小学校の通知表……イマドキ事情や見方
小学校の通知表!知っておきたいイマドキ事情や見方
小学生の通知表はどう作成される?
今の時代の通知表は、親から何らかの説明を求められた時に説明できるということをかなり意識して作られています。その「説明責任」を果たすことができるように全てのものが数値化され評価がなされています。特に中学校の成績の場合、高校受験においてその数値が用いられることも多いため、かなり厳密に数値によってまとめられています。小学校の成績表においても、そういった流れから似たような状況になっています。 小学校の算数を例に説明します。まず4つの観点、「算数への関心・意欲・態度」「数学的な考え方」「数量や図形についての技能」「数量や図形についての知識・理解」に分かれています。テストもその観点ごとに配点が決まっています。
「技能」の評価を決める際には、テストの「技能」の数値をまとめたものに、授業内での「技能」に関する評価をまとめて数値化したものを加えます。授業内での評価は、ノートの内容や授業の様子・態度などを数値化していきます。
このようにテストの数値と普段の授業の数値を合わせたものを決められた基準に当てはめ、最終的に評価が決まります。多くの場合、三段階で評価がされます。
・100~90:◎(3・大変よくできました)
・89~70:○(2・よくできました)
・69~0:△(1・がんばろう)
この基準は国などで決められているものではなく、子どもの学習の状態、学年、学校の実態などにもとづき、学校(学年)で決められるものです。それぞれの人数などは決まっていませんが、結果として「○」が多くなる傾向にあります。
また低学年と高学年の違いでは、学年が上がるに従って「◎」が少なくなる傾向があるようです。これは、低学年の方が達成する課題が容易であることが多いからです。たくさんの子どもが課題を達成できることで「◎」も多くなります。それと比べ、高学年になると、課題も難しくなることなどもあり「◎」があまり多くなくなる傾向にあります。
また、評価においては「絶対評価」で行われていることが多いです。上で示した通り、基準の点数以上であれば「◎」が付くことがなります。形としては、基準を満たしていれば、全ての子どもがその項目について「◎」が付くことになります。
しかし、実際には細かい調整も多く行われています。例えば、同じ学年において一方のクラスともう一方のクラスであまりに人数の偏りが無いようになどです。絶対評価なのですが、相対評価の要素も取り入れながら行っているという感じです。
通知表で一喜一憂しない!
通知表に関することで大切なことは、親も子どももあまり感情的にならないということです。これは「良くても」「悪くても」です。教室で通知表をもらった子どもが「◎」や「3」などの数を数えて大喜びをしたり、泣きそうになったりという反応も見られます。もちろん、それまでの努力が報われたら喜びたい気持ちは当然ですし、逆の場合に悔しがることも良いことでしょう。ただ長く小学校の教員をしており現場で当事者として関わっていた者としては、あの通知表がその子どもの頑張りなどを適切に表現できているものなのか、という思いがあります。
通知表は形式的で、観点も大まかなものです。その子どもの頑張りなどのある程度の傾向性を表すことはできますが、あの形式の中でその子の学びや育ちを適切に表現するのは至難の技だと思います。通知表の評価だけであまり感情的に反応しない方が良い場合も多いと思っています。
通知表の疑問点は先生に質問を
親として通知表の内容に疑問点があった場合は、きちんと教員に聞いてみることをおすすめします。親はクレーマーのように思われるのではないかと不安に思い、質問を控える方も少なくないようです。しかし親や子どもの認識と通知表の評価が違う部分に関しては、実は重要な課題が潜んでいることがあります。
例えば、毎回のテストは100点だったのに三段階の真ん中の評価(○など)だったとしたら、評価が落ちる原因が何かあるはずです。そういった場合、提出物が出ていないことや授業態度が悪いことなどが考えられます。このようなことは親の耳にはなかなか入りにくいものです。こういった際に先生に質問をしてみることで、テストの点数以外の子どもの面が分かる機会になります。
またごく稀に事務的なミスということもあります。最近はパソコンを用いて通知表を作成している学校が多く、エクセルの欄が1つずれてしまうことなどもあります。私が手作業でハンコを押している時代には、作業しながらミスに気づいたものです。それが機械化されたことで、ミスに気づきにくくなったという面もあります。
子どもの学力向上で大事なもの「まとめテスト」
通知表同様、まとめテストが学力向上では大事
通常、小学校で取り組むテストは1つの単元のみのテストです。例えば、小数の仕組みで1枚のテスト、分数の計算で1枚のテストといった具合です。
まとめテストは、その期間(その学期の間、その学年の間)に取り組んだものが少しずつ出題されています。1枚のテストに、小数の仕組みが数問、分数の計算が数問などという形です。そのテストの結果を見ると、理解が不十分なところが一目瞭然です。
もし小数の仕組みは全問正解、分数の計算が正答率50%の場合、その後に分数の計算の復習に取り組みます。小数の仕組みについてはある程度理解ができているので時間をかける必要はありません。まとめのテストを見ることで「何に取り組み」「何に取り組まないで良いのか」の判断ができます。
これは市販のドリルなどを利用した復習でも同様です。年度末に少し薄めのドリルを入手します。普通は前から取り組むのですが、時間があまりない時は最後にある「まとめテスト」から取り組みます。そのテストを採点し、間違えた部分だけドリルの問題で復習をするようにします。こういったやり方をすると限られた時間でその子どもの弱い部分を的確にフォローすることができるようになります。
親がどのように通知表を扱うのかによって、子どもの育ちにおいてプラスにもマイナスにもなる可能性があります。ぜひ適切に関わることで子どものより良い学びにつなげていってほしいと思います。
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