子育て

子どもが母親・父親の愚痴・悪口を聞いて育つと……悪影響と対処法

子どもの前でついこぼしてしまう愚痴。親の気持ちは少し楽になるものの、その分、子どもの心は重くなっています。母親・父親が子どもの前で言う愚痴は、どのような影響を及ぼすのでしょうか。愚痴の解消法と共にお伝えします。

田宮 由美

執筆者:田宮 由美

子育てガイド

<目次>

子どもが母親・父親の愚痴・悪口を聞いて育つ悪影響・対処法

子どもが母親・父親の愚痴・悪口を聞いて育つ悪影響・対処法

「毎日、夫の帰りが遅い」「家事を手伝ってくれない」その愚痴を子どもは全面的に受取ります

「愚痴」はできれば言いたくないもの――そうネガティブなイメージを持ちつつも、つい言ってしまうことはないでしょうか。
 
愚痴を辞書で調べてみると、「言っても仕方がないことを言って嘆くこと(大辞林第三版)」とあります。これは、もともとは仏教用語で「愚かなこと。無知によって惑わされ、すべての事象に関してその真理をみない心の状態をいう」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)とも記されてあります。
 
このように、愚痴とは言っても仕方のないこと、愚かなことであるにもかかわらず、私たちはとかくこぼしてしまいがちではないでしょうか。夫婦間における愚痴、子どもの学校の先生や職場の上司の愚痴、世間や社会の愚痴、その対象はさまざまですが、つい、口から出てしまうことでしょう。

確かに愚痴をこぼすと、いくらかスッキリし、気持ちが楽になりますね。ですが、これを聞く立場の者はどうでしょうか。
 

親の愚痴を聞かされた子どもの気持ち

愚痴を言うと、気持ちが少しスッキリし、心の荷をいくらか下ろせたように感じるでしょう。ですが、この親のモヤモヤした気持ちや心の荷物を、今度は愚痴を聞かされた子どもが背負うことになるのです。

例えば、「お父さんは、いつも帰りが遅い」「家事を手伝ってくれない」など、母親が言う父親に対する愚痴を毎日聞いていた子どもは「お父さんは自分勝手な人だ」と思い込んだり、「お父さんは、いつもお母さんを苦しめている」と、時には憎悪をもつこともあるでしょう。

母親は「早く帰ってきてほしい」などの願望と、「仕事だから仕方ない」などの気持ちが葛藤し、モヤモヤしています。それを愚痴として、吐き出すことで、気持ちを楽にしようとしているのですが、子どもは父親への不満のみを受け取るでしょう。
 
また、「あなたのクラスは、いつも帰りが遅いわね。担任の先生が何をするのも遅いのね」「学校の先生は、生徒指導に不熱心ね」といったような愚痴を言っていると、子どもは学校の先生に不信感をもつようになり、場合によっては、学校が嫌になることもあるでしょう。
 

親の愚痴が子どもに与える影響

愚痴を言うと心の荷が下せる感じがしますが、その荷物を今度は子どもが背負うことになるのです

親は愚痴を言って、気もちが楽になりますが、それを聞いた子どもは、そのしんどさを受け取ることになります

親が子どもの前で愚痴を言うと、次のような影響を子どもに与えてしまいかねません。

■影響1.親の心のモヤモヤを背負う
子どもは、大人と違って、「愚痴はあくまでも愚痴で、気持ちを楽にするために吐き出している」「時には、愚痴を言いたくなることもある」とは考えられないものです。

世間の認知や経験が未熟で、思考が成長過程の子どもは、親の愚痴を全面的に受け止めてしまいます。そうすると、子ども自身がしんどさを感じ、場合によっては、生き辛さを感じることもあるでしょう。

■影響2.世間を歪んだ目線で捉える
親がいつも愚痴を言っていると、子どもは「父親って自分勝手だ」「学校の先生は信頼できない」など、親が日頃、よく言っている愚痴を通して、その物事を見るようになります。そして世間を歪んだ目線で捉えることも懸念されます。

■影響3.自分を犠牲にすることで存在価値を見出す
親の愚痴の影響が最もネガティブに表れる場合が、子どもが自分を犠牲にすることで自分の存在価値を見出すようになることです。これは心理学では「共依存」といわれていますが、「お母さんがかわいそう、私がしっかり聞いてあげないと……」と思い込むようになることです。

そして、愚痴を聞くことにより、自分の気持ちが重くなったり、しんどさを感じるにもかかわらず、「聞かなければいけない」と自分自身を呪縛し、自分の価値をそこに見出し、苦しみながらも、繰り返してしまうような状態です。
 
このように、親の愚痴は子どもの気持ちにネガティブな影響を与えます。ですので親は愚痴以外の方法で、モヤモヤした重い気持ちを開放できるように、ストレス発散法を持ちましょう。その簡単な方法を3つ、次にお伝えします。
 

子どもに愚痴をこぼす前に……簡単にできる愚痴解消法

愚痴を言いたくなった時、他のことで、発散できるように趣味を持ちましょう

ストレスを感じた時、開放させるためにも、生け花やガーデニングなど、没頭できる趣味を作りましょう

■解消法1. ストレスを感じたとき、打ち込める趣味をもつ
好きな生け花やガーデニングを楽しんだり、体を動かすヨガやエクササイズをする。またウォーキングやランニングもよいですね。大声を出してカラオケで歌う、読書に没頭する。映画鑑賞をしたり、美味しい物を食べる、何でもよいと思います。また最近は、SNSに愚痴を呟き、ストレスを発散している人もいるようです。いずれにしても、趣味をもち、ストレスを感じたときに打ち込める何かを作っておきましょう。

■解消法2. 物事を違う見方で捉える
同じモノでも、見る方向を変えると、見え方が変わるものです。例えば円筒形の茶筒は、上から見れば円ですが、横から見れば長方形、斜めに切るとその切り口は楕円形です。
このように、見方を変えると、毎日帰宅が遅い夫も、「遅くまで毎日、本当に大変」と、家族のために仕事をしていることへの感謝の気持ちを感じることもできるでしょう。

これは「リフレーミング法」といわれ、物事を違う見方で捉えて気持ちや感情をコントロールする方法で、一瞬にして気持ちが楽になるという手法です。

■解消法3. ポジティブでステキな自分を想像する
愚痴を言わない人はステキです。いつも物事をポジティブに捉え、人生に対し前向きです。毎日、イキイキ生活し、キラキラ輝く自分を想像するだけで、行動が変わってくるものです。そうすると考え方も変わり、愚痴を口にすることも減ってくるでしょう。
 

自分なりの解消法を見出し、ステキな子育てライフを

大人になっても、子ども時代の親の愚痴の記憶で、生き辛さを感じ続ける場合もあります

子どもの前では愚痴を言わないようにし、ステキな人生を送り、子育てライフを楽しみたいですね

最近では、毒親やアダルトチルドレンという用語もあり、不幸な家庭で育てられた子どもが、大人になっても子ども時代の記憶や親の言葉に縛られて、人生がうまくいかないままで生きていることがいわれています。その原因の一つとして、毎日、父親や母親から愚痴を聞かされていたこともあげられています。

親にすれば、軽い気持ちで、つい口からこぼれる愚痴かもしれませんが、子どもの心に与える影響は、思っている以上に大きいかもしれません。

子どもの前では、意識して愚痴をこぼさないようにし、愚痴を言いたくなれば、自分なりの解消法で発散させ、ステキな子育てライフを楽しみたいですね。

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