現在の資産で可能であれば、リタイアしたいと思っております

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、うつ病にかかり、去年会社を退職して自宅で療養をしている50歳の一人暮らしの男性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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会社を退職して、療養をしています

会社を退職して、療養をしています




■相談者
かめのこたわしさん
男性/無職/50歳
関東/借家
 
■家族構成
一人暮らし
 
■相談内容(原文ママ)
お世話になります。
 
【悩みについて】
うつ病を5年間ほど患っていて、医者のアドバイスもあり、去年会社を辞め、現在、無職の状態です。仕事復帰をするべく療養していていますが、現在の資産で可能であれば、リタイアしたいと思っております。半年前に、障害者手帳3級取得、当面、失業給付金を受給しています(家計収支データには入れていません)。
 
【家族、相続について】
両親は数年前に他界しており、実家は売却し、利益(2000万円)は、そのままネット銀行の定期預金にいれております。3600万円は普通預金で、今まで働いて貯めたお金です。あとわずかながら、未上場の株も相続しており、配当金年4万円ほど頂いています。
 
あと姉がいまして、結婚しております。両親が亡くなった時と私が病気になった時は、親身になって協力、相談してもらいました。相続も問題なく分配できました。ただし、ここ数年連絡のやりとりはしておりません。
 
【その他】
◎投資はやったほうが良いでしょうか。
無趣味で毎日が暇です。そこで、投資の勉強をネットや図書館でしております。ただ10年以上前にFXで60万円損したこともあります。2020年2月に普通預金から500万円を証券口座へ移動し、大型株のみを短期トレードで運用。確定利益は都度、普通口座へ入金(数カ月で32万円ほどの純利益)。ただし最大で50万円ほどの評価損となる時期があり、精神的にかなり落ち込みましたが、持ち続けました。現在、株は持っておらず、500万円をそのまま証券口座に預けています。投資の恐ろしさを再度実感しました。相続したお金と株は、手を付けたくありません。
  
◎働いた方が良い場合は、どのようなことに気を付ければ良いでしょうか。
職種はSEでした。パートやアルバイトでも良いとは思っているのですが、ほとんどの会社は仕事柄、年齢的にもフルタイムを求められています。思い切って職種を変えるべきでしょうか。
 
◎リタイア可能な場合、どのような生活を送れば良いでしょうか。
無趣味かつ、人間関係が希薄です。何をしても楽しいとは感じられないのです。やはり少しでも働くべきでしょうか。
 
◎車について
都市部に住んでおり、駅から自宅まで近い立地です。軽自動車ですが、手放した方が賢明でしょうか。買い物やちょっとしたドライブは、唯一楽しいと思える時間です。しかし経済的に負担が多く、高齢者の事故が多いのを聞くと怖くなります。
 
以上、何卒よろしくお願い申し上げます。
 
■家計収支データ
相談者「かめのこたわし」さんの家計収支データ

相談者「かめのこたわし」さんの家計収支データ


■ 家計収支データ補足
(1)車両費について
駐車場代1万7000円、ガソリン代2000円、任意保険1000円、その他3000円
※障害者手帳を持つと軽自動車税は減免となるようです。
 
(2)保険について
共済
 
(3)年間で出ていく支出について
家計収支データにあげていない支出は以下のとおりです。国民年金保険料約20万円、国民健康保険料約20万円、介護保険料約3万7000円、住民税約1万3000円
 
(4)今後の働き方について
新型コロナの影響もあり、残念ながら復職ができておりません。家にこもる状況が続いており、体調は芳しくありませんが、失業給付金を受給している以上は、仕事を探しており、決まったら就職するつもりでいます。
 
(5)公的年金の見込み額について
65歳時点
基礎年金 69万2339円
厚生年金 48万2086円
経過的加算部分  184円
合計 117万4609円
70歳に遅らせた場合
合計 166万7945円
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 このままリタイアでも生涯、金銭的に困ることはない
アドバイス2 唯一の楽しみのドライブは継続して。免許返納はまだまだ先
アドバイス3 自分の気持ちを大事にして、1年はのんびり過ごすこと
 

アドバイス1 このままリタイアでも生涯、金銭的に困ることはない

精神的に苦しい時期が長く続いていると思いますが、今は、あれこれ考えすぎず、ゆったりとした気持ちで過ごされてください。現在の金融資産と、堅実な生活を維持していけば、生涯、金銭的に困ることはありません。
 
