生理がなかなか来ないなど、生理不順(月経不順)で困ったことはありませんか? 今回は、生理不順について原因や対応方法などを解説します。
※「生理」「生理不順」は、医学的には「生理」「月経不順」と呼ばれるものです。ここでは、一般的に言われている「生理」「生理不順」という言葉で解説を進めていきます。
<目次>
※「生理」「生理不順」は、医学的には「生理」「月経不順」と呼ばれるものです。ここでは、一般的に言われている「生理」「生理不順」という言葉で解説を進めていきます。
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ストレス? 生理不順が起きる原因
生理が来ない……生理不順の原因はストレス?
女性ホルモンの分泌は、脳の中の下垂体でつくられる黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンによって細かい調節がされています。そして、脳の中で生理をコントロールしている視床下部ー下垂体という部分はストレスの影響を強く受けてしまう場所です。
体重減少などの急激な体の変化でストレスが生じると、体が「危機」と感じとり、生理が乱れたり止まったりするのです。生理不順を感じたら、無理なダイエットをしていなかったか、食事は規則的だったか、睡眠は足りていたか、冷えたりしなかったかなど、大きなストレスはなかったか、生活を見つめ直すきっかけにしましょう。
▽参考記事
生理不順をひきおこすストレス
不規則な生理はどこから異常なのか
どこからが生理不順?正常な月経周期とは
月経周期は、「前の月経が始まった日から次の月経が始まる前日までの日数」で表します。月経が始まる日数が、25日~38日の間に入っていればそれは正常な月経周期と言えます。逆に、月経周期が24日以下だったり39日以上だったりした場合は、「月経不順(生理不順)」。3ヶ月間全く生理が無い状態は「無月経」といって、生理不順よりもより深刻な状態です。
異常な月経はその周期や特徴によって、以下のように病名がついています。
- 頻発月経……月経周期が24日以下の場合
- 希発月経……月経周期が39日以上の場合
- 無排卵月経……排卵せずに月経が来ている場合
▽参考記事
無月経・月経不順の原因は?診断基準と受診の目安
生理不順で病院に行くべきタイミング
60日以上生理が来ない場合は、早めに婦人科を受診することがおすすめです
ただ、60日以上生理が来ない場合は、放置するのは危険です。卵巣の働きがかなり落ちている可能性もあります。早めに婦人科を受診することをおすすめします。特に、20歳以上の方で60日間ずっと基礎体温が低いままの場合は、全く排卵していないという事なので、きちんと検査を受けて治療を開始しましょう。
無月経の期間が長ければ長いほど、治療に時間がかかってしまいます。少なくとも3ヶ月以上完全に生理がない状態が続いたら、すぐに婦人科に行くべきだと覚えておきましょう。
▽参考記事
無月経・月経不順の原因は?診断基準と受診の目安
無月経や生理不順の治療法と注意点
無月経や生理不順の治療は、基本的に薬による治療が中心
ただし、別の病気のせいで生理不順になっている場合は、まず大元の病気を治療します。例えば、生理不順の原因が、「高プロラクチン血症」という病気だった場合は、プロラクチンを抑える薬を飲みます。また、極端なダイエットによって生理が止まってしまった「体重減少性無月経」の治療の基本は、まず体重を元に戻すことになります。ある程度体重が戻れば、生理も自然に回復してくることがあります。
3ヶ月以上生理が全くない無月経の場合は、とにかくまず1度は出血を来させる必要があるので、ホルモン剤を1~2週間飲んだり、筋肉注射でホルモンを補ったりして生理を起こすのが一般的な治療法です。
元々生理不順だった人が全く生理が来なくなったというパターンや、血液検査で女性ホルモンが極端に少なくなっている場合は、少なくとも3ヶ月間は薬を続けて、その後もきちんと月1回の出血が来るようにしましょう。月に1回のペースで定期的に出血を起こすことは、「子宮体がん」のリスクを抑えることにもなります。
▽参考記事
無月経・月経不順の治療法と注意すべきポイント
重症度別の生理不順のケア方法とは
正常な生理周期と基礎体温(出典:「生理不順でも妊娠できる?妊娠した場合はどう気づく?」)
■軽度の生理不順
- 普段は正常周期、年に1、2回、1ヶ月くらい飛ぶことがある
- 生理が1~2週遅れることもあるが、生理前に10日以上の高温期がある
- 夏ばてで食欲が低下すると生理が止まる
- 受験や仕事のストレスで一時的な生理不順になる
■中程度、重度の生理不順
- 黄体機能不全:高温期がいつも10日未満
- 無排卵性月経:生理出血の前に高温期(排卵)がない
■無月経
3カ月以上生理出血がない場合は受診が必要です。無月経が続くと子宮の筋肉は萎縮し、妊娠しにくくなります。ホルモン治療で月経周期が規則的になっても、委縮して小さくなった子宮が元の大きさに戻るのは時間がかかります。
▽参考記事
生理不順でも妊娠できる?妊娠した場合はどう気づく?
