つみたてNISAやiDeCo、すべきかどうか迷っています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、老後資金が不安だという44歳の会社員の女性。それを踏まえて、つみたてNISAやiDeCoを行うべきかも悩んでいるとのこと。家計コンサルタントの八ツ井慶子さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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老後資金が足りないのであれば海外旅行はあきらめます

老後資金が足りないのであれば海外旅行はあきらめます




■相談者
そりさん(仮名)
女性/会社員/44歳
山形県/賃貸住宅
 
■家族構成
夫(会社員/57歳)
 
■相談内容
質問1. 老後資金の不安について
夫婦ともに正社員で、毎月10万円を私の給与から一般財形貯蓄をしています(2年後から13万円に増額します)。家購入など大きな出費予定はありませんので、このまま引き出すことなく貯め続けると、主人が退職予定の65歳時点(7年後)では1600万円です(普通預金も合算)。夫の退職金はないと思います。退職時点でこの貯金額では不十分でしょうか。

年金額は以下のとおりです。

[夫]
年金:190万円(額面)
加給年金:39万円(13年間。私も厚生年金に20年以上加入していますので、振替加算は不可)

 [妻]
年金:133万円(額面、65歳受給開始)
他に個人年金保険:78万円(10年間、60歳受給開始)
 
私は60歳定年退職まで仕事を続けたいと思っています。退職金200万円の予想です。

私が60歳から個人年金78万円を10年間受給しながら、少なくとも65歳まではパートで収入を得たいと思っています。夫婦で海外旅行が趣味で年間20~25万円ほどを費やしています。できればこの部分は減額したくないのですが、老後資金が不足予報ならあきらめます。
 
質問2. つみたてNISAとiDeCoについて
周りからiDeCoを勧められるのですが、60歳まで引き出せない、更に65歳や70歳までに延長される可能性があるのではないか。そもそも本当に受け取れるのか?と、疑念があります。つみたてNISAに興味があるのですが、全く投資をしたことがないので踏み出せません。よろしければご意見をいただけないでしょうか(主人は投資や株には反対していますので、もしNISAを始めるとしても自分のお金で賄うつもりです)。

以上、何卒よろしくお願い申し上げます。
 
■家計収支データ
相談者「そり」さんの家計収支データ

相談者「そり」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみちについて
これまでの傾向……車検など車両メンテ費用:8万円、家計不足補填:5万円、家電・日用品購入:5万円、残り貯蓄
 
(2)加入保険について
[夫]
・積立利率変動型終身保険(終身タイプ、65歳払込終了、死亡保障500万円)=毎月の保険料1万9800円
・がん保険(終身タイプ、終身払い、入院1万円、診断給付金(回数無制限)50万円、外来治療給付金日額1万円)=毎月の保険料5000円

[妻] 
・個人年金保険 
(60歳で10年確定、年金額78万円)=毎月の保険料8400円
・終身医療保険
(終身タイプ、終身払い、入院5000円、女性特約入院5000円)=毎月の保険料2900円
 ・終身がん治療保険
(終身保障、65歳払込終了、診断給付金(回数無制限)100万円、治療10万円/月、緩和治療10万円/月、払込免除特約)=毎月の保険料4850円
 
(3)住宅について
妻の父親が介護が必要になれば、賃貸から実家に戻る予定。それまでは賃貸に住み続ける。ただし、実家に戻ったらいずれ全面改装が必要になるとのこと。
 
(4)所有車両について
普通車1台と大型バイク(夫の趣味)を所有。今の車にできるだけ長く乗り続け、次に買い替えるとしたら軽自動車を予定。運転は夫婦とも75歳までと考えている。
 
(5)「7年後に貯蓄1600万円」について
自動車ローン終了までの15カ月間は毎月10万円貯蓄で150万円、車ローン終了から夫定年までの5年間は毎月15万円貯蓄を60カ月で900万円。これに今あるここに普通預金が加わって1600万円予想。
(※)ボーナスの貯蓄分は加算していない。
 
■家計コンサルタント八ツ井慶子のアドバイス
アドバイス1 「踏み出せない」自分の気持ちを大事に
アドバイス2 準備した資金でどう生活を描くかを考える
アドバイス3 将来の不安を理由に「楽しみ」を排除しない
 

