お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

52歳の夫がリストラされるかもしれません。貯金は2700万円あり、節約に努めていますが……(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、50代の夫が勤続30年の会社をリストラされそうだということで悩む48歳の会社員女性。節約に努めているものの、今後の収入や家計について相談したいとのことです。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 保険の見直しで毎月の収支はトントン。ボーナスから貯蓄で大丈夫

Mrs.Kさんのご主人を思う気持ちが伝わってきます。ご主人も理不尽なことに、不安でいっぱいでしょう。Kさんがどんと構えることも大事ですが、くれぐれも、頑張りすぎず、ご主人のプレッシャーにならないよう、努めて平常心で過ごしてください。経済的なことについては、一生安泰とまではいきませんが、ここ数年を乗り切れば、大丈夫ですから、過剰に不安になることはありませんからね。
 
まず、現在の貯蓄と今後の退職金などを整理すると、金融資産で2680万円、ご主人の退職金400万円、Kさんの退職金700万円で3780万円です。これをいかに取り崩さず、年金受給までの65歳までにどれだけ積み上げられるか、ということになるでしょう。
 
今、毎月10万円以上貯蓄できていますが、今後は厳しくなります。ただ、支出がそれほど多くないので、保険の見直しと通信費の見直しをすれば、当面の収支はトントンでいけます。その分、ボーナスの使い道を見直して、ボーナスからの貯蓄を確保するようにしましょう。
 
保険の見直しについてですが、ご主人の保険は終身部分があると思いますので、払い済みにして、今後の保険料負担をなくします。ただ、医療保障がなくなってしまいますので、新規に単体の医療保険で入院日額5000円程度のものに加入します。これで2万円以上は削減できるはずです。通信費も割り切って格安スマホに乗り換え、2人で1万円に。毎月3万円の削減ができれば、当面、ご主人は失業給付を受け取れるので、毎月の収支はトントンからプラスアルファで過ごすことができます。ご主人の場合、失業給付の待機期間もなく、給付日数も最長の330日になると思いますので、しばらくは、心身休めてもいいのではないでしょうか。
 
毎月の貯蓄が難しくなる半面、ボーナスについては見直しをして、これまでどおり60万円、少なくとも50万円は貯蓄に回してほしいと思います。現在でもボーナスからの支出は130万円と多額です。今後、Kさんのボーナスのみとなるのであれば、ボーナスの使い道は検討の余地があるでしょう。小遣い50万円、ご主人の習い事、冠婚葬祭費などは、ボーナスからの貯蓄を先に決め、残ったお金で配分するようにしてください。ご主人の退職後は、国民年金、国民健康保険の支払いもありますので、その点は注意してください。
 
仮に、今後ボーナスから50万円貯蓄できれば、Kさんが退職するまでの12年で600万円。これが最初に整理した金融資産3780万円に上乗せされ、4380万円となります。
 
この間、ご主人が落ち着かれて、再就職、パート、アルバイトをするなら、働いた分がさらにプラスになりますが、Kさんが60歳時点で4380万円残すことができるので、それほど無理な働き方をする必要はなく、月7万~10万円あれば、かなり余裕ある生活になるのではないでしょうか。
 

アドバイス2 60歳からの5年は、年間でかかる分を貯蓄から取り崩す

60歳以降は、Kさんもパートもしくは、バイトで働く意向があるとのこと。引き続き、ご主人も働けるのではあれば、ご夫婦で月20万円の収入を目安にすれば大丈夫です。支出はすでに月20万円程度に抑えられていますから、60歳以降も、毎月の収支はトントンで過ごすことができます。その間に、ご主人の年金受給がはじまりますから、実際には、毎月の収支に余裕がでるでしょう。
 
ただ、ボーナスがなくなる分、貯蓄ができなくなり、これまでボーナスから出していた税金や旅行代金が不足することになります。でも、こういうときのための貯蓄なのですから、貯蓄でカバーしていけば大丈夫です。大きな出費としては、車の買い換えで300万円、その他支出で年間60万円、5年で300万円。都合600万円の取り崩しですが、それでも65歳時点で3700万円程度を残すことができるでしょう。
 
お二人の楽しみが旅行ということですから、貯蓄の取り崩しを心配するあまり、旅行をやめるなどということはしないでくださいね。
 

アドバイス3 65歳からは年金だけでOK。だから、頑張りすぎないこと

Kさんが65歳になれば、ご夫婦で年金月額28万円です。もう、ここからは余裕の生活になります。貯蓄を取り崩すことなく、毎月の収支も黒字です。
 
住宅購入は考えずに、将来的には、ご夫婦で介護施設への入居を検討されているとのこと。これも素敵な選択だと思います。最近は、健康なうちからご夫婦で入居できるリゾートのような介護施設が増えています。旅行がご趣味であれば、見学を兼ねて、いろいろな場所を訪れてみてはいかがでしょう。入居時にかかる費用や入居後に毎月かかる費用などさまざまですが、Kさんの金融資産と年金額であれば、選べる施設も多いと思います。
 
今後は、ご夫婦ともに心身両面に気を付けることが肝要です。少しの家計の見直しで、老後はゆったりとした生活が送れますから、どうか頑張りすぎず支え合っていってくださいね。
 

相談者「心配性のMrs.K」さんから寄せられた感想

尊敬している深野先生にアドバイスいただき感激しています。先生のアドバイスをひとつひとつ噛み締めて拝読しました。現在主人のリストラ話は進んでおらず、私も平常心を取り戻しております。過剰な心配から少し節約が過ぎて、主人に窮屈な思いをさせているかもしれません。具体的な数字と心に寄り添うアドバイスをいただき安心しました。これからも好きな旅行を楽しみつつ健康に気を付けながら何が起ころうとも支え合っていくつもりです。本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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