女性の健康

生理中のセックスはなぜNG?性行為による病気・妊娠リスクが高い理由

生理中のセックスには、たくさんのリスクがあります。 生理中に性行為をすると、望まない妊娠や思わぬ重大な病気の原因になる可能性があるのです。「生理中のセックス=安全」というのは間違い。 生理中のセックスについて、正しい知識を身につけましょう。

執筆者:All About 編集部

生理中のセックスはNG!「生理中は妊娠しない安全日」も間違い

生理中にセックスはNG! 性感染症や病気、妊娠などのリスクが大きい

生理中にセックスはNG! 性感染症や病気、妊娠などのリスクが大きい

皆さんは「生理中のセックス」について、正しい知識を持っていますか?

生理周期などの観点から「生理中のセックスは妊娠しない」と考える人や、「清潔面などに気を付けていれば、生理中にセックスをしても感染症にかかることはない」と考える人もいますが、これはどちらも大きな間違いです。

生理中のセックスは「安全」とは程遠い行為。感染症にかかる可能性や、感染症がきっかけでかかりやすくなる病気も多く、妊娠のリスクも大きいのが真実です。

生理中のセックスには、たくさんのリスクがあります。正しい知識を持ち、病気や望まない妊娠を防ぐことが重要です。本記事では、生理中のセックスがもたらすリスクやその可能性についてご紹介していきます。

■ 参考記事
生理中のセックスは危険!病気・妊娠・感染症リスクも
 

生理中のセックスは性感染症のリスクが高まる

様々な性感染症や妊娠のリスクを引き起こす可能性あり

様々な性感染症や妊娠のリスクを引き起こす可能性あり

生理時の子宮の中は、子宮内膜がはがれ落ちている状態にあり、膣がいつも以上にデリケートに。敏感で傷つきやすくなっています。また、生理の血の中には雑菌が多く含まれているので、生理中のセックスによって感染症を引き起こすリスクが高いのです。

さらに生理中は免疫力が低下する傾向があります。バリア機能の低下により、クラミジアや淋菌などの性感染症にかかるリスクも高くなりますし、流れ出ようとしている生理の血を性行為によって押し戻してしまうことにより、大腸菌や連鎖球菌などの雑菌による感染を起こすことも考えられます。

また、こうした感染症のリスクは女性だけのものではありません。免疫力が落ちて自浄作用が低下した女性の膣や体液などに触れることは、男性にとっても大きなリスクなのです。

生理中のセックスは、こうした感染症以外にも、様々な病気の原因になる可能性があります。ここからは、生理中のセックスで発症のリスクが高まる病気について、詳しくご紹介していきます。

■ 参考記事
生理中のセックスは危険!病気・妊娠・感染症リスクも
生理中はセックスNGの理由…月経中の性行為は危険?
 

生理中セックスで発症リスクが高まる病気1:卵管炎

クラミジアなどの性感染症から引き起こされる卵管炎

クラミジアなどの性感染症から引き起こされる卵管炎

卵管とは、子宮の両端からおなかの中に伸びている細い管状の臓器。したがって、卵管炎とは子宮からの炎症が広がって発症することが多い病気です。

卵管炎の主な原因は、性感染症の原因菌。クラミジアや淋菌が多いといわれています。また、生理中の性行為で血液が逆流することで卵管に炎症が起こり、卵管炎を引き起こすこともあります。

卵管炎は炎症が軽ければほとんど症状が出ない病気ともいわれているため、無自覚のまま発症していることも。しかし、卵管炎は不妊の原因にもなる重大な病気です。生理中のセックスを避けることはもちろん、普段から正しくコンドームを使い、性感染症予防を心がけることが大切です。

■ 参考記事
卵管炎とは……原因・症状・治療法・予防法
生理中はセックスNGの理由…月経中の性行為は危険?
 

生理中セックスで発症リスクが高まる病気2:子宮内膜症

月経血が骨盤内へ逆流することで発生しやすい子宮内膜症

生理の血が骨盤内へ逆流することで発生しやすい子宮内膜症

子宮内膜症は、本来子宮の中だけにあるはずの「子宮内膜」という組織が、卵巣や子宮筋層や肺など、子宮以外の場所に発生してしまう病気。生理中のセックスにより、体外に流れ出ようとしている生理の血や生理時に剥がれ落ちた子宮内膜の一部が体内に押し戻され、卵管を逆走して卵巣や腹部の臓器に達することが発症の原因のひとつだといわれています。

また、卵巣内にできてしまった子宮内膜症が毎月生理のたびに出血し、排出されることなく体内にたまって「チョコレート嚢腫」という古い血の塊ができてしまうことも。

子宮内膜症は、重い月経痛や、排便時や性交時の引きつるような痛みなども引き起こします。女性の体に大きな負担がかかるだけでなく、将来的に不妊のリスクを背負う原因にもなる病気なので、しっかりと注意しましょう。