アドバイス1 「踏み出せない」自分の気持ちを大事に

最初に、つみたてNISAとiDeCoについてのご相談からお答えします。

つみたてNISAは関心はあるが、まったく投資経験がなく、踏み出せないとのこと。実は「踏み出せない」、その自分の気持ちを尊重してほしいと思います。しないことは、決して悪いことではありません。無理に始めて大きなお金をリスクにさらしてしまうと後悔することになるのではないでしょうか。周囲に勧められたからではなく、自発的に「したい」という気持ちが未経験の不安を上回ったら、そのときに運用を始めてみても遅くはないと思います。

iDeCoも基本的な考え方は同じです。ただし、ご存知だと思いますが、iDeCoは掛金が全額、所得控除の対象になり、税金が還付されるという明確なメリットがあります。そして、収入を得ているそりさんはその恩恵を受けられます。

一方、デメリットとして、原則、積立金を引き出すことができるのは60歳以降。また、iDeCo口座の開設や管理にコストがかかります。投資信託を選択すれば、元本割れのリスクもあります。しかし、元本確保型の商品(定期預金、保険)を選択すれば、高い投資リターンは望めないものの、コストを差し引いた分の節税メリットはリスクなく得られることになります。

また、「そもそも引き出すこともできないのでは」というのは、どういった状況をご心配されているのかわかりかねますが、現時点では過度に心配されなくていいでしょう。
 

アドバイス2 準備した資金でどう生活を描くかを考える

次に老後資金についてですが、具体的には、ご主人が65歳のとき1600万円の老後資金が用意されているとのこと。これで足りるかどうかを心配されています。他にも個人年金や妻の退職金を足せば2500万円を超えてきます。さらに貯蓄目的の終身保険もありますね。ここにボーナスからの貯蓄も足し合わせることができます。

その上で、今と老後の生活水準が同じだと想定すれば、途中、保険料の支払い額が減ったり、自動車ローンが完済になったりするので、毎月の生活費は21万5000円ほど。ご夫婦の公的年金は手取りでおそらく月額22~23万円。月の生活費は年金でまかなえそうです

こう考えると、年金の受給までにいくら貯蓄形成できるかがポイントになってきそうです。

ただし、これはあくまで仮定の話です。不確定要素も当然あります。それでも、必要以上に不安にならなくてもいいのかなと思います。大事なのは「いくらあれば大丈夫」ではなく、「そのときある資金でどういう生活を描けるか」という発想。要は自分たちの収入に見合った老後をどう過ごすかということだと思います。
 

アドバイス3 将来の不安を理由に「楽しみ」を排除しない

こうした試算はぜひ定期的に行ってみてください。足りないなと思ったらそのときは働いたり、家計を見直して支出を減らすなどの対応策を考えましょう。とくに、長く働くという意識は個人的には持っていた方がいいと考えます。その理由は、おそらく、そりさんが年齢的に「人生100年時代」に入ると思われるからです。日本人女性の平均寿命は87歳ですが、そりさんがその年代になるまでの間に、さらに平均余命が長くなっている可能性も十分あります。そう考えると、多くの人が100歳まで生きる時代を意識していいのかな、と思います。

高齢者にそれほど職場があるだろうかと心配をする人もいるでしょう。しかし、社会全体で
見れば、長く働くことが求められています。収入を得る手段・機会は今後ますます多様化するのではないかと思います。

最後に、ご相談に「老後資金がきびしいなら趣味の海外旅行はあきらめる」とありますが、個人的にはあきらめてほしくありません。お金は本来、使ってこそ私たちの人生を豊かにしてくれるものだと思います。それよりも必要ないな、不要だったなと思う支出を見直すなど、できることをしっかりと行って、まだ、わからない将来を過度に不安視せずに、いま目の前のご夫婦の楽しみを大切にしてほしいと思います。生活に楽しみがあることは、心身の健康につながります。仕事を頑張ろうという気持ちにもきっとなるでしょう。ぜひ、これからもご夫婦で楽しまれてください。
 

相談者「そり」さんから寄せられた感想

この度はこのような機会をいただき、ありがとうございます。iDeCoとつみたてNISAについて、「踏み出せない自分の気持ちを大事に」というお言葉に、胸のつかえがとれた気がいたします。将来への不安と焦りで収入を増やすことばかり考え、背中を押していただきたく今回ご相談させていただきましたが、リスクを伴う投資ゆえ、不安がぬぐえませんでした。もう少し勉強してからにいたします。家計データと保険の内容に関して特にご指摘がないのは、現状のままで問題ないと解釈してよろしいでしょうか、老後資金について、「月の生活費は年金でまかなえそう」とのことで安心いたしました。ですがご指摘の通り人生100年を想定して、旅行も楽しみつつ、さらに貯蓄に励みたいと思います。八ツ井先生、ありがとうございました。


教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
 
 

 

家計コンサルタント。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心の家計コンサルタントとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める


取材・文/清水京武 


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