医療情報・ニュース

エコバッグで食中毒やコロナリスクは増す?正しく使うポイント

【医師が解説】レジ袋有料化に伴い、エコバッグの利用が推奨されています。環境に優しいエコバッグですが、間違った使い方では食中毒リスクや感染症リスクが増してしまう危険性も。素材に合わせてアルコール消毒や衣類と同じように定期的に洗濯する習慣を身につけ、安全にエコバッグを活用していきましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

レジ袋有料化に伴うエコバッグ利用。注意しないと危険性も……

エコバッグに生肉・野菜

環境に優しいエコバッグですが、間違った使い方は食中毒リスクも。正しい使い方の基本をおさえましょう

2020年7月1日よりレジ袋が有料化され、エコバッグ持参が推奨されるようになりました。家庭ごみは焼却の過程で地球温暖化の一因になると考えられていますが、家庭から排出される一人当たりのごみ量は、ここ10年間ほぼ同水準で推移しています。温暖化対策の一つとして、重視されたのが、ごみの排出量そのものの削減です。家庭ごみの多くは買い物の際の容器包装廃棄物で占められているため、容器包装リサイクル法の改正により、容器包装などをリサイクルしたり、減らすことが目標とされたのです。

環境に優しく、レジ袋削減に役立つエコバッグですが、正しく使用しないと危険な面もあります。正しい使い方をチェックしておきましょう。
 

エコバッグを清潔に使うための基本の5ポイント

エコバッグを最も使用するのは、スーパーなどで毎日の食用品を買う時ではないかと思います。今回は農林水産省が「賢く楽しくお買い物!~エコバッグでも食中毒予防~」で挙げているポイントに沿って、エコバッグを安全に使うためのポイントを解説します。

1. エコバッグは定期的に洗いましょう
エコバッグには、目立った汚れや臭いがなくても、肉や魚が出た汁、野菜の土などが付着することがあります。これらは細菌が増殖する原因にもなり、次に購入した食品に付着してしまうこともあるため、定期的に洗うことが大切です。布なら洗濯して干したり、ビニールのようなものであればアルコール消毒をするなど、細菌がついている可能性を考えて管理しましょう。

2. 肉、魚、野菜はポリ袋に入れましょう
エコバッグへの食品の入れ方によっては、肉や魚の汁がこぼれたり、野菜の土や水分がついたりしやすくなります。細菌付着を減らすためにも、小さなポリ袋に入れましょう。そのまま冷蔵庫に入れれば、冷蔵庫内もきれいに保てます。

3. 肉、魚、冷蔵・冷凍食品などの冷たい物はまとめて入れ、温かいものと密着しないように入れましょう
エコバッグに限りませんが、冷たいものが温かいものによっていたみやすくなったり、肉、魚についている細菌が増殖してしまったりします。冷たいものはまとめて、できれば氷を入れて運びたいものです。エコバッグを複数持つようにし、冷たいものと温かいもので分けるのも1つの方法です。

4. 食品と日用品を入れるエコバッグを区別しましょう
石鹸やシャンプー、洗剤などの日用品をまとめて入れると、万が一それらが漏れてしまったときに、食品がだめになってしまいます。また、食品から出た汁などが日用品に付着し、細菌が増殖した状態で使用してしまうことも考えられます。できればこれらもエコバッグを分けるのがよいでしょう。

5. 食品を入れたエコバッグの持ち運びは、短時間にしましょう
生鮮食品は冷蔵されていることが多いため、持ち運びが長いと食品が痛む可能性があります。これもエコバッグに限ったことではありませんが、できるだけ早めに家の冷蔵庫にしまうようにしましょう。

エコバッグに入れる食料品の保管にはこのような注意が必要ですし、何よりもエコバック自体が不潔な状態では食中毒の危険性もあります。
 

エコバックの素材による消毒・洗濯のポイント・便利な機能の活用も

エコバッグには様々な素材のものがあり、それぞれ衛生管理の方法が変わります。ポリエステルは通気性はありませんが丈夫で、汚れても拭き取ったり、消毒したりすることができます。不織布の場合は軽くて安いですが、耐久性はよくありません。コットン素材やデニム素材は、吸水性に優れ、熱に強く丈夫で、通気性は良いのです。ただし、汚れたら洗う必要があります。できればエコバッグも衣服と同じように考え、定期的に洗濯する習慣をつけていきましょう。

中には、保冷や保温機能のあるエコバッグもあります。この点は従来のレジ袋よりも魅力的と言えるでしょう。冷たいもの、温かいものごとにエコバッグを使用することで、さらに安全にエコバッグを使用することができます。
 

新型コロナウイルス感染症流行時の注意点

また、海外では新型コロナウイルスの流行に伴い、定着していたエコバッグ使用を禁止する動きも一部で見られたようです。新型コロナウイルスの対策は、エコバッグだけではありません。流行期は症状がなくても誰もがウイルスを持っている可能性がありますので、スーパーなどで食料品を購入する際は、まず入り口でアルコール消毒を。カートや買い物かごにウイルスが付着している可能性も考えておきたいものです。あまり神経質になりすぎるのもどうかと思いますが、少し注意することで、スーパーの商品や備品から接触感染するリスクは減らすことができます。そして、食料品はできるだけ加熱調理が望ましいことと、食前の手洗いを徹底することを大切にしましょう。

エコバッグに入れた商品にウイルスが付着していたとしても、上に挙げたようなエコバッグの洗濯や消毒で、エコバッグ内のウイルスは簡単になくすことができます。消毒や洗濯なしで使用した場合、数日間は感染力を持ったウイルスがエコバッグに潜んだ状態になってしまいますので、やはり続けてエコバッグを使用する場合でも、しっかりと衛生管理をすることは必須と考えるのが安心でしょう。また、これらの対策は新型コロナウイルスに対してだけでなく、その他のウイルスや、細菌やカビなどの対策としても有効です。バッグを洗うという習慣がない方も少なくないかもしれませんが、「毎日着る服と同じく、エコバッグもなるべく頻繁に洗うこと」を念頭に、環境にも健康にもよいエコバッグの使い方を取り入れていきましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます