建築とアートの街シカゴは「アメリカで最高の大都市」

「クラウドゲート」(ビーン)

 市内には700以上のパブリックアートが飾られている。ミレニアム・パークにあるパブリックアート「クラウドゲート」(ビーン)

アメリカ中西部に位置するイリノイ州のシカゴ。日本人にはまだそこまでポピュラーな旅行先ではないかもしれませんが、世界的にはとても人気の高い旅先です。2019 年10月には「コンデナスト・トラベラー」で「アメリカで最高の大都市(Best large city)」に選ばれたほど。

アメリカ3大美術館のひとつ「シカゴ美術館」を筆頭に、大小さまざまなミュージアム、さらに700以上のパブリックアート、そして偉大な建築家による名建築が目白押し。街全体がアートギャラリーのようで歩いているだけでワクワクします。この記事では、シカゴ美術館の楽しみ方を中心に、シカゴの建築とアートめぐりへご案内します。  

名建築を川から眺める「建築リバークルーズ」

 
シカゴ

ビルのデザインも個性的で、デザインに詳しくない人でも楽しめる

シカゴを初めて訪れると、高層ビルが織りなす都市景観の美しさに息をのみます。“天に届くような高い建物”を意味する「摩天楼」という言葉は、実はここ、シカゴ発祥なのです。
マリーナシティ

建築家バートランド・ゴールドバーグ設計の双子ビル「マリーナシティ」はシカゴを代表するビルのひとつ。1964年の完成当時はコンクリートの建物としては世界一の高さだった

そのきっかけとなったのが、1871年のシカゴ大火。町は壊滅的な被害を受けますが、その後の都市計画で高層建築が次々と建てられました。ミース・ファン・デル・ローエやフランク・ロイド・ライト、ルイス・サリヴァンといった名建築家たちの建物が残り、まるで街全体が名建築ギャラリーのようです。
シカゴの建築リバークルーズ

川からビルを見上げるのも新鮮な眺め。Wendella

いろいろな建築を一度に見て回るなら、リバークルーズがおすすめ。建築クルーズは、Wendellaをはじめ、数社が催行しています。所要時間約75分。建物や街の歴史をまじえながら、ガイドがわかりやすく説明してくれます。英語のみですが、説明がわからなくても川から建物を見るだけでもおもしろいです。
 

アメリカ3大美術館のひとつ「シカゴ美術館」とは

 
シカゴ美術館

建物の正面にいるライオンの前で記念撮影を。ライオンは2頭並んでいて、北のライオンは口を開けていて、南は閉じている

市内に700以上のパブリックアートがあるアートの街、シカゴ。その最大の見どころが「シカゴ美術館」です。ニューヨークのメトロポリタン美術館、ボストン美術館と並んで、アメリカ3大美術館に数えられ、所蔵作品30万点、展示は常時約2000点。世界中から年間150万人もがおとずれる巨大な美術館です。
 
なかでも「印象派」と「アメリカ美術」のコレクションに定評があり、一度は見ておきたい傑作ぞろい。印象派に影響を与えたといわれる浮世絵のコレクションも充実しています。
 

 時間がない人必見!シカゴ美術館の回り方

シカゴ美術館

ミッキーマウスの生みの親、ウォルト・ディズニーもこの階段を掃除したとか

ゆっくり回れば丸一日でもいられる巨大な美術館。時間がない人のために、ここだけは見ておきたいポイントをご紹介します。ここへ来たらぜひ見ておきたいのは、「印象派」コレクションと「アメリカ美術」コレクションです。 

まずは入り口で「ビジターズガイド」を入手しましょう。これでどの部屋がどこあるか大まかにわかります(この記事でも絵ごとに部屋の番号を書いています)。

エントランスを抜けたら、まずは大階段を登り、本館2階へ。シカゴ美術館はもともと美術大学からはじまり、ウォルト・ディズニー氏も卒業生。この大階段を彼も掃除していたとか。
レンブラント・ファン・レイン『黄金の鎖をつけた老人』(ギャラリー213)

レンブラント・ファン・レイン『黄金の鎖をつけた老人』(ギャラリー213)

2階へ上がったら印象派の作品を見る前に、時間があれば1900年以前のヨーロピアンアートもぜひ。とくに光の魔術師といわれるレンブラントの作品が充実しています。
フランシスコ・デ・ゴヤ『ペドロ僧のマラガート逮捕』(ギャラリー220)

フランシスコ・デ・ゴヤ『ペドロ僧のマラガート逮捕』(ギャラリー220)

宮廷画家で社会への鋭い目も持っていたゴヤの6連作『ペドロ僧のマラガート逮捕』も興味深い作品です。 

■必見1:印象派コレクション(モネ、ルノワール、スーラなど)
クロード・モネ『積みわら - 夏の終わり』(ギャラリー243)

クロード・モネ『積みわら - 夏の終わり』(ギャラリー243)

いよいよ、シカゴ美術館のハイライトともいうべき印象派コレクションへ。印象派の代名詞ともいわれるほど有名なモネのコレクションは、フランス国外では最大といわれるほどの充実ぶり。有名な『睡蓮』もあります。

モネは同じ主題を何度も描くことで、その変化を追求していきました。 『ウォータールー橋』や『積みわら』など複数の作品が並べられた連作を見るとそれがよくわかります。
ピエール=オーギュスト・ルノワール『二人の姉妹(テラスにて)』(ギャラリー201)

