食と健康

ふぐの栄養素・健康効果・ふぐ毒の危険性

【管理栄養士が解説】天然ふぐの旬は「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われています。かつては夏は毒性が強くなるため食べるのを避けたという説が有力でしたが、現在は養殖技術が向上したため1年中食べられます。ふぐをおいしく食べるために、おすすめの食べ方や栄養・毒性などについて解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

食べる前に知っておきたい! ふぐの基礎知識

ふぐの栄養素・健康効果・毒の危険性

高級食材のふぐは「年に数回のお楽しみ!」という方も多いのでは?
いただく前にふぐの栄養やおいしい食べ方を知っておきましょう!

 

ふぐの種類・旬

ふぐは大きく分けてフグ科、ハリセンボン科の魚を指しますが、主に食用とされているのは、フグ科のとらふぐ、まふぐ、くさふぐ、ごまふぐ、からすふぐ、しろさばふぐ ハリセンボン科のいしがきふぐ、はりせんぼん、ねずみふぐ、はこふぐなどがあります。

天然ふぐの時期は「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われています。天然のものは夏になると毒性が強くなるため、食べるのを避けたという説が有力ですが、現在はふぐの養殖が盛んになり、無毒化するエサなどの開発がなされたため、ふぐを安心して1年中食べることができるようになりました。

ふぐに限らず、魚は産卵前(ふぐの場合は春から初夏にかけて)が脂がのって最もおいしい状態になりますので、養殖のふぐの場合は「春の彼岸」を過ぎたあたりが旬と考えてもよいかもしれません。
 

ふぐの選び方と食べ方・加工法

ふぐは毒を持っているため、毒を除いて調理する方法を熟知している証となる「ふぐ調理師」など資格を持つ調理師がさばいたものを購入した方が安心です。ふぐに限りませんが、身が乾燥していたり、ぱさぱさしているものはさばいてから時間が経っていますので、できるだけみずみずしく、身が透き通っているものを選ぶとよいと思います。食べ方は、ふぐ刺し、ふぐ鍋、ふぐのから揚げなどがメジャーでしょうか。
 

ふぐの毒性……テトロドトキシンの危険性と加工による安全性

天然ふぐには「テトロドトキシン」という毒があります。テトロドトキシンは加熱しても毒性が消えることはありません。一般に肝臓、卵巣、皮の毒力が強いとされていますが、ふぐの種類よって毒の強さが異なるため、ふぐの種類に応じて調理の方法を変える必要があります。毒を除く方法を熟知している「ふぐ調理師」が調理したものの購入を推奨するのはそのためです。

ふぐ中毒は、年間30件、50名くらいの患者が発生し、そのうち数名が命を落としています。ふぐ中毒の症状としては、食後20分から3時間程度の短時間でしびれや麻痺症状が現れます。重症の場合には麻痺症状が全身に広がり、呼吸困難で死亡することがあります。繰り返しになりますが、ふぐを安全に食べたいのであれば、有資格の調理師が調理したものを購入しましょう。
 

ふぐの栄養素

ふぐは100g当たり約85kal。たんぱく質が約20gです。炭水化物と脂質はほとんど含まれていないといっていいほど少ないです。カリウム(430mg)とリン(250mg)も豊富に含まれています。ビタミン類では、ビタミンD(4μg)、ナイアシン(5.9 mgNE)、ビタミンB12(1.9μg)などが豊富です。

白子は、100gあたり62kcal。たんぱく質が13.4gで、身と同様、炭水化物と脂質は非常にわずかです。豊富に含まれるビタミン類も身とほぼ同じです。
 

ふぐの健康効果

ふぐは、高たんぱく質・低炭水化物・低脂質ですので、アスリートや低栄養の高齢者などたんぱく質を多く摂りたい人に向いています。皮にはコラーゲンも豊富に含まれていますので、肌のハリが気になる人には嬉しいかもしれません(実際には消化を経て体内に吸収されるので、コラーゲンそのものを摂取しても、肌の弾力のよさに繋がるかどうかは分かりませんが……)。
 

ふぐの食べ過ぎのリスク・注意点

ふぐは高級食材ですし、食べる頻度も高くないので、食べ過ぎのリスクはさほどないと思います。ただし、先述の通り毒性には注意が必要です。繰り返しますが、くれぐれも自分で調べてさばいて食べようとは思わないでください。
 

ふぐ調理のコツや食べ方・楽しみ方

ふぐを食べるというのは、年に数回のお楽しみだと思います。ふぐのようななかなか口に入らない食材を目の前に「太るから少しで我慢」などと思っていると、精神的によくありません。おいしいものを食べるときは、おいしくいただきましょう。そして、ふぐを食べる前後で帳尻を合わせるようにしてください。
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