テレワークが支持されるワケ
テレワークが人気なのは、ズバリ「自由」だからでしょう。特に大きい変化としては、「通勤電車などの強い拘束から解き放たれること」と「不必要に周りの目を気にすることがなくなり、のびのびと仕事ができる」といった点が挙げられるかと思います。テレワークをすることで仕事への満足度が高まり、生産性も上がる?
心理学者のエドワード・デシは、「自分で自分の人生を決めることが幸せにつながる」と、指摘しました(1)。また、経済産業研究所の調査結果(2)によれば、「所得や学歴よりも、自己決定(自分でものごとを決められること)が幸せにつながる」と分かりました。
テレワークは、良くも悪くも自分のリズムを自分で整える必要があります。この自由度の高さが支持される理由なのでしょう。
また、経済学者のアロイス・ストッツァーらの発表した論文(3)によると、「長時間通勤に対する保障として、月収を40%アップしてもらわないと満足度としては釣り合わない」のだとか。テレワークは通勤時間をゼロに短縮してくれますから、仕事の満足度は劇的に高まるでしょうね。
加えて、周りの目に敏感な人は、「オフィスに居る」というだけでストレスを感じるはず。かくいう僕がそうで、オフィスに足を運ぶだけで、自宅にいるときよりも心拍が速まってしまい、不健康なこと極まりません。
会社のピリついた空気で仕事するのが好きな人は別として、大多数の人は自宅のリラックスできる空気の方が好きなはず。これもまた、テレワークが好まれる理由の1つでしょう。
テレワークブーム到来か?
新型コロナの影響で、テレワークを導入する企業が増えました。一度テレワークを始めた従業員たちは、「もとに戻りたくない!」と会社と交渉し始めるかもしれません。これは会社側にとっても経済的です。従業員のモチベーションが上がるうえ、交通費などのコストもカットできるので、収益性を高めるチャンスでもあります(カットできた交通費の一部は、従業員の給料アップに分けてあげてほしいですね)。
テレワークで業績が変わらず、組織が弱体化しないのであれば、どんどん取り入れるべき。合理化は大切です。
●参考文献
- 書籍:Edward L. Deci, Richard M. Ryan, 2014, 『Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior』, Springer
- ディスカッションペーパー:西村和雄, 八木匡, 2018, "幸福感と自己決定−日本における実証研究", RIETI Discussion Paper Series 18-J-026
- 論文:Alois Stutzer and Bruno S. Frey, 2008, “Stress That Doesn’t Pay: The Commuting Paradox”, The Candinavian Journal of Economics
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