ピエール=オーギュスト・ルノワール『二人の姉妹(テラスにて)』(ギャラリー201)

やわらかな色彩で人物を美しく描いたルノワールの作品や踊り子の絵で有名なドガの作品も多数展示されています。
ジャルジュ・スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(ギャラリー240)

ジャルジュ・スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(ギャラリー240)

そして美術館にとってもっとも重要な絵で、旅行者にとっては必見といえるのが、ジャルジュ・スーラの『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。スーラは点描によって、微細な色彩表現を実現した画家です。なかでもこの作品は完成までに2年以上かかったという大作。額に入っていないので、間近でその緻密なタッチを確認できます。ちなみにこの作品は寄贈者の遺言により、ほかの美術館に貸し出されず、門外不出となっています。
フィンセント・ファン・ゴッホ『寝室』(ギャラリー241)

フィンセント・ファン・ゴッホ『寝室』(ギャラリー241)

後期印象派では、ゴーギャンやゴッホの作品が飾られています。

■必見ポイント2:アメリカ美術コレクション(ウッド、ホッパーなど)
シカゴ美術館

足元の表示や看板を見ながら迷わないように進もう

続いてはシカゴ美術館が誇るもうひとつの見どころ、アメリカ美術のコレクションへ。一度1階に下りて、隣の棟にうつり、2階へ上がります。足元の表示や看板で「MODERN AMERICAN ART」に従って進みましょう。 
グラント・ウッド『アメリカン・ゴシック』(ギャラリー263)

グラント・ウッド『アメリカン・ゴシック』(ギャラリー263)

必見はグラント・ウッドの1930年の作品『アメリカンゴシック』。家の前に立つ農夫と娘の絵は、ドラマや映画のパロディに使われることも多く、アメリカでもっとも有名な絵といっても過言ではないかも。
エドワード・ホッパー『ナイトホークス』(ギャラリー262)

エドワード・ホッパー『ナイトホークス』(ギャラリー262)

メッセージ性の強い絵にファンも多い、エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』も人気が高い絵です。
 
このほか2009年に新設された新しい棟「モダンウイング」へも足を伸ばせば、ピカソなどモダンアート作品を見ることができます。
シカゴ美術館

ミニチュアとは思えないほどリアル!

また本館1階には安藤忠雄が設計した日本美術の展示室が、地下1階には各国の部屋をミニチュアで表現した「ゾーン・ミニチュア・ルームズ」があるので、時間が許せば最後にぜひ。後者は世界各地の部屋をミニチュアで再現していて、とてもかわいいです。

駆け足でみるならこれで90分~2時間くらい。もちろん、ここに紹介したもの以外にも傑作がたくさんあるので、できるだけ時間に余裕をもって訪れることをおすすめします。
 

シカゴ美術館は撮影OK、作品画像のダウンロードも可

ギュスターヴ・カイユボット『パリの通り、雨の日』

ギュスターヴ・カイユボット『パリの通り、雨の日』

シカゴ美術館はフラッシュを使わなければ写真撮影OK。また、著作権切れ(パブリックドメイン)となった作品を公式ウェブサイトから無料でダウンロードして自由に使うことができます。ちなみにこの記事でも、カイユボットとモネの写真はダウンロードしたものです。
 
ダウンロードのやり方はかんたん。ウェブサイトの「The Collection」で好みの写真を選んだら、右下のダウンロードボタンを押すだけです。実際に現地で作品を鑑賞して、気に入った作品があったら、ダウンロードして壁紙にしたり、さらにそれをプリントして飾ったりすれば、旅の楽しさが広がりますね。

シカゴ美術館
住所:111 SOUTH MICHIGAN AVENUE, CHICAGO, IL 60603
時間:10:30–17:00(木曜は20:00まで、感謝祭・クリスマス・元日休み)
電話: (312) 443-3600 
 

注目!安藤忠雄建築のギャラリー「Wrightwood 659」

Wrightwood 659

住宅街に静かにたたずむWrightwood 659

シカゴ美術館以外にも市内には、シカゴ現代美術館、現代写真美術館など、いろいろなミュージアムがあります。その中から新たなアートスポットとして注目したい「Wrightwood 659(ライトウッド659)」をご紹介します。

2018年秋、リンカンパークの住宅街にひっそりとオープンしたアートギャラリーで、実は設計を安藤忠雄氏が手掛けています。
Wrightwood 659

コンクリートや自然光を生かしたデザイン

もともと1920年代にアパートメント(集合住宅)だったところをリノベーション。内観は安藤氏らしいコンクリートの打ちっぱなしや自然光を取り入れたつくり。一方でファサードなどはオリジナルのままだそうです。

アートギャラリーなので美術館のように作品は所蔵しておらず、企画展は所有者から借りるかたちでおこなわれます。事前予約が必要なので、ウェブサイトで企画内容を確認のうえ、事前にチケットを予約してから訪れてください。建築とアートを一度に楽しめる、まさにシカゴらしいスポットといえます。

Wrightwood 659
住所:659 W. Wrightwood Avenue, Chicago, IL 60614

個性的なアートや建築に心躍るシカゴの街。心に心地よい刺激をくれるこれから注目の旅先です。 【関連記事】
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