そこで今回は、上手くお金を節約するために覚えておきたい心得を1つ、ご紹介しましょう。
心得を知れば、節約上手になれる!?
節約の心得はズバリ?
「贅沢品は必需品に変わる」です。この心得の出所は、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリです(1)。彼によると、歴史上多くの「贅沢品」は時とともに「必需品」へと変わっていきました。たとえば、家電。昔は洗濯は洗濯板、掃除は雑巾がけ、炊飯はかまどで行っていました。家電は贅沢品で、「なくて当たり前」でした。
ですが、今はどうでしょう。洗濯機や掃除機、炊飯器は、ないと生きていけません。気づけば家電は、贅沢品から必需品へと変わっていました。
僕らは贅沢に慣れてしまう
面白い研究をご紹介しましょう。ノースウエスタン大学の心理学者が、22人の宝くじ当せん者にインタビューする実験が行われました。この実験によると、「宝くじにあたった人は、一時的には幸福を感じるものの、1年後には幸福感が元に戻ってしまう」ことが確認されたのです(2)。つまり、はじめは「幸せ」と感じていた贅沢に慣れてしまい、次第に喜びを感じなくなってしまったのです。この心理効果は「ヘドニック・トレッドミル効果」、また「快楽適応」とも呼ばれています。
僕ら人間は欲張りな生き物です。はじめは「贅沢」と思っていたことでも、何度も繰り返しているうちに慣れてきてしまいます。気づけば贅沢は「当たり前」に変わり、「ないとストレス」と感じるようになります。
はじめの「ちょっとだけ」が落とし穴に
僕らは、一度贅沢をしてしまうと、元の生活水準に戻るのはとても難しいです。節約が苦手な人の多くは、「ヘドニック・トレッドミル効果」に侵されている場合も多いです。今は「贅沢」と感じているものでも、それが定常化すれば、いつしか「当たり前」に変わってしまいます。そうならないためにも、贅沢は、頑張ったときの「たまのご褒美」くらいに留めておきたいものです。
【参考文献】
- 書籍:ユヴァル・ノア・ハラリ, 2016, "サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福", 河出書房新社
- 論文:Philip Brickman and Dan Coates, 1978, "Lottery Winners and Accident Victims: Is Happiness Relative?", Journal of Personality and Social Psychology, 36(8), pp. 917-927
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