パートは身体的には楽なのですが、時短のために稼ぐことができません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫が数年前に亡くなり、2人の子どもにお金を家に入れてもらっているという57歳のパートの女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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パートではお金を多く稼ぐのは難しいと感じているとのことです

パートではお金を多く稼ぐのは難しいと感じているとのことです


■相談者
しっぽさん
女性/パート・アルバイト/57歳
関西/借家
 
■家族構成
長男(35歳)、長女(25歳)
 
■相談内容(原文ママ)
夫が数年前に亡くなり現在、私と子ども2人とで賃貸に住んでおります。毎月、子どもたちから7万円ずつ、合わせて14万円を入れてもらい、あとは私のパート代4万円と夫の遺族年金7万5000円でやりくりしております(長男の社会保険に入れてもらっております)。
 
夫の遺族年金ですが、現在は寡婦加算が付いていますが、65歳からは寡婦加算部分がなくなりますので、年間31万円ほどとなります。私の年金は65歳から国民年金が給付されると思いますが、長らく全額免除をしており、また未納部分もありますので、全額給付にはならず、です。私は、以前は掛け持ちのパートをしておりましたが、体調の問題で辞めております。今のパートは身体的には楽なのですが、時短のために稼ぐことは出来ず、何とかせねばと日々思案しております。この状況で私に出来る事をご助言頂けますでしょうか。お忙しい中、恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「しっぽ」さんの家計収支データ

相談者「しっぽ」さんの家計収支データ



■家計収支データの補足
(1)車両費について
ガソリン代、車検費用、保険、税金などに年間の金額を月に割ったものが1万6000円。車の買い換えですが、家計の見直しのためには、現在の普通車を軽自動車にするほうが良いのかと思案しております。来年の車検までに考えたいと思っております。
 
(2)食費について
食費は確かに高めだと思います。現在、2人の子どもたちにお弁当を持たせておりますが、毎日市販のコーヒー飲料を付けており、また、お菓子やジュースなどを購入しており割高となっております。毎日、買い物に行きますが一度の支払いはいつも大体3000円くらいかかっており、今後はもう少し節約せねばと反省しています。
 
(3)雑費について
病院代、日用品代、子どもの被服費、冠婚葬祭費などです。被服費は子どもが自分で買いますので、年に数回ほど私が少し買うくらいです。
 
(4)保険について
本人/生命保険(終身タイプ、65歳払い込み)=毎月の保険料1500円
本人/医療保険(終身タイプ、終身払い)=毎月の保険料4500円
 
(5)公的年金について
昨年来た「ねんきん定期便」での金額は、年72万円です。ここ数年、全額免除ですので、これより下がると思うのですが。
 
(6)今後の働き方について
もう少し働きたいのですが、健康上の問題もありなかなか難しい状況です。また、現在のパート先もコロナの影響で仕事が減り、パート代は減る見込みです。
 
(7)ご家族について
子どもとの同居に関しては、この先、何とも言えないのですが、長男は結婚願望がまったくありませんので、恐らくずっと同居となると思います。長女はご縁があれば出ていくと思います。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 ひとり暮らしになっても大丈夫、という意識を持つこと
アドバイス2 65歳からは生活コストを抑えることが大事
アドバイス3 健康第一で、無理のない範囲で長く働くことも考えて
 

アドバイス1 ひとり暮らしになっても大丈夫、という意識を持つこと

ご主人が亡くなられてご不安もあると思いますが、2人のお子さんが生活面でも支えておられるようで、頼もしいですね。
 
ご長男とは、ずっと同居の可能性が高いとのことですが、いつどんなご縁があるかわかりません。しっぽさんは、ひとり暮らしになるかもしれない、という前提で、これからの生活スタイルを意識することが大事だと思います。優しいお子さんたちのようにお見受けしますので、何かあれば手を差し伸べてくれると思いますが、公的年金受給が始まる65歳まで、まだしばらく時間があります。
 
