間70万円貯めることができれば、58歳(ご主人の定年)までの17年間で1190万円、80万円貯められると1360万円となります。これに今ある貯蓄180万円を加えると、定年時までに貯めることができるのは、ざっと1400万~1500万円。途中、児童手当の支給がなくなりますが、学資保険の支払いがなくなるなどで相殺され、試算上の支出は今と変わらないという想定でいいでしょう。
 
この間の大きな支出としては、教育費があります。長女の方が200万~300万円。ご長男はまだ進路について不確定ですが、一般に大学費用を事前に準備するならば400万~500万円。合わせて700万円とすれば、学資保険の満期金260万円を差し引いて別途用意するのは440万円。先の貯蓄からそれをさらに差し引けば、手元に残る資金は1000万円。これに退職金500万円を加算した1500万円が、りんさんの世帯が用意できる老後資金の目安ということになります。
 

アドバイス3 継続的な自動車ローンの負担を回避する

教育資金は用意できるとして、老後資金は足りるかどうか。それについては、現時点では何とも言えません。ただし、困らないよう対策することはできます。
 
先に述べたように、りんさんがフルタイムで働く、あるいはお義父さんに頼るといったことで、毎月しっかり貯蓄できる家計にすることは絶対条件ですが、同時に「より長く働く」ということが有効な老後対策となります。とくに公的年金が受給となる65歳まではご夫婦とも働くことで、少なくとも用意した老後資金は取り崩さない(収入が生活費を下回らない)。65歳以降も、収入は低くてもいいので、できるだけ働いて、老後資金が減るスピードを遅くする。こういったことが老後には効果的です。
 
また、気になるのは、クルマの買い替えです。すでに、現在も大きな家計負担となっている自動車ローンですが、次回の買い替えでもそうなる可能性があります。ローンが完済したらまた新たにローンの支払いが始まる。こういった継続的な負担は、車両価格を下げれば回避できます。できればローンを組まず、下取り価格に貯蓄を取り崩しても数十万円程度で済ませることが、望ましいと考えます。
 
自宅のリフォームや修繕は、将来必ず発生します。また、お義父さんに今後も資金援助が頼めたとしても、その期間は限定的です。りんさんのフルタイム勤務もスムーズに実現するとは限りません。そう考えれば、できることは全部やるといった意識が、将来的に資金で困らないためのひとつのカギとも言えるのです。
 
最後に、長女の方が専門学校へ進学する場合、2年後の4月入学ですから、学費の予算200万~300万円の用意は、貯蓄をほぼ取り崩すなど、綱渡り的になる可能性もあります。気をつけたいのは、足りなそうだからと、安易に奨学金を利用すること。奨学金はお子さんにとっては大きな負担です。かといって、資金面で進学を断念させるのは親としても辛いはず。可能な限り借入額を小さくするなど、お子さんの負担軽減に努めてあげてください。
 

相談者「りん」さんから寄せられた感想

アドバイスにありますようにまずは3年間は毎月を黒字にできるようにしていきたいと思っています。なるべく不足分で貯金を使わなくて済むようにしたいと考えています。その後の働き方ですが、扶養の範囲内か、フルタイム勤務か、主人ともよく相談して、考えていきたいと思いました。子どもの奨学金についても、おっしゃるようになるべくは親として出してあげたいというのはありますので、万が一不足分を奨学金に頼る場合も必要最低限でと思います。色々とアドバイスいただきありがとうございました。全てを通して言えることは、毎月少しずつでも貯金できる家計になるようにしていくということだと思いますので、家族で協力しながら、老後に子ども達に迷惑がかからないようにしていきたいと思います。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん

 
 

 

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武




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