亀山早苗の恋愛コラム

39歳のとき、62歳男性と再婚した女性が陥った"苦境"とは

夫が20歳以上年上の「年の差婚」が話題になっている。だが同じ20歳違いでも、25歳と45歳と、40歳と60歳では状況が異なる。再婚で年の差婚を果たした女性が陥った苦境とは。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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年の差再婚、私は夫のペットなの!?

年の差婚

夫が20歳以上年上の「年の差婚」が話題になっている。だが同じ20歳違いでも、25歳と45歳と、40歳と60歳では状況が異なる。再婚で年の差婚を果たした女性が陥った苦境とは。

 

 

夫とは一度も夜の生活がない

20代で短い結婚生活を経験したアオイさん(40歳)は、30代は恋も仕事もバリバリとがんばっていた。

「前の結婚では子どももいなかったし、私には結婚が向いてないんだと思って、恋と仕事に明け暮れていました。それなりに充実していたと思います。ただ、30歳後半になって急に体にガタがきて」

腰椎の椎間板ヘルニアを始め、顎関節症、子宮内膜症などさまざまな病気を併発、入院することもあった。健康には自信があっただけに、精神的にも弱気になったという。

「そんなとき、仕事関係のパーティーで知り合ったのが23歳年上の男性。60代とは思えないくらいダンディでステキでした。彼から話しかけてきたんですが、とても楽しかった。今度、ふたりで食事でもと言われてときめいたのを覚えています」

彼は会社を経営しており、一緒に行ったレストランでもVIP扱い。仕事でときどき有名レストランへ行くことのある彼女でも驚くほど丁寧で極上の店だった。

「そういう彼がすごいと言うほど、私も若くはないけど、彼の趣味のよさとか話題の豊富さについては本当に魅せられました。彼も私と一緒にいることを楽しんでくれたみたい」

彼は50代に入ってから離婚し、当時、独身だった。独身同士、年齢がいっているとはいえ頻繁にデートをし、確実に愛を育んでいったという。

「彼の家に泊まったこともあるんです。だけど彼は手を出してこなかった。それも年齢的な余裕だと思っていたのですが」

アオイさんはきれいな顔を曇らせた。40代とは思えないスタイルのよさ、そして輝くような肌と髪。お金をかけて手入れをしていると一目でわかる。そんな彼女が眉間に皺を寄せている。

 

 

夫にとって自分は何なのか

つきあって半年足らずで彼と結婚。彼のふたりの子どもたちもまったく反対はしなかったという。

「彼の子どもたちは会社とはまったく無関係の道を行き、それなりに成功している。だから私が財産目当てみたいに言われることもありませんでした。彼の希望もあって私は仕事を辞めました。これからは大学院に行って、女性のキャリアについて勉強したいとも思っていたんです」

200人ほどの人を呼んでパーティーもした。39歳と62歳のカップルは大勢の人から祝福を受けた。

「手頃な3LDKのマンションでふたりで暮らし始めました。彼はもともと週に3回くらい家事をしてくれる人を頼んでいるので、それも継続でいい、と。私は週に2回ほどエステに行き、好きなように生活しています。彼は現金10万円と家族カードを渡してくれました。食材などは彼がどこかに頼んでいて、それが週に2回届きます。彼がどのくらい稼いでいるのか、資産がどうなっているのかは私にはまったくわかりません」

現金10万円は彼女のお小遣いだが、エステはカードで支払っているので現金を使うことはほとんどない。

「私のいちばんの仕事は、月に数回ある、夫婦同伴のパーティーに同行すること。あとはときどき夫が招く人たちを接待することくらい」

彼女はふうっとため息をついた。

「やることがないんですよね……。しかも彼、結婚してからもまったく私と一緒に寝ようとしない。寝室は別なんです。結婚してすぐ、私が『一緒に寝たい』と言ったら、『夜はひとりで眠りたいんだ、ごめんね』って。でも彼、ときどきマッサージの女性を呼んでいるんです。昔から馴染みの人みたい。もちろんただのマッサージだと思うけど、部屋を閉め切っているからわからない。私、何のためにここにいるんだろうとときどき、すごく悲しくなるんです」

夫はアオイさんの行動も制限しないし、縛りつけるようなことはまったくない。だからこそ、彼女は夫の愛情を疑ってしまうのだという。

「彼が家で食事をとるのは週に半分くらい。週末は一緒に外で食べることもあります。変わらず話題は豊富だし、いい人だとは思うけど、なんだか寂しいんですよね」

彼は「妻がいる」という状態に安心しているだけではないのだろうか。話を聞いてくれる人なら、自分でなくてもよかったのではないか。私がいてもいなくても、彼の生活はまったく変わりがないはずだと彼女は感じている。そしてそのことに苦しんでいるのだ。

「必要とされている実感がないんです。友人に相談しても、『結局、幸せなんでしょ。私だったら、いくらでもお金を使って楽しむけど』と言われてしまう。お金があっても、虚しいんですよね。バリバリ働いていたころが懐かしい」

人にとって「幸せ」とは何だろう。彼女がうつむくと、長いまつげがきれいな肌に影を作った。
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