亀山早苗の恋愛コラム

不倫とは、恋かセフレ関係か?「曖昧な関係」の彼に突然切られて……

不倫とは、恋なのかセフレ関係のひとつなのか。はたまた、セフレとは何なのでしょうか。当事者同士で、そのあたりをすりあわせてはいない分、いざとなると片方が固執する原因ともなりやすい。男女の関係はむずかしいものなのです。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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不倫とは、恋かセフレ関係か……「曖昧な関係の彼」

不倫とは、恋かセフレ関係か

不倫とは、恋かセフレ関係か

男女関係の定義づけはむずかしい。たとえば不倫とは、恋なのかセフレ関係のひとつなのか。はたまた、セフレとは何か。セックスだけする単なる軽い友だち(知り合い)なのか、濃厚な友情もありつつ肉体関係もともなう関係なのか。当事者同士で、そのあたりをすりあわせてはいない分、いざとなると片方が固執する原因ともなりやすい。
 

恋愛感情は抱かないようにしていた

家庭がありながらセフレがいたというマミコさん(47歳)。結婚して18年、17歳と14歳の子がいるが、夫とはすでに「単なる同居人。もしかしたらそれ以下かも」という関係。それでも家庭をきちんと維持してきたのは、6年にわたるセフレであるリョウスケさんがいたからかもしれない。

「リョウスケと知り合ったのは、ちょうど40歳のとき。夫とは下の子が生まれてからずっと、父と母という関係しかなかったし、仕事も子育ても忙しくて、あげくそのころ白髪が急に増えてきて。もう女として終わってると自分で思っていました」

その気持ちに“情熱”を注ぎ込んでくれたのがリョウスケさんだった。8歳年下の彼は当時、33歳。たまたま女友だちと行った居酒屋で隣同士のテーブルになって知り合い、そのままカラオケへと流れた。いつしか友人たちはいなくなり、気づいたらふたりきりになっていた。

「きれいですねって、ずっと言ってくれて。女として砂漠状態でしたから、彼の言葉が水のようにしみこんできた。そんなことしたこともないのにそのままホテルへ行ってしまいました。私としては人生初の羽目はずし。こんなこともあるよねと思いながら、まだ寝ている彼を残して深夜、タクシーで帰宅しました」

彼女自身、酔っていてよく覚えていなかったが、しっかり連絡先の交換はしていたようだ。彼からすぐに連絡があった。

「先に帰っちゃって寂しかったというメッセージが来て。また会おうと言われて、私は結婚しているからと言ったら、彼は『僕は来週、結婚するんだけど、立場が同じになるね』と。『僕は女性としてマミコさんが好きになった。好きな人とはまた会いたい』とも。なんというかめげないタイプなんですよね。楽観的でもある。たまに会うくらいならいいかなと思いました」

次に会ったのは1ヶ月後。結婚式と新婚旅行、楽しかったけど大変だったと彼はあっけらかんと言った。結婚は生活、浮気は趣味と割り切っているように、マミコさんには感じられた。ひょっとしたら、彼はマミコさんとの関係を、浮気とさえ思っていなかったのかもしれない。

「それなら私も息抜きとして、この人との関係を楽しもう。そう思ったんですよね」

会えるときに会う。次の約束はしない。彼からは家庭の愚痴も出なかった。ただ、「今を楽しみたい」という情熱だけを感じたという。

その潔さにひきずられる形で、関係は続いた。
 

状況が変わって

この6年で、彼にはふたりの子が生まれ、詳細はわからないが仕事でも変化があったようだ。それでも平均すると月に1回程度の逢瀬は続いていた。

「しばらく会ってないなと思って連絡をすると、彼も『僕も会いたいと思ってた』と。彼から連絡が来ることもありました。週に2度会ったこともあるし、2ヶ月会えないこともあった。私も家庭が優先ですから、子どもがケガしたりして彼のことが頭から抜けている時期もありました。恋愛ではないと自分では思っていたんです」

会う約束以外に連絡をとりあうことはなかった。日常生活や相手の心に、必要以上に立ち入らないのが暗黙のルールのようになっていたのだ。会うことだけがすべてという関係だった。

コロナ禍で自粛要請されていた時期も、ふたりはごく自然に会っていたという。それなのに、6月に入ってから連絡がなかったので、マミコさんから「忙しい?」とメッセージを送ってみた。すると彼からは「ごめんね。もう会うのはやめよう」と返事があった。

「当然、どうしてと思うでしょ。だからどうして、と送ったんですが返事は来ない。淡い関係だったのだから、そこで引き下がればよかったのに、しつこくメッセージを送ったり電話したりしちゃったんですよ。恋愛じゃないのに……。数日後、彼からは『この関係に飽きた』とひとこと。これはきつかったですね。全否定された気持ちになりました」

恋愛ではないとわかっていながら執着する自分の気持ちが、うっとうしかった。私生活についてはお互いに詳しいことはほとんど知らない。そんな淡々とした人間関係だったはずなのに、突然切られると気持ちの持って行き場がないのだろう。

「それからずっと鬱々とした日々が続いています。彼の会社名もろくに知らないし、どこに住んでいるのかも知らない。そういう関係でよかったはずなのに」

いつしか彼女の中で、この関係はずっと続くものだという思い込みが育っていた。そして終わらせるとしたら自分からだという気持ちもあったという。

「彼が決定権をもった、彼に切られた。だから腹が立っているのかもしれません。彼の存在価値がそれほど私の中で大きくなっていたのを認めたくないのかな。まだ気持ちに整理がつかないんです」

男女の関係はむずかしいものだ。恋愛ではないと否定すればするほど、恋愛感情以外の部分で整理をつけなければいけないから、かえって気持ちが複雑になりそうだ。ただ、この関係がなくなったからといって、彼女が「女として終わってしまった」わけではない。時間がたてば、きっと新たに見えてくるものがあるのではないだろうか。

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