お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

31歳、子どもが生まれ、6100万円の住宅ローンを返済していけるのか不安です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、総額6500万円の住宅を購入し子どもも生まれ、支出が増えることから返済ができるか不安になってきたという31歳の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状の貯蓄ペースから少しダウンするが、問題なし

これから出産、子育てが始まり、アップルパイさんの勤務形態次第では、確かに6100万円の住宅ローンは気がかりですが、後戻りできない、と覚悟を決められたようですし、現状の家計を維持していくように頑張れば、大丈夫です。今後、どのような貯蓄プランになり、ご主人が60歳までにいくら貯められるのか、試算してみましょう。
 
現在、毎月18万~20万円の貯蓄ができているのは立派です。ただ、住宅ローンの返済、来年4月からは保育園代がかかり、アップルパイさんの収入も時短勤務で減ることを考慮すると、毎月10万円の貯蓄が上限になりそうです。
 
また、ボーナスからの貯蓄は例年170万円程度できているようですが、今後は住宅ローンの返済が年間60万円ということですから、ボーナスからの貯蓄は110万円が限界かもしれませんね。
 
そうなると、毎月10万円で年間120万円。これにボーナスから110万円で、合計230万円。第1子が小学校に上がるまでの6年間で1380万円貯蓄できることになります。また、仮に3年後に第2子出産とすると、都合10年ぐらいは、このペースでの貯蓄となりますが、第2子は幼稚園とすれば、第1子が小学校に上がってからの3年間は、毎月3万~4万円、年間60万円程度は貯蓄を増やせるかもしれません。
 
来年からの6年間で1380万円。その後の3年間は290万円×3年で870万円。10年後には2250万円の貯蓄ができています。
 
その後も、年間290万円のペースを継続できれば、ご主人が定年退職する60歳までの18年間で、5220万円。合計7470万円が今後貯蓄できる金額ということです。
 
固定資産税が毎年かかるようになったり、子どもの成長とともに家計支出は増えたりしますので、計算どおりにはいきませんが、そうしたことを考慮しても、約7000万円は貯蓄できる力があるということです。
 

アドバイス2 子ども2人の教育費も大丈夫で老後資金は5000万円程度

子どもの教育費については、仮に高校から私立となった場合、大学卒業(大学の進路にもよりますが)までにかかる費用は、1人あたり、約1000万円です。2人で2000万円が必要となります。
 
塾通いなど、お金をかけようと思えばキリがありませんが、アップルパイさんの場合は、7000万円の貯蓄ができるわけですから、教育費に2000万円使っても、5000万円は60歳時点で残ることになります。
 
加えて、ご主人の退職金が1500万円から2000万円。老後資金としては、十分ではないでしょうか。
 
住宅ローンの完済は68歳時ですが、それまでの貯蓄のペース、教育費に問題なければ、繰り上げ返済をして、返済期間を短縮していくことも可能でしょう。また、住宅に関しては、外壁塗装、設備の交換など定期的に修繕費がかかりますが、これも問題なく対応していけるでしょう。
 

アドバイス3 ただし、油断禁物。できればフルタイム勤務で復帰を

ここまで、現在の情報で試算していきましたが、冒頭で説明したように、出産、子育て、勤務形態など、流動的な要素もあります。アップルパイさんはパート勤務を希望されていますが、できれば、子どもが小学校に上がるタイミングに、フルタイム勤務で復職されるのが望ましいでしょう。
 
今のところ、家計で大きな無駄遣いは見当たりませんが、ボーナスで衣服代30万円など、大きなお金の使い方をする傾向も見受けられます。また、家を新築すると、一般的に賃貸住宅よりも、水道光熱費が増える傾向にあります。これからの生活で支出がこれから増えることはあっても、減ることはないと思ってください。
 
家計の安定ということ、社会保険加入で年金額を増やすためにも、可能であれば、フルタイム勤務を検討してくださいね。
 
最後に、お子さんが生まれたので、保険の見直しをしてください。ご主人の保険のうち、終身保険は払い済みにして、以降の保険料はなしとします。2人目のお子さんが生まれたら、定期保険で1000万円、保険期間10年で加入してください。ご主人の保険は、これで当面は大丈夫です。
 
アップルパイさんの保険は、医療系の保険だけで大丈夫です。貯蓄のつもりだと思いますが、終身保険は払い済みにして、新たな死亡保障は現状では不要です。もしも心配であれば、総合保障タイプの共済がいいでしょう。
 
保険の見直しで浮いた分などは、ご主人の確定拠出年金の上乗せ、場合によっては、アップルパイさんがiDeCoに加入するなどして、資産形成に有効に使ってください。これは、生活が落ち着かれてからでいいでしょう。ボーナスの使い方に注意し、家計管理は現状のまま、しっかりとなさっていけば、大丈夫です。頑張ってください。
 

相談者「アップルパイ」さんから寄せられた感想

この額のローンを組んだ時点で子ども2人は厳しいかなと思っていましたが、叶いそうで少し安心しました。仰る通り、普段できるだけ支出をおさえようとする反動でボーナス時に大きな出費をしがちです。まとまったお金が入るため衝動買いしてしまいがちですが、これからは本当に必要なものなのかを見極めて購入するようにしていきます。また私の仕事について、子どもが生まれたことで一緒に過ごしたい気持ちが大きかったのですが、やはり将来のことを考えてフルタイムでの勤務を前向きに検討したいと思います。ローンの返済も始まりましたので、今後はより一層気を引き締めて家計を管理していきます。ありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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