亀山早苗の恋愛コラム

46歳、再婚を目前に控え「人に言えない過去」が重い

そのときは他に選択肢がなかったとしても、人は後悔を身に纏いながら生きていくものかもしれない。トモコさん(46歳)は、今、再婚を目前にしながら人に言えない過去を重荷に感じているという。過去にとらわれていたら、今を生きられない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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今になって人に言えない過去が重荷に

今になって人に言えない過去が重荷に

今になって人に言えない過去が重荷に

そのときは他に選択肢がなかったとしても、人は後悔を身に纏いながら生きていくものかもしれない。トモコさん(46歳)は、今、再婚を目前にしながら過去を重荷に感じているという。
 

結婚したものの1年足らずで破綻

短大を卒業して就職したトモコさんは社内の先輩と恋に落ち、22歳で結婚。当時、お腹には6カ月になる子どもがいた。相手は3歳年上だった。

「結婚と同時に会社は辞めました。彼が『かっこ悪いから辞めてほしい』って。あのころはまだ、できちゃった結婚に対して世間の目が厳しかったんです」

それでも周りは祝福してくれたのだが、彼は社内での立場が悪くなったと感じていたようだ。本当は自分とは結婚したくなかったのだろうとトモコさんは考えている。

「私も初めての大人の恋でしたし、相手をよく見る余裕もなかったんですよね。お互いに若すぎたと今は思います。結婚したのはいいけど、彼は日に日にお腹が大きくなる私の元へはあまり帰ってきませんでした」

出産のときも病院にはひとりで行った。遠方にいる両親は結婚に反対だったため、頼ることもできない。夫が顔を見せたのは2日後だった。

「ひとりで不安でした。夫は娘を見ても抱こうともしなかった。もうこれはダメだと思いました。退院後も夫は変わらず、私にも子どもにも興味を示さない。どうしたらいいかわからなくて友だちに相談し、離婚することにしたんです。離婚前にアパートだけは借りてもらいました。夫は養育費を払うとは言ったけど、2回だけでしたね、振り込まれたのは」

弁護士を入れる余裕も知識もなかった。とにかく働かなければ貯金を食いつぶすだけ。子どもが1歳になるのを待って、近所の保育園に入れてアルバイトを始めた。

「私自身、1年ちょっとしか仕事の経験がないから、給料は安かった。家賃と生活費でいっぱいいっぱい。娘のための貯金もできませんでした」

元夫にSOSを出したが、連絡すらもらえなかったという。しかたがなく、2年ぶりに両親に連絡してみたが、助けてはもらえなかった。

「絶望的な気分になりました」
 

お金のためとわりきって

そんなとき、ぼんやりと歩いていたら街頭で風俗店に勧誘された。

「そのおにいさんが親切に話を聞いてくれたんです。それがうれしかった。初めて人に本音を話せた。店長に紹介され、そのまま勤めることにしました。アルバイトはすぐに辞めました。風俗は日割りでお金をもらえたのでありがたかった」

罪悪感はなかった。そしてそこでの仕事を皮切りに、彼女はもっと稼げる道へと踏み込んでいく。

「自由恋愛というと聞こえはいいけど、愛人業というか一夜妻というか。つまり、自分の身ひとつで稼ぐようになったんです。店は転々としましたが、風俗の仕事も続けていました。収入はかなりありましたね。子どものためにと節約してせっせと貯金をしていたけど、何をしているかは誰にも言えなかった」

子どもが10歳になるころ、そういう仕事はすっぱりと辞めた。投資話もあったが、それにも耳を貸さず、彼女はせっせと勉強して、とある国家資格を取得した。

「それからは資格を生かして仕事をし、なんとか人並みに暮らしていけるようになりました。夜になると私が勉強している姿を見ていたせいか、娘もまじめな子に育ってくれて。都立の高校を経て国立大学に入り、2年前に就職しました」

現在、娘は関西で仕事をしている。そしてトモコさんには1年前からつきあっている人がいるという。相手もバツイチで子どもは成人している。

「彼は52歳です。明るくて本当にやさしい人。彼と結婚できたらどんなにいいだろうと思うんですが、今になって20代のころにしていたことが蘇ってきて……。罪悪感ですね。あんなことをしていた私が幸せな結婚などしていいはずがない。正直言って、これが私にとって最初の恋愛なんです。元夫とは何も考える暇もなく結婚してしまったし、離婚後はまったく恋愛とは縁遠い生活でした。セックスは仕事でしたから、恋愛はしなかった」

そんな彼女が、生まれて初めての恋に戸惑っている。彼を好きだという強烈な気持ちを行動に移していいのかどうか判断できずにいるのだ。過去が壁となって。

過去にとらわれていたら、今を生きられない。今を生きなければ未来はない。新しい一歩を踏み出してほしい。心からそう願った。

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