亀山早苗の恋愛コラム

不倫の恋を裏切ったママ友が許せない

不倫の恋に陥ったら助け合う地域のママ友グループがあった。自分が不倫をしていないときも、恋をしている友人を助けることになっていたのだが、思わぬ裏切りがあり、地域にいられなくなった女性がいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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自業自得ではあるけれど…裏切ったママ友が許せない

不倫の恋を裏切ったママ友

不倫の恋を裏切ったママ友

 

不倫の恋に陥ったら助け合う地域のママ友グループがあった。自分が不倫をしていないときも、恋をしている友人を助けることになっていたのだが、思わぬ裏切りがあり、地域にいられなくなった女性がいる。

やむにやまれず自然発生した仲間

3年前、とある地域に引っ越したミユキさん(42歳)は、子どもの小学校の関係で、あるママ友たちと知り合った。ごくまれにランチをしたりお茶を飲んだり。もちろん仕事をもっている人たちも多く、グループも固定化しているわけではなく、ゆるいつながりを大事にしているように思えた。

「当時、私は結婚して10年。デキ婚だったので10歳と7歳の子がいました。下の子が小学校に入るタイミングで越したんです。夫は会社員で、私は家でできるWEB関係の仕事をしています」

ママ友たちと仲良くなるにつれ、リーダー格であるマリさんとも親しくなっていった。マリさんの自由な考え方に、ミユキさんは惹きつけられたという。

「彼女は、結婚していても自分のやりたいことは我慢しないことにしていると言って、40歳になってから仕事をしながら大学院に通い始めたんですって。ご主人もエリートビジネスマンだそう。とてもハンサムでやさしそうだし、ひとり息子は有名私立中学に通っていましたね。とにかく私にとっては刺激的な女性でした」

もっと親しくなっていくと、彼女は「既婚だからといって、恋愛を我慢することはできない」とぽつりとつぶやいた。そう思わない?と問われてミユキさんは言葉を返すことができなかった。

「実はそのとき、私、独身時代につきあっていた元カレと再会して不倫関係にあったんです。引っ越しもしたし、もう彼とは会うまいと思っていたのに恋しくてしかたがなかった。彼も会いたいと毎日のようにメッセージをくれて。だからマリさんに返答できなかったんですよ」

マリさんは見抜いたように、「アリバイとか子どものめんどうとか、困ったら言ってね」とさらりと言った。

それから1週間後、彼女はマリさんに子どものことを頼んで夕方から彼に会った。

「久々だったから盛り上がっちゃって。お礼にマリさんにお菓子を買って帰りました。そして、実際にはマリさんではなく別のママ友が子どものめんどうを見てくれたこと、そういうグループがあることを知らされたんです。マリさんを含めて4人のママたちが、お互いに助け合いながら、それぞれ不倫を続けていたんです」

もし恋愛相手と別れても、そのグループのことは口外しないのが大原則だという。ミユキさんもいつしかその仲間にはいっていった。

 

夫に密告されて

1年ほどはうまくいっていた。頻繁には会えないが、彼とも順調だった。ミユキさんも他のママ友の子どもを預かったり、「彼と会うんだけど、今日はミユキさんと一緒にいたことにして」と言われてアリバイ作りに加担したことも多々ある。

「マリさんの子はもう中学生だったけど、うちにご飯を食べに来たこともありますよ。おかあさん、仕事と学校で大変ねと言ったら、ちょっと複雑な表情をしたのが記憶に残って……。もしかしたらこの子、お母さんを疑っているのかもしれないと感じたんです。私も子どもたちが大きくなる前にはもうこんな関係をやめなくては、と思った」

その数ヶ月後、マリさんが昼間、いきなりミユキさん宅にやってきた。5年つきあっていた彼にフラれたのだという。涙の止まらないマリさんをミユキさんは慰めることもできなかった。

それからマリさんの様子が少し変わった。明るい笑顔が消え、ママ友たちともあまり話さなくなっていった。時間がたてば傷も癒えるはずだとミユキさんはそっと見守るしかない。

「あるとき道でばったり会って、『ミユキさんはまだ続いてるの?』と聞かれたんです。ええ、と答えると『私みたいに地獄に落ちないようにね』と顔を歪めて妙な笑みを浮かべながら去っていきました」

その数日後だった。夫が突然、「この男は誰なんだ」とミユキさんの彼の写真をスマホ越しに見せたのは。

「あまりにいきなりだったから言い訳もできなくて。すると夫は、『浮気なんかしている場合なのか、子どもがいるのに』『だいたいオマエは』と怒鳴り続けていました。私はようやく『昔の友だちにばったり会っただけ』と言ったけど、夫がどこまで知っているのか見極められなかったので、多くは話しませんでした。最後に夫が『離婚』という言葉を口にしたのだけは聞こえたんですが」

さらにその週末の夜、夫は離婚届を突きつけてきた。少し心の準備ができていたミユキさんは、いったいどういうことなのかと夫に尋ねた。

「マリさんでした、夫に密告したのは。以前、彼の写真を見せてと言われてこっそり見せたことがあるんですが、どうやらそのとき、隙をみて彼女はその写真を自分のスマホに送ったようです。まさかそんなことをする人だとは。自分が失恋したからといって、そんなことをするのは卑怯ですよね」

とはいえ、不倫していたのは事実。だが、決して認めないとミユキさんは決めた。夫にマリさんと私、どちらを信じるのかと詰めより、天に誓って浮気などしていないと断言した。そんな勝手な噂に振り回されるあなたには失望したと逆ギレしてみせた。

「さすがに夫も、私と彼が抱き合っているような決定的な証拠がなかったから、それ以上は責めてきませんでした。そんなに離婚したいなんて、あなたのほうが不倫をしているんじゃないの、とわめきましたから」

そもそもミユキさんは離婚する気など、さらさらなかったのだ。彼とのことはあくまでも非日常の恋愛だった。夫を裏切っているとも思っていなかった。

その後、マリさん一家はなぜか引っ越していった。どうやら離婚したらしいと聞き、ミユキさんは明日は我が身とばかり、彼と距離を置いたそうだ。

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