亀山早苗の恋愛コラム

離婚して、「思いやり」がもてるようになる夫婦

離婚したお笑いコンビFUJIWARAの藤本敏史さんが、元妻の木下優樹菜さんと頻繁に顔を合わせていると言ったことが話題に。「離婚したらもう二度と会わない」ほうが一般的なのだろうか。むしろ離婚したことで、いい距離感を保てる夫婦もいる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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「夫婦関係」を続けることは難しかったけれど……

離婚後

離婚したお笑いコンビFUJIWARAの藤本敏史さんが、元妻の木下優樹菜さんと頻繁に顔を合わせていると言ったことが話題となっている。子どもを育てていく上では、送り迎えなど当然、協力していく必要があるわけで、一向に不思議はないのだが、「離婚したらもう二度と会わない」ほうが一般的なのだろうか。むしろ離婚したことで、いい距離感を保てる夫婦もいるのだが。どうやら藤本さんもそうだったようだ。

 

離婚後も仲良くしている元夫婦……モトコさんの場合

「うちは夫の浮気に耐えられなくて離婚したのですが、本当によかったと思っています」

明るい顔でそう言うのは、モトコさん(39歳)。結婚して8年、7歳と5歳の子がいるが3年前に離婚した。

「自宅の近くに夫の会社の借り上げマンションがあるんです。離婚後、夫だけそちらに移りました。でも週末は以前と変わらず、うちに来て子どもたちと遊んでいますし、平日も早く帰れるときは子どもの勉強を見てくれたりしています。私はまったく夫の世話は焼きませんけど」

家に余り物があれば夕飯を作ることもあるとモトコさんは笑った。夫に対しては、完全に「子どもの父親」としか見ていない。夫に恋人がいようがいまいが、気にはならないそうだ。

「夫婦でも男女でもなくなったので、むしろ親戚のような感覚ですかねえ。お互いに、あるところ以上は踏み込まなくなったんですよ。たとえば家が汚くても、以前だったら夫は文句を言ったけど、今は言わない。ひとりで暮らしてみて、仕事をしながら家事を完璧になんてできないとわかったみたいです。ちょうどいい距離が保てていると思います」

モトコさんはなるべく残業をせずに帰るようにしているが、やむを得ないときは夫に早めに連絡することにしている。夫は子どもたちをファミレスにつれていくこともあるようだ。

「離婚してからは、なぜか私の誕生日もよく覚えているんですよ(笑)。去年は、ちょっといいレストランでごちそうしてもらいました(笑)」

離婚しても仲良くしていることから、周りは「よりを戻せば」「子どものためにもう一度」などと言うのだが、それはまったく当たらないとモトコさんは言う。

「離婚して夫婦という枠がはずれ、他人になったからこそお互いに優しくなれているんです。最近、つくづく思うんですよ。もともと彼と私の距離感はこれぐらいがちょうどいいんだ、と。夫婦という近い距離だとお互いに息が詰まってうまくいかないんだと思う」

離婚して初めてわかった、特定の人との適切な距離感。モトコさんの明るさの原因はそこにある。他人にはわからないものなのだ。

 

夫の再婚相手とも円満……ユカリさんの場合

結婚して子どももいたが、どうしても夫とうまくいかない。それが原因で8年前に離婚したのは、ユカリさん(45歳)だ。当時、8歳になるひとり息子がいた。

「当時、夫はもう両親がいなくて、実家を改築して住んでいたんです。二世帯住宅になっていたので、離婚後も夫は2階、私と息子は1階で暮らしていました。別々に暮らすようになったのは息子が中学に入ってからですね」

そして2年前に夫は、子どものいる女性と再婚した。ユカリさんの息子は現在16歳、夫の再婚相手の息子は12歳になる。

「なんだかよくわからないんですが、息子がその子と仲良くなって。結果、元夫とその奥さんと私もときどき会っています。奥さんもいい人なんですよ」

大人3人と子ども2人の5人でバーベキューに行ったこともある。元夫と子どもたちは見たことのないような笑顔を見せたという。

「男たちは近くで釣りをしたり水遊びをしたり。私と彼女はおしゃべりばかり。でも楽しかった。これも、私と元夫が『自分たちは夫婦としてはやっていけない』ときちんと認識していたからでしょうね。彼女もまったく私に嫉妬なんてしてないし、昔からの女友だちみたいに心を開いて話せたので、とても楽しかった」

血のつながりだけを意識した狭い関係ではなく、もっと風通しのいい人間関係のほうが子どもたちだけでなく、大人も気楽なのだと彼女は改めて思ったそうだ。

今も、ユカリさんと息子、元夫一家は歩いて10分足らずのところに住んでいる。元夫は自分の息子も再婚相手の息子も大事にしているという。それについてユカリさんは元夫を非常に尊敬していると真顔で言った。

「人として敬意をもてる。だから夫婦としてはやっていけなくても、人間関係は続くんでしょうね。息子がどう思っているかわからないけど、こういう環境で育ったことをマイナスに受け止めずにがんばってほしいなと思っています」

少なくとも、父も母も愛情だけは注いできたつもりなのだから、とユカリさん。そこにウソがないからこそ、彼女もまた晴れやかな笑顔を見せているのだろう。
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