今後の支出を整理してみましょう。
 
毎月の支出が13万8000円で年間165万6000円。これに年間で出ていく税金や社会保険料が加わりますが、実質無収入ですから、国民健康保険料と介護保険料は免除になりますので、年間での支出は、国民年金のみで約20万円。合計すると、年間支出は約185万6000円です。60歳までの10年間の支出は1856万円となります。
 
60歳で、国民年金保険料の支払いもストップします。国民年金を満額受給するには、加入年数が不足するかもしれませんが、任意加入で年金保険料を支払わなくても、十分な公的年金を受給できますので、60歳で国民年金保険料の支払いをやめていいでしょう。そうすると、60歳から65歳までの年間の支出は、約167万円で、5年間で835万円となります。
 
都合、今後65歳までの15年間での支出は、約2700万円です。現在の金融資産が5600万円ありますので、65歳時点の残りは、約2900万円です。
 
65歳からは年金受給が開始され、年間で117万円です。これは現段階での見込み額なので、実際にはもう少し増え、年120万円程度になると推測します。この時点での支出は年間で167万円ですから、不足分は年間47万円です。
 
65歳時点の金融資産約2900万円から取り崩していくことになりますが、単純計算で63年、つまり128歳までゼロになることはありません。生涯、金銭的に困ることはないのです。公的年金の受給開始も遅らせれば、年金額は増えますが、そこまでする必要はなく、65歳から受給開始でいいと思います。
 

アドバイス2 唯一の楽しみのドライブは継続して。免許返納はまだまだ先

とはいえ、現在50歳という年齢を考えると、ご自身も復職したほうがいいのか、投資を勉強したほうがいいのか、何か「やらなければ」という気持ちになるのも理解できます。
 
でも、投資については、無理にする必要はありません。もしも、チャレンジしたい気持ちになったならば、証券口座に残してある500万円の範囲でとどめるようにしてください。くれぐれも、投資は必要ないということは、忘れないでください。
 
唯一の楽しみと言われるドライブは、ぜひ続けてほしいと思います。楽しいと思える時間、気持ちは大事にしてください。日々の生活費はかなり抑えられていますから、ドライブ先で、ちょっと贅沢に美味しいものを食べたり、買い物をしたり、そんな楽しみのためにお金を使ってください。車の維持費は、重く感じるかもしれませんが、生涯使い切れないぐらいの金融資産がありますから、大丈夫ですよ。免許返納は、10年先、20年先でもいいのではないでしょうか? 運転に不安を感じたタイミングで十分ですよ。
 

アドバイス3 自分の気持ちを大事にして、1年はのんびり過ごすこと

現在、失業給付を受けられているため、復職しなくては、という気持ちになってしまうかもしれませんが、給付期間の1年は、心のお休み期間と思って、のんびり過ごされていいのではないでしょうか? 
 
その間に、ご自身に合ったパートやアルバイトを見つけられたらいいと思います。正社員になる必要はありません。無理に畑違いの仕事を探すより、得意な分野で力を発揮できる仕事先が見つかることを願っています。
 
この1年はお休み期間としても、やはりこれからの長い人生を考えると、何か社会との接点は作っておいたほうがいいと思います。生活のリズムを作る、健康を維持するという意味もあります。月に4万~5万円で十分です。仕事が合わない、人間関係に悩むようなことがあれば、仕事を辞めていいのです。心身ともに健康であることが、なによりも優先です。
 
「やらなければならない」から、「何かやってみたい」と思えるようになるまでは、決して無理をなさらないで、自分の気持ちを大事にしてくださいね。
 

相談者「かめのこたわし」さんより寄せられた感想

FP深野様、詳細なアドバイスをいただき、ありがとうございます。まずはリタイアしても金銭的に問題ないということで、安心しました。お金に関する悩みをクリアしたことで、気分が少し晴れた気がします。「これから何かやらなければ」ということについても、アドバイスいただき、ありがとうございます。投資は控え、ドライブなどをして、なるべく外に出て、有意義に人生を楽しみたいと思います。最後のアドバイスは、心に沁みました。今後は心の余裕をもって無理せずに、社会との接点を作ろうと思います。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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