腹痛や頭痛など妊娠の初期症状とは
腹痛や頭痛、体がだるい……妊娠の初期症状かも?
■乳房の変化
乳房が張ったり、乳首がチクチク痛んだり、敏感になったりします。また乳首の色も濃くなっていきます。
■基礎体温で高温期が続く
妊娠の継続に必要な、体温を上昇させる黄体ホルモンという女性ホルモンの一種が増加するため、基礎体温は高くなり、心拍数も増えてビートも強くなります。高温期が3週間以上続く場合が妊娠している目安です。
■体がだるい
高温相が続くので、からだが熱っぽく、疲れやすくてだるいことが多かったりします。風邪のひきはじめのような症状が現れることもありますが、妊娠を疑っている時は薬の服用、またレントゲンの照射に注意が必要です。
■眠い
妊娠の初期は睡眠ホルモンがでると言われ、いくら寝ても眠たくて仕方がないということも。
■イライラしやすくなる
女性の体は妊娠によりホルモンのバランスが乱れてしまい、怒りっぽくなるなど、気持ちが不安定になってしまいます。このイライラは妊娠中期に入る頃にはおさまってきます。
■トイレが近い・便秘
子宮が大きくなると、膀胱を圧迫するのでトイレが近くなります。また、黄体ホルモンの分泌が続くので、腸の動きが鈍くなり、妊娠初期から便秘がちになることがあります。
■つわりが始まる
早い人では、予定の生理の1~2週間後ごろからつわり症状が出てきます。ただし、まったく症状のない人もいます。むかつきや吐き気、嘔吐、頭が重い、唾液が多くなる、など、つわりの症状も程度も人により様々です。
▽参考記事
妊娠初期症状や兆候 7つのサイン
市販の妊娠検査薬の使い方と注意点
市販の妊娠検査薬を使うときは、検査のタイミングが重要です
ただし、妊娠の極初期や生理不順で排卵が遅れたときなどは、妊娠していても陰性と判定が出ることがあります。逆に、不妊治療の際に排卵を起こすために注射したhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)によって、妊娠していないのに陽性になる場合もあります。
■妊娠検査薬を扱うことのポイントと注意点
- 使用する時期は予定月経日の1週間後からにしましょう。
- 取扱説明書をよく読み、正しい使い方で使用しましょう。
▽参考記事
妊娠検査薬の使い方と注意点
妊娠検査薬で陰性なのに生理が来ない
市販の妊娠検査薬で陰性なのに生理が来ない……やっぱり妊娠?
また、タイミングも問題なく検査をして陰性だったにも関わらず、吐き気・腹痛・胸が張る・腰痛などの妊娠初期のような症状がある場合も。このような症状があっても、検査が陰性なら妊娠ではありません。ただ、月経前症候群やホルモン異常が疑われます。
何度検査をしても陰性なのに生理が来ない場合、無排卵、閉経、早発卵巣機能不全などのホルモン異常が原因のことも考えられます。病院を受診することおすすめします。
▽参考記事
妊娠検査で陰性なのに生理が来ない。妊娠の可能性は?
ピルで生理をコントロールする方法
生理を早めたい、遅らせたいときは、ピルで生理日をコントロールする方法も
若年者でも初経を迎えていればピルの服用は可能ですし、何度かまたは連続で服用しても害はありません。ただし、喫煙者や肥満の人や片頭痛がある人はピルが飲めないので、病院では、黄体ホルモンの薬を代わりに処方してもらうことができます。
フレックス服用と言って、ピルを連続服用して年間の生理の回数を3~4回に減らすこともできます。継続的にピルを飲んでいれば都合のよい時に生理を来させることができるので便利です。
ピルを飲んだときの副作用として多いのは、吐き気・嘔吐・頭痛・むくみなどのマイナートラブルですが、ピンポイントで中用量ピルを使うより、日頃から超低用量ピルを使っていた方が負担は少なくて済みます。
▽参考記事
生理を早める方法…ピルの飲み方・ピル以外の方法
生理を遅らせる方法…ピルの飲み方・ピル以外の方法・市販薬の効果
万一、避妊に失敗してしまったときはアフターピルを
万が一避妊ができず、妊娠を望まない場合は、アフターピルという方法も
日本で承認されている緊急避妊薬もあり、性交渉後72時間以内、つまり3日以内に内服する必要がありますが、服用は早ければ早いほど効果的です。
注意しなくてはならないのは、緊急避妊薬はあくまでも緊急時に使用し、強制的に避妊させる薬であるため、身体への負担が高いということです。妊娠を希望せず、事前に準備ができる場合は、毎日内服することで高い避妊効果が得られる「低用量ピル」がおすすめですが、緊急時には「緊急避妊薬」という方法もあるということは覚えておきましょう。
▽参考記事
避妊失敗時、緊急避妊薬だけで安心してはいけない理由