土地活用の基礎知識を確認
健全な賃貸・不動産業界の発展に寄与する目的で、2015年4月にスタートした公益社団法人東京共同住宅協会認定『土地活用プランナー』は、年を追うごとに不動産・建築業界を中心に受験者数が拡大しております。不動産を取り巻く環境が複雑化、多様化する今、土地活用の需要もさらに高まっている様子がうかがえます。
なぜ土地活用が必要なのか
土地活用にはリスクも潜んでおり、なかなか一歩踏み出せない方も多いのではないのでしょうか。土地活用には様々な選択肢があります。自分の土地に合った最適な土地活用は何かを正しく判断して、不動産からの収入を安定的に確保していくことが重要です。
将来の年金も不透明な中、少子高齢化の波で、日本の人口は減り続け、不動産も長期的な視野に立って考える必要があります。賢い土地活用は老後対策と次世代対策に繋がります。
(1)税制上のメリットが大きい
土地活用をすることで相続税の節税効果が期待できます。例えば、賃貸住宅を建てた場合、土地は「貸家建付地」として評価され、更地で所有しているよりも2割程度、相続資産の評価が下がります。
また、特例を活用することにより、相続税を節税する方法もあります。例えば、「小規模宅地等の特例」を適用した場合、賃貸住宅等の土地が「貸付事業用宅地等」の要件を満たした土地であれば、200㎡までは50%減額することができます。
なお、賃貸経営で得た収入については不動産所得に該当しますが、赤字が生じた場合、給与所得等の所得と損益通算できますので、「所得税」や「住民税」についても正しく手続きをすれば軽減することが可能です。
(2)成功すれば長期安定収入の道が開ける
特に、賃貸住宅系の土地活用は、入居者さんからの賃料収入が毎月一定額振り込まれるため、変動リスクの高い金融商品投資などに比べ安定収入が期待できます。
(3)地域・社会への貢献につながる
入居者さんに住まいを提供することは地域の活性化につながり、関係する人たちを潤す立派な事業となります。また、認可保育所・高齢者用住宅・医療施設等などへの活用も、地域に喜ばれる事業として貢献できるでしょう。
土地活用のポイント
土地活用によって、安定した明るい未来を考えるとき、経営者の意識を持つことが重要なポイントとなります。ここでは、2つの目線について紹介します。1つ目は、自分が何歳まで生きるかを考えながら、自分と家族の生活設計を考えること。
2つ目は、自分自身がリタイアするとき、自分の資産を次の世代にどのように引き継いでいくのか、遺産分割、相続についての指針を作っておくことです。
土地活用には様々な種類があります。何もしないで現状維持をする、リノベーション・大規模修繕で再生する、最終手段として売却することも選択肢としてあるでしょう。また、資産の組替えも選択肢の1つとしてあるでしょう。不動産を売却して立地の良い場所に買い替え収益性を向上させたり、株やJ-REITなどの流動性の高い金融商品にして流動性の高いものに組み替えたりする方法です。
土地活用にはどんな種類があるのか
貴方の土地はどんな活用方法が考えられるでしょうか?商業ビル、ペット共生型賃貸マンション、戸建て賃貸、デザイナーズ等、目的や立地条件によって、さまざまな活用方法を検討する必要があります。あくまで参考ではございますが、東京共同住宅協会で作成している簡単診断シートを紹介させていただきます。土地活用の種類やメリット・デメリットを知って、成功への道を切り開いていただきたいと思います。妥協できないプラン検討
土地活用の種類が決まった後は具体的なプランを作成することになります。どのようなプランを採用するかにより、その後の事業の成否が決まるといっても過言ではなく、妥協の許されない重要なポイントの一つです。
下記は、ある変形地の土地活用事例です。3社からいただいた提案はまったく異なるプランでした。 A社は、外階段のついた2階建て総戸数4戸。敷地が活かされていない効率が悪いプラン。B社は、2階建て総戸数8戸の羊羹切りタイプ。C社は、2階建て総戸数6戸の全室角部屋となるユニークなコの字型の建物のご提案でした。住戸数が違えば、家賃収入も違ってきます。最終的には、全室角部屋でセキュリティ面も非常に良い、住戸が外側に面していないため女性でも安心なC社に決まりました。
外構計画も重要なポイントの1つです。当初は、アプローチを駐車場にして1台で2万5千円見込める計画をしておりました。しかし、その程度の収入で物件の顔であるエントランスを潰してしまうよりも、魅力的な価値あるものにしたほうが良いのではと、植栽計画や照明計画もしっかりと考えられた豊かなアプローチを作ることとなりました。