それまでに、しっぽさんができることを考えてみましょう。
 

アドバイス2 65歳からは生活コストを抑えることが大事

まず、現在の家計から毎月貯蓄をなさっていて、しっかりされていらっしゃいます。ただ、やはり食費は高いと言わざるを得ません。お弁当を持たせるのはいいと思いますが、それ以外の嗜好品は、お子さんたちがご自身で購入されるなど、食費の見直しは必要でしょう。お子さんたちの収入がわからないので、サジ加減が難しいところですが、できれば、3人で月6万円に抑えることを目標にしてみてください。1日の買い物で2000円までです。
 
食費の見直しができれば、毎月の貯蓄は5万円が可能になります。年間で60万円ですから、65歳までの8年間で480万円貯めることができます。現在の貯蓄600万円と合わせて、1080万円です。これがしっぽさんの老後資金となります。
 
これに加えて、できれば、パート収入をあと1万円でも増やすことができれば、約100万円を上乗せすることができます。体調がすぐれないようなので、もちろん健康が優先ですが、あと少しだけ収入を増やせるか、検討してみてください。
 
65歳からは、遺族年金と本人の老齢基礎年金が収入のベースとなります。免除期間があるということなので、現在の見込み額から減額され、年額60万円程度とすると、遺族年金が年31万円で月2万6000円。老齢基礎年金が年60万円で月5万円。月の収入は7万6000円ということになります。今現在の支出が23万2000円ですから、大幅な赤字になってしまいます。
 
そこで、生活費の見直しが必要となります。お子さん2人が家を出ることになれば、食費は3万円程度に抑えられるでしょう。そのほか、水道光熱費や雑費もひとり暮らしであれば、削減が可能です。また、住まいを県営・市営住宅など割安な賃貸に住み替えることができれば、現在の家賃より少なくとも1万円程度は下げることができるでしょう。
 
このように生活コストを抑えて、月の支出を13万円程度まで下げることができれば、月の不足分は5万4000円です。年間65万円を貯蓄から取り崩していくことになります。
 
仮に、パート収入を増やして100万円上積みできれば、65歳時点での貯蓄は、1180万円。年間65万円を取り崩していくと、83歳~84歳まで持つという計算になります。
 

アドバイス3 健康第一で、無理のない範囲で長く働くことも考えて

自動車については、税金などの保有コストを考えると、軽自動車に買い換えるほうがいいでしょう。予算100万円程度で収めるようにしてください。
そうすると、アドバイス2で説明した計算から100万円を差し引き、老後資金は1080万円となり、年間の不足額を取り崩していって、81歳まで、ということになります。
 
今後、収入増が見込めなければ、支出を減らすしかありません。お子さんたちが、生活費の支援をしてくれている間に、貯蓄額を増やす、生活コストを抑える、ご自身の働き方を考えておくことが大事です。
 
おそらく、お子さんたちは支援を続けてくれるのかもしれませんが、子どもが生まれたり、生活状況が変われば、いつまで支援を続けられるか、わかりません。もし2人とも家を出ることになっても、ひとりで生活できる、そうした覚悟も必要かもしれません。健康がなによりも大切ですが、70歳ぐらいまでムリなく続けられる働き方も考えてほしいと思います。
 
過剰に不安になられる必要はありませんが、今、できることをお子さんとも相談しながら、やってみてください。
 

相談者「しっぽ」さんから寄せられた感想

今まで誰にも相談できずに長らく悩んでおりましたが、今回とても親身になってご助言いただき心からお礼申し上げます。夫亡き後は子ども達に頼ってしまい自分で覚悟を決めて立ち向かう気力がありませんでした。しかし、子ども達もいつかは結婚するかもしれないですので遅いかもしれませんが今後の自分の人生をできる範囲で修正していきたいと思います。私のパートにつきましては健康に留意して少しでも長く働く事を目標にしたいと思います。また、現在の仕事先は時間も短いですので、もう少し時間の長い所で自分につとまりそうな所があれば転職も考えたいと思いました。食費もご指摘の通り高めでしたので今後は頑張って節約に努めたいと思います。
車については来年の車検前に軽への乗り換えも視野に入れる事にいたしました。この度は私の情けないご相談にもかかわらず、真剣にそして温かくお答えいただきまして本当にありがとうございました。いただいたアドバイスを焦らず実践していこうと考えております。今までは自分ひとりで考えており悶々とした状態でしたが、専門家の先生に一つひとつ具体的なアドバイスをいただけた事で心が軽くなったように感じます。
 
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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