マネープランクリニック・ラジオ『2020年の家計防衛』
第1回「働き方改革で減る収入と隠れ値上げに注意」
本記事はAll Aboutマネーの連載『マネープランクリニック』の音声番組『2020年の家計防衛』で収録された、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんの対談をテキストで起こした内容です。
2019年10月から始まった消費増税やジワジワと物価が上がっているという報道に加えて、2020年4月からの「働き方改革」のことなど、収入も支出も受難の時代。
マネープランクリニックに寄せられたお金の悩み相談をもとに、これから普通の人が自分のお金を守る方法について解説いたします。
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第1回のテーマは「2020年の家計防衛のポイント」です。
※音声で聴きたい方はこちらから
2020年にはサラリーマンの「収入」が大きく変化する
深野さん:皆さんこんにちはファイナンシャルプランナーの深野康彦です。
清水さん:皆さんこんにちは、ライターの清水京武です。
深野さん:よろしくお願いいたします
清水さん:こちらこそ、よろしくお願いします。最初は『2020年の家計防衛』という観点で考えてみたいと思うんです。ポイントというものはありますか?
深野さん:そうですね、まず2020年というのは「収入」が大きく変化する、と考えていただければいいのかなと思います。
皆さんがご承知の通り、2019年4月から働き方改革が始まりました。残業時間に上限ができたというのは、多分すべての業界に広がってきている訳です。残業時間が減ってしまい手取り収入が減りましたが、いわゆる賃金改革はありませんでした。2019年のマネープランクリニックへのご相談では残業代が減って困っている、そういった内容が多く寄せられたという記憶もあります。
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その続きが2020年4月から起きます。いわゆる「同一労働・同一賃金」です。簡単にいうと正規正社員の方と非正規社員、つまり派遣社員などの給料は同じにしようという法律が施行されるのが2020年4月からなんです。
この場合は、我々働く者にとってみると、非正規の方のお給料が上がるんだったら、ハッピーなはずですよね。でも、実はいくつか報道されてる企業を見ると正社員の方の給料が削減される可能性が高い。これは厳密にいうとお給料とされているもの、正規と非正規の大きな違いは、「手当」の部分。例えば家族手当であったり、住宅手当であったり。そういうものを正社員の給与から削減していこう、という可能性が高いのです。そういう意味で同一賃金にしようという考えが強いのです。2019年には残業代、2020年には手当が削減されるということになります。正社員にとってみると、収入という意味では非常に厳しい時代を、2020年には本格的に迎えることになります。また、これによって賃金体系が変わってくるといわれています。
毎月定額でもらえる「手当」がなくなったときの注意点とは?
清水さん:そうすると正社員の方は特に気を付けていきたいっていうことですね。
深野さん:その通りですね。マネープランクリニックでも我々は一口に「収入」って考えちゃうんですが、「収入」のところもう少し細かく見るべきです。正社員の人が給与の中で「手当」がなくなった場合どうなるかと。給与の「手当」とは違うんですが子どもの教育費として貯めておきたいものに「児童手当」があります。児童手当のように毎月定額でもらえる、そういう部分がなくなると思ってもらっていいと思います。
清水さん:生活費として児童手当を使い込んでしまう人がいますよね。
深野さん:生活費として児童手当を使ってしまう人はお金が足りないからですよね。そうじゃなくて本来であれば、教育費として貯めておいたりと、ちゃんとした目的に使わないといけない。でも働き方改革で給与の「手当」が見直されると、このように家計の足りない部分を、「手当」で補填するということもできなくなってしまうわけです。そんな時代がくる、これが2020年の家計防衛の重要な部分です。
清水さん:家計の見直しをするときには、マネープランなり、そういうことを、もう一度ちゃんと自分なりに考えて、見直していくことが正社員の方でも非常に大事になってくると。
深野さん:あともうひとつ。今いったのは収入の部分ですが、つまり「支出」の部分についても注意点があります。2019年10月には消費税が上がって8%から10%になりましたね。来年2020年6月まではいわゆるポイント還元とかで増税分がうまくやれば返ってくる。それが2020年7月に終わってしまう。2020年7月に一気に増税分がきます。また足元で少しずつ値上げが起きている。個別の商品に出して恐縮ですけども、「かっぱえびせん」ですね。2019年7月に5g減ってるんですよ。
同じ価格でも品物の量は減っているので、どんどんお金が出ていく
清水さん:価格は据え置きだけどその中身は減っていますか?
深野さん:実はですね、ブルボンで「ルマンド」って我々の世代だと知っていると思うんですが、9月に実は1本減ってるんですよ。若い人向けだと実は「アルフォート」っていうお菓子があるけどもあれも実は1個減ってるんですよ。そのブルボンの5商品がそれぞれ容量を減らしたんですけどね、値上げに換算すると9%以上なんです。
清水さん:けっこうな値上げですよね。
深野さん:先程言ったように、収入は減る一方ではなかなか増えづらい。もう一方でそういうような形であれ値上げっていうのがじわじわ起きている。これは「量の値上げ」というようなことが、実は2014年の消費税増税ぐらいからは頻繁に起こってて、ソレがまだ続いてるっていう形ですよね。
同じ価格なんだけども実は品物の量は減ってるから、どんどんお金が出てっちゃう。一方では貰えるお金が減っていくっていうのが鮮明化します。人手不足とかいう形になると上げざるを得ない部分があると思います。「令和」が始まって明るいことを言ってくれってよく言われるんですけども冷静にそういうのを見ると、あまり浮かれてると「足元をすくわれちゃう」かなっていうのが家計とか色々見てる実感という気がしますよね。
清水さん:そうすると2020年は、今お話にでましたように、目に見えないところでは収入減で更に物価もちょっと上がってくるので、実質その支出が増える、と。
深野さん:もしくはその原資が目減りするみたいな、そういう状況になるだろうということですね。しっかり貯蓄をしていくっていうことを考えるとやっぱり家計管理をもう一度一から根本的にやっていかないと厳しい時代になってしまう気がしますよね。
清水さん:収入だけではなく、値上げがもう一つ大きなポイントということですね。個々の具体的なその支出の見直しだとかについては、また次の機会に。
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★第2回『2020年の家計管理と支出で陥りやすいワナって?』に続きます。
記事は近日公開予定。音声を聴きたい方はコチラから
教えてくれたのは……
●深野 康彦さん
マネープランクリニックのアドバイスでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
●清水 京武さん
All About「マネープラン・節約」ガイド。25年にわたって1000組以上の家計診断のページづくりに携わってきたマネーライター。貯められない人でも無理なく続けられる家計管理やマネープランの作り方を解説しマネープランクリニックの原稿を担当。著書に『知らないと損をする!国の制度をトコトン使う本』『定年一年生の教科書 一生使える!生活見直し術』など
★第2回『2020年の家計防衛・第2回「家計管理や支出で陥りやすいワナに注意!」』に続きます
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