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正社員受難の時代へ。どんな働き方が増える?

今後、もっとも立場の弱い就業形態のひとつが「正社員」になる可能性があります。かつて礼賛された正規雇用がなぜ、厳しい形態となるのか。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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正社員受難の時代になる?

今後、もっとも立場の弱い就業形態の1つになるかもしれない正社員。かつて礼賛された正規雇用がなぜ、ますます厳しい形態となるのでしょうか。

まず言えるのは、社会保障費の負担増です。サラリーマンは、自営業者や起業家と違い、有無を言わさず社会保険料が給与から天引きされます。しかも、負担額は毎年上昇しており、将来は天引きだけで総収入の4割くらいに達しそうです。

年収500万円の人は手取りでは300万円になり、可処分所得だけを見るとフリーターとそう変わらなくなります。それでいて、通勤ラッシュで疲弊し、会社に長時間拘束され、自分の人生の目標よりも会社の目標達成を優先させられます。そして、ノルマやプレッシャーもあります。

パートやバイトのように、自分の都合に合わせて自由にシフトを組むことができません。むろん、優秀な人や自分の適性にマッチした職業を選択できた人は、一定の幸福を手に入れているでしょう。しかし、世の中にあふれる情報から察するに、多くの人はそうではない印象です。

実際私のところにも、「本やコラムを書いたり、講演したりするのは、儲かっていないからだ」などという批判がくることがありますが、好きなことをしてお金までいただけるという、こんな素晴らしい仕事をやらない理由などありません。

「仕事は苦行だ」「お金があれば会社は辞めるべきものだ」と考えているから、そういう発想になるのです。だとしたら、正社員とは一体何なのか。単に解雇されにくいとか、老後の年金が増えて安心度が高まるくらいの価値しかない、ということになります。
 

ニート投資家、ニート起業家の勃興

その一方で今、勢いをつけているのがニート投資家・ニート起業家です。ニート投資家とは、引きこもって資産運用している人。ニート起業家とは、引きこもってビジネスをしている人です。

今、こういう人がうなぎのぼりで増えています。それはインターネットのおかげです。ニート投資家は、パソコンの前でトレードできるので、外出は不要になります。今やスマートフォンがあれば、ビーチに寝そべってトレードもできます。
 
IT化が進むことで多様化する働き方

IT化が進むことで多様化する働き方

 
投資仲間から聞いた話ですが、彼の知人(日本人)は、株式投資で5億円まで資産を増やしたのをきっかけに、家族でメキシコの高原都市、グアナファトに移住したそうです。そこは夏でも23度、冬でも14度くらいと気候が温暖で過ごしやすく、中世の街並みが今でも残っている、風光明媚な観光地です。

首都のメキシコシティーと違って治安もよく、かつ物価も日本の約10分の1と非常に安い。旅行で訪れて気に入り、移住したそうです。300円もあれば豪華な食事ができ、月5万円あれば豪華な賃貸物件を借りることができるそうです。1カ月の生活費は、10万円もかからないとのこと。

彼の仕事道具もネットにつながったパソコン1台だけですが、朝と午後に少し株の売買をして、あとは奥様と子どもと過ごしているそうです。

この話を聞いたとき、個人投資家とは、ある意味最強の属性の1つではないかと感じました。誰からも、何からも縛られず、依存もせず、自由に生きられるからです。
 

ニート起業家という労働形態

さらにインターネットは、新たな稼ぎ方を開発しました。それが「ネットビジネス」です。これは単に、今までリアルでしていたビジネスをネットに置き換えた、という意味にとどまりません。

私自身、出版のきっかけになったのは自分で発行していたメルマガですし、ツイッターをやっていてジャーナリストになったり、ブロガーから起業家になったりする人はたくさんいます。確かに運や能力、タイミングもあるのかもしれませんが、誰にでもチャンスがあるということを意味します。
 
ほかにも、YouTubeに動画をアップし、閲覧回数・再生時間が多ければ、広告収入が得られるのはご存知だと思います。今や、スマートフォンでもハイビジョン映像を録画できますから、もはや高価な機材も不要。動画編集もフリーソフトが出回っています。もちろん動画のアップロードもタダです。
 
それで生計を立てているのがユーチューバーですが、どれほどおもしろい動画をアップしているのかというと……私には正直、あまり理解できません。

しかし、世界にはそれを面白いと感じる人もいて、たとえばアメリカの16歳のユーチューバーが披露しているコント動画は、再生回数5億8000万回で年間1250万円稼いだそうです。

また、オーストラリアの女子大生は、ジャーナリズムを専攻していることを活かし、健康やマナー、食べ物など、日常に役立つ情報を動画で伝えています。これも特別なことを言っているわけではありませんが、再生回数は2億8000万回で年収860万円。
 
動画はソーシャルメディアとの親和性が高く、面白い動画があればシェアされやすい。さらに、日本語コンテンツは日本人にしか流通しにくいですが、動画はテキストと違って国境の壁を越えやすく、瞬時に再生回数が跳ね上がるという特徴があります。
 
そして、こんな稼ぎ方ができるのも、インターネットのおかげです。もはや、正社員かフリーターかは関係ないのです。もしかすると、引きこもりニートのほうが時間がたっぷりあるので、いろんなチャレンジができ、常人にはできない面白い発想ができるかもしれません。

引きこもりというスタイルに対する是非は別として、雇用形態にこだわることなく、多様な生き方ができる時代になっているということです。
 

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