■ 参考記事
子宮内膜症の原因・症状・診断方法
チョコレート嚢腫(チョコレートのう腫)とは
 

生理中セックスで発症リスクが高まる病気3:肺子宮内膜症

月経中に血痰が出る症状……肺子宮内膜症とは

生理中に血痰が出る症状……肺子宮内膜症とは

肺子宮内膜症とは、先ほどご紹介した「子宮内膜症」が肺や腸管などにできてしまうことで、生理の度に血痰や喀血(かっけつ)などがみられる病気です。

肺を包んでいる胸膜や肺の下にある横隔膜に内膜症ができたものは「胸膜子宮内膜症」と呼ばれています。これには、生理期に気胸を起こす「月経随伴性気胸」や、生理周期と連動して胸に血がたまる「血胸」といった症状が見られます。

一般的な治療方法としては子宮内膜症と同様に薬物療法が採用されていますが、妊娠を希望する人などの場合には、胸腔鏡手術にて取り除く治療が行われることも。

ここまで、生理中のセックスが思わぬ重大な病気の原因となるいくつかの可能性についてご紹介してきました。ご紹介した病気や感染症以外にも、生理中のセックスが原因で身体に様々な負担がかかることがあります。

生理中にセックスをしないことは前提の上、もし症状に心当たりがある場合はすぐに病院で検査を受けましょう。

■ 参考記事
月経期に血痰が出る肺子宮内膜症・異所性内膜症とは
 

「生理中のセックスでは妊娠しない」はウソ!

生理中のセックスでも妊娠する可能性はあります

生理中のセックスでも妊娠する可能性はあります

生理中のセックスには、病気や感染症だけでなく「妊娠」のリスクも伴います。「生理の日は安全日だから避妊しなくても大丈夫」という俗説もありますが、これは大きな間違い。

生理周期を考えるときは、前の生理が始まった日から考えてしまいがちですが、排卵予定日を考える場合は「次の生理が始まる予定日から逆算する」ことが重要だと言われています。排卵日は次の生理予定日の大体14日前。この計算を元に、妊娠したい人が「妊娠しやすい時期」を把握します。しかし、生理周期から妊娠しやすい時期の予測ではなく、安全日(=妊娠の可能性が低い日)を予測しようとするのは危険です。

何らかの要因で生理が長引いたりすると、生理期と排卵期の間が短くなったり、人によっては生理期と排卵日が重なったりすることもあるため、生理中のセックスで妊娠する可能性は十分にあります。

ちょっとしたストレスや食事、環境の影響などで生理が遅れるのはよくあること。もともと生理周期が乱れやすい人などは特に注意が必要です。

■ 参考記事
月経周期と妊娠しやすい日…排卵日・危険日の考え方
生理中のセックスは危険!病気・妊娠・感染症リスクも
 

感染症や妊娠のリスクを防ぐ正しい避妊法とは?

「生理前、生理中が安全日」だというのは大きな間違い

「生理前、生理中が安全日」だと考えるのは大きな間違い

先ほども触れたように、生理前や生理中を「安全日」だと考え、生理周期の排卵日近くを避けてセックスすることは確実な避妊とは言えません。人間は機械のように毎月同じタイミングで排卵をするわけではないため、実際の排卵日は数日ずれることも多く、いわゆる「安全日」というのはそもそも存在しないのです。

避妊手術や子宮内避妊具、低用量ピル、男性用コンドームなど、避妊方法にはいくつか種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。

■ 避妊手術
メリット:1度の手術でずっと避妊できる
デメリット:手術費用がかかる、手術そのものが身体への負担になる可能性あり

■ 子宮内避妊具
メリット:一度入れれば、2~5年ごとに入れ替えるだけで避妊の手間が省ける
デメリット:経膣分娩をしたことのない人には使いにくい、不正出血や子宮内感染のリスクあり
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■ 低用量ピル
メリット:幅広い年代の人が使える、月経不順・月経痛・PMS・過多月経などの改善もできる
デメリット:毎日欠かさず飲む必要がある、飲み始めは吐き気など副作用の可能性あり

■ 男性用コンドーム
メリット:価格が安価、使い方が簡便、性感染症の予防にもなる
デメリット:使用法が間違っていると確実な避妊にはならない、女性が自分の手で避妊できない

望まない妊娠を控えるには、避妊に対する正しい知識を身に着けることが重要です。これらの知識を踏まえ、自分に合った避妊方法を見つけましょう。

■ 参考記事
確実な避妊方法は?避妊法の種類とメリット・リスク
 

セックスの他にも……生理中に気を付けるべきこと

食事や運動など、生理中に健康面で気を付けるべきことはたくさんあります

食事や運動など、生理中に気を付けるべきことはたくさんあります

生理中は免疫力が低下し、貧血傾向になりやすいと言われています。また、ホルモンバランスの乱れなどから心身ともに調子を崩しやすい時期です。

生理中にセックスを避けることはもちろん、なるべく激しい運動を避け、短時間の軽いエクササイズをしてリフレッシュに努めましょう。

また、食事面でも注意が必要。血流を悪くする冷たい食べ物や、ホルモンバランスを乱す糖類が多い食べ物はなるべく避けるようにしましょう。あとは、お酒もNG。アルコールを飲むことで血流が促進され、経血量が増えることで、貧血を引き起こす可能性があります。

生理中はいつも以上に身体を気遣って、無理をせずに健康的な生活を心がけましょう。

■ 参考記事
生理中にしてはいけない運動・効果的な運動
生理中に食べてはいけない食べ物・その理由と摂りたい栄養素
 
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