新型コロナウイルス感染拡大がまだ続いています。このまま終息が遅くなった場合は、世界経済に対する影響はどのぐらいのものになるのでしょうか?『マネープランクリニックラジオ・2020年の家計防衛』の収録時にFP深野康彦さんにインタビューしました(収録日時・2020年3月26日)

【FP深野康彦さんが語る!新型コロナ世界恐慌はやってくるのか?】



 

コロナショックによる経済統計の悪い数字が出始めている

深野康彦さん:皆さんこんにちは。ファイナンシャルプランナーの深野康彦です。

清水京武さん:皆さんこんにちは。マネーライターの清水です。深野先生、今日もよろしくお願いいたします。今回はコロナウイルスの影響をテーマにお話を伺いたいと思います。 今回最初のテーマは、「コロナウイルスが原因の世界大恐慌(※)はやってくるのか?」です。いまだに終息のめどがつかないコロナウイルスですが、私たちの経済に及ぼす影響を解説していただきたいと思います。世界と日本経済はどうなるか、経済が不安定な状態になっていることで、皆さん心配されていると思います。現在は2020年3月26日ですが、まずは深野先生が現状をどのようにお考えかということから、伺いたいです。

※世界大恐慌・世界恐慌……1929年にアメリカでの株価暴落から始まった世界的な不景気のこと

深野さん:いろいろな国にここまで拡散するとは思わず、やや政策が後手に回っているイメージはありますよね。当初は2000年代に流行ったSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)と同じ程度なのではないかという考えが全世界に拡散してしまいました。過去を調べると、100年前の1918~1920年に「スペインかぜ」というものがありました。それと同じような大流行に近づいているというのが、今の見方のような気がします。

100年前というと、今生きている人はほとんどが対象外ではないですか。賢者は歴史に学ぶといわれますが、過去に起こったことと比較するのは無理があるというのが現状だと思います。一方で、G7やG20などのさまざまなテレビ会議が行われたり、金融政策や財政政策の世界の考え方を合わせているので、ひとつにまとまってこのコロナショックに対処しようということで、流れ的には悪くないのではないでしょうか。 ただどうしても、今まで我々が経験したことのないことが起こっているので、精神的なショック、パニックが起こってしまうことが怖いところのような気がします。

清水さん:今回のテーマである世界経済ですが、明らかに景気後退ということになると思われます。そういう数字は既に出ているのでしょうか?

深野さん:アメリカの場合だと、毎週民間が雇用統計で、新規失業者の数字を出しています。これに関して、衝撃的な数字が出ています。 やはりコロナショックによる経済統計の悪い数字が出始めているのが現状です。もう少し時間軸を長く取ると景気はどうなるかというと、テクニカル的に言えば四半期ごとに発表されるGDPは、二期連続でマイナスになると景気後退だといわれています。世界的に景気後退になるのは仕方ないと思いますが、国によっては、二期で終わるのか……日本の場合は昨年の10~12月期もマイナスでしたから、三期連続マイナスになります。国によっては影響の深さは違ってくると思います。

清水さん:深野先生としては、例えば4~6月期もマイナスになる可能性が高いという考えでしょうか。

深野さん:暖かい国でも新型コロナウイルスが拡散しているんです。北半球はこれから夏のシーズンで、暑くなると少しピークダウンするのではないかという期待も、怪しくなってきます。果たして4~6月期で済むのかな、というのが私の懸念材料となっています。注意しなくてはいけないのは、今、取りあえずどこかでは、感染者数がピークを越えて減っていきますよね。その後景気がV字回復するのではないかという声が多かったのですが、ここまでショックが深刻になってくるとそれも難しいと思います。U字かL字のようになっていくのかな、という気がします。

なぜかというと、例えば家計だとレジャー費等を抑えていると思います。コロナショックが終わりだんだん平時に戻っていったとします。2020年の1~3月期、もしくは4~6月期、この二期で使わなかったレジャー費を7月以降に使うかというと、上乗せして使うことは多分ないじゃないですか。 なくなってしまった一部の需要を上乗せして、7~9月期や10~12月期に使うということは考えにくいです。だから景気が戻ったとしても、時間をかけて今までと同じ程度のお金を使うパターンに戻ります。だからV字ではなく、U字やL字になると私は思っているんですね。

清水さん:今年後半に終息するかどうかはまだ分かりませんが、ネット上や世間では、コロナが進行して世界恐慌がやってくるのではといううわさが飛び交っているようです……。深野先生はどうお考えですか?
 

お金周り全般については、リーマンショック後くらいの状況はあり得る

深野さん:私は、それはないと思います。景気は一時的に悪くなるかもしれませんが、今各国が財政政策や金融政策を続々と行っています。それで大恐慌にならないように、景気を下支えしているんです。時間稼ぎをする間に、当然新型コロナウイルスに対応する治療薬が出てきたり、ワクチンの開発がされたりすると思います。

その間にうまくいくかどうかはもちろん未知数ですが、そういう政策を今後も切れ目なくやっていくと思われるので、大恐慌まで落ち込むかというと、私は考えにくいと思います。ただ景気が落ち込むのは確実です。当然企業業績も悪くなっていくことを考えると、大恐慌までいかなくとも、お金周り全般については、リーマンショック後くらいの状況はあり得ると思います。

リーマンショック後はどういうことが起こったかというと、例えば最近報道されていますが、派遣社員の雇い止めや、この年度末で派遣契約を切られてしまうとか。あるいは一部の会社では、新卒の内定取り消しもチラホラ出ていますよね。これらは実はすべて、リーマンショック後に起こったことなんです。 リーマンショックは2008年9月に起こりましたが、その後年末には日比谷公園に年越し派遣村というものができました。それと同じような状況が、場合によってはあり得る気がします。コロナショックはそれだけ大きくなっているので、それ相応の時間がかかることになると思います。 ただし先ほど言ったように、100年前のスペインかぜと同じような感じかもしれませんが、当時のことを知っている人がいません。

若干パニック状態で、自粛や国からのさまざまな制限も出てきます。そうすると人の心理というのはやはり、ネガティブなほうへどんどん傾いてしまいます。 自分のことを冷静に判断することが、難しくなりますよね。そのあたりは注意したほうがいいです。冷静になるためには、もちろんネットやSNSも必要かもしれませんが、一時的にそういうものを遮断することも必要な気がしますね。正しい情報を得て冷静に対応することが、一人一人に重要なことだと思います。

清水さん:さまざまなネット情報が飛び交う中で、やはり皆さん心配でしょうから気持ちは分かります。ただそれに流されずに、今こそ冷静に対応していくことが一番求められているのかもしれませんね。
 

また新たな○○ショックが起こるかもしれない? 自分の家族は自分で守る

深野さん:そうです。報道を見ていると、「国の対応が遅い」「自治体の対応が遅い」とかいいますが、それは、人任せですよね。今回の事態は今まで誰も経験しなかったことですし、コロナショックの終わりが見えたとしても、その先もしかしたら10年後、20年後には、また新たな○○ショックが起こるかもしれないじゃないですか。 この機会に、危機管理という意味で自分は何ができるのか、我が家はどうするのかということを根本的に考え直して、国任せではなく、自分の家族は自分たちで守るということを、一人一人考える必要があると思うんです。

清水さん:こういうことは起こらないに越したことはありませんが、起こってしまった以上は経験として、自分の中に蓄積することができますよね。慌てず騒がず、冷静に対応していきたいところです。 深野先生、今回もどうもありがとうございました!

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