赤ちゃん・子供の平熱は大人より高め。低体温のケースは?
子どもの体温は通常、大人より高いことが多いもの。子どもの低体温の原因は?
健康管理や学校や保育園の感染症対策として検温の習慣になっているお子さんも多いと思いますが、その中で「子どもなのに低体温なのかもしれない」と気づき、心配される方もいるようです。今回は子どもの低体温の原因と対策法について解説します。
子どもの低体温は増加傾向…「赤ちゃんなのに体温が低い」「うちの子、低体温?」
一日の中でも体温は変動します。体温は起きたときは低く、日中には上がり、夕方に高くなり、寝る前にはまた低くなります。活動に応じて体温は上がりますし、睡眠中は代謝が低下する分、体温は下がります。35度を切るほどの深刻な低体温は別として、あまり体温計の数字だけに神経質になる必要はないと思いますが、脇で測定した体温が36℃以下の場合、低体温と言います。
低体温は、体の内部を含めた温度の低下で、寒い冬はもちろん、夏でも冷房などによって起こりうる現象です。赤ちゃんの低体温は温度によりますが、ひどい場合は感染症、代謝疾患、心疾患のこともありますので、体温が低く元気がないと感じる場合は注意が必要です。体温調節は発熱すると機能がうまく働かないことがあり、微熱が続いたり、低体温を起こしたりすることがあります。しかし多くは数日で改善します。もし1週間以上も改善しないときには、医療機関を受診した方がよいかもしれません。
また、子どもの平均体温の平均は下がり傾向のようです。田中英登先生の報告によると、子どもの体温の平均は、1935年で37.2度、1960年で37.1度、1980年で36.3度、1995年で36.2度と下がってきています。日中に朝よりも体温が下がる子供も増えており、保育園に通園している5歳児181名を対象とした2004年の調査(前橋明先生の報告)によると、朝登園時の体温が36度未満14.4%、36~36.9度70.1%、37度以上15.5%。朝の2時間における幼児の体温の変動幅で1度以下低下した子どもが、平成8年0%、平成9年2.5%、平成10年3.1%と増加していることが報告されています。
低体温の子どもに共通する傾向・症状は?
低体温の子どもに共通する主な特徴は、「やせ気味」で「疲れやすい」ということです。もちろん、体温だけが子どもの性格や能力を決めるものではないため、多角的に考える必要がありますが、低体温の原因の一つとして自律神経の働きが悪いことが考えられており、これに関連して、イライラしがち、集中力が続かない、落ち着きがない、動きが緩慢で反応が遅い、食欲にむらがある、身長の伸び・体重の増加が悪い、風邪にかかりやすい、その他、対人関係に問題が発生しやすいなどの傾向があるのではとも言われています。また、体に起こる影響としては、低体温になると体から熱が逃げないように末梢の血管が収縮するため、手足の血行が悪く、いわゆるしもやけなどを起こしやすくなります。しもやけになると、手足の血色が悪くなったり、赤く腫れたり、かゆみや痛みを伴ったりします。この症状は冬だけでなく、夏でも冷たい水に長時間浸かっていたり、冷房の温度が低いと起こりうる症状です。
体温には個人差があるので、体温だけでこれらの性質が決まるわけではありません。低体温でも平熱が高めでも、元気であれば過度に心配することはないでしょう。しかし、体温が低く、上に挙げたような特徴・症状に当てはまるものが多い場合は、子どもの生活を見直してみるのもよいかと思います。
子どもの体温の上げ方……基本の生活リズムを整えることが第一
低体温の改善といっても特別なことはありません。基本の生活リズムをしっかりと整え、よく食べて、よく動き、よく寝ることです。- よく食べる……規則正しくバランスのとれた食事を摂ること。朝食、昼食、夕食をしっかりと摂り、寝る3時間前には夕食を終えておく
- よく動く……継続的に運動していくこと。筋肉量が増え、体温も上がり、代謝がよくなる。特に朝は元気や意欲を引き出すβ−エンドルフィンなどが分泌のピークとなるので、体をしっかりと動かすようにする。ホルモンの状態がよくなることで、生活リズムも整い、よい睡眠にもつながる
- よく寝る……寝室はシンプルにして、室温も湿度も適切に調節し、寝る前にスマホや電子書籍、テレビなどを見せるのは止めましょう。休日も普段と同じ時間に寝て起きるようにし、朝はしっかりと朝日を浴びるようにする
■参考サイト
- 低体温児が増えている・体温と生活リズム(テルモ体温研究所)