お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

32歳専業主婦。夫がギャンブルで300万円の借金をしていたことが発覚しました(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫がギャンブルで300万円の借金をしていたことで悩む32歳の専業主婦の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 借金は一括返済を。現状の貯蓄ペースでも老後は心配ない

借金発覚は辛いことでしたね。残り200万円を50万円ずつ4年で返済するとのことですが、現在の金融資産の額を考えると、一括で義両親に返済してしまってはいかがですか? 気持ちを切り替えるためにも、早く清算してしまったほうがいいように思います。ただ、ご主人に借金グセがあると、借金がなくなると、また借金をしてしまう可能性もあり、その点はご夫婦で十分、話し合われてみてください。
 
200万円を一括で返済しても、金融資産は現時点で1180万円あります。これに、今後、現在のペースで貯蓄ができれば、毎月7万5000円にボーナスから45万円。年間で135万円貯蓄でき、ご主人が60歳になるまでの27年間で3645万円が上積みされ、最終的には4825万円に。これに退職金1000万円が加わりますから、50代で2500万円の中古マンションを、ローンを組まずに現金で購入しても、手元には、3325万円が残る計算になります。
 
65歳以降の働き方にもよりますが、公的年金支給の65歳までの5年間、貯蓄から生活費を取り崩したとしても、2500万円程度を残せます。サエキさんの生活スタイルであれば、65歳以降も支出が大幅に増えない限り、公的年金の範囲内で生活できるのではないでしょうか。つまり、現状維持でも、まったく心配いりません。
 

アドバイス2 割り切れたら保険は払い済み、解約で、さらに貯蓄アップ

それでも、老後資金が心配であれば、年間の貯蓄額を増やすことです。ただ、現在の家計支出は、もう切り詰めるところがありません。食費が1万5000円というのも、心配になるぐらいです。ですから、貯蓄を増やすためには、家計には手を加えず、保険の見直しで対応することも可能です。
 
サエキさんは子どもを持つ予定がないとのこと。それであれば、現在、ご主人が加入している低解約返戻金型の終身保険は払い済み、もしくは解約でも問題ありません。医療保険も同様です。ご主人に万一のことがあっても、金融資産が残り、遺族厚生年金も支払われるので、その後の生活に困ることはないでしょう。病気ケガの治療費も貯蓄で対応することが可能です。
 
もし、割り切れるなら、この保険を解約することで、浮いた保険料はそのまま貯蓄に回せます。
 
毎月8万円、ボーナスからは60万円、年間で156万円です。アドバイス1と同様に、60歳までの27年間で4212万円が貯められ、現在の1180万円、退職金の1000万円を加え、2500万円の中古マンションを購入しても、最終的には、3900万円程度、残すことができます。
 
中古マンションのリフォーム、バイクの買い換えなど、サエキさんがお考えになっていることは、すべて問題なく対応できるでしょう。
 

アドバイス3 家計を切り詰め過ぎず、心にゆとりを。お小遣い程度にバイトを

今後、経済的に困ることはないと思われますが、一番気がかりなのは、サエキさんご自身のことです。ファイナンシャルプランナーの立場からすると、この家計を維持していきましょう、と言うべきかもしれませんが、先に触れたように、必要以上に切り詰めていないか心配です。食費だけではなく、水道光熱費、通信費、趣味娯楽と、どれも最低限の支出に抑えられています。
 
将来に備えて、貯蓄や投資をすることは大事なことですが、日々の生活を我慢してまで貯めたお金を、老後になったら、楽しみのために使えるようになるのでしょうか? 無駄使いをしましょう、ということではなく、プラス1万円ぐらいは自由に使ってもいいのではないかと思います。ご夫婦での楽しみのために、ぜひ使ってほしいです。その程度で、老後資金が不安になるような家計ではありませんよ。数十年間使わない生活から、リタイアした後に使う生活に180度変えるのはなかなか難しいことなのです。
 
また、ご主人の転勤に合わせ、生活環境が変わることによるストレスは、なかなか人にはわかってもらえないかもしれません。転職活動でのストレスも感じておられるようですから、無理にとは言いませんが、お小遣い程度のバイトで構いませんから、少し外との接点を作られてみてはいかがですか?
 
無理に友人関係を作ることもありませんが、バイト代で好きな趣味を楽しめる生活は、健康で過ごすためには大切なことだと考えます。
 
最後に、投資についてですが、つみたてNISA、一般NISAも活用され、しっかり勉強なさっていることが窺えます。老後が心配であれば、iDeCoへの加入も検討してみてください。専業主婦でも加入できます。引き出しは60歳以降しかできませんので、老後資金の形成に向いています。投資先を選んだり、配分を変えたりもできますから、サエキさんなら、楽しみながら利用できると思います。
 
少し肩の力を抜いて、日々の生活を楽しんでくださいね。
 

相談者「サエキ」さんから寄せられた感想

丁寧な回答を頂きありがとうございます。世帯収入が低いので不安がありましたが、将来の見通しが立ち、安心できました。夫の貯蓄は本人の奨学金返済などに使ってしまい、今ある金融資産は私の個人名義なので、借金は今後の収入から返済してもらうつもりです。現状の生活には満足していますが、夫婦ともに発達障害で社会への関心が薄いため、極端な家計収支になっていると思います。これからは興味を持てる対象を広げながら、お金の使い道について考えていきます。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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