貯蓄

もうすぐ定年、勤め先の持ち株で「損」しないためにはどうすべき?

今回は、「勤め先の持ち株」を持っている方に向けて、効果実証済みのおすすめテクニックをご紹介します。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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勤め先の持ち株、どうするのがベスト?

「そろそろ定年。勤め先の持ち株をどうしようか悩んでいるのだけど……。どうすればよい?」これは、僕が親戚から受けた相談です。
 
会社勤めの特典として、「勤め先の株を安く買うことができる」という方も多いはず。とはいえ、資産運用の勉強をしていないと、勤め先の株を買ったけれど、処分に困ってしまう……という方も多いようです。
 
そこで今回、「勤め先の持ち株」を持っている方に向けて、効果実証済みのおすすめテクニックをご紹介します。
 
持ち株を売るべき?それとも、持ち続けるべきか?

持ち株を売るべき? それとも、持ち続けるべき?

 

パターン1:持ち株を売るべき場合

第一に、持ち株を売るべき場合について考えてみます。基本的に「勤め先の株が割高」な場合は、できるだけ早めに売った方が安全です。目安としては「PERが20倍を超える」場合、株を売却した方がよいでしょう。
 
「PERって何?」という方もいると思うので、少し解説します。PERは「Price Earnings Ratio」の略で、邦訳すると「価格収益率」という意味です(株価収益率とも呼ばれますが、個人的には「価格収益率」という直訳の方が好きです)。
 
かなり乱暴にまとめると、PERは「企業価値(時価総額)が2倍になるのに何年かかるか?」を表す指標です。仮にPERが「10倍」であれば、「今後10年間、今の業績を維持できれば、株価は2倍になると期待できる」という意味になります。
 
同様に、PERが「20倍」であれば、「今後20年間、今の業績を維持できれば、株価は2倍になると期待できる」という意味になります。
 
一般に、PERは低ければ低いほど割安です。一部の研究(1)では、「PERが低い株式は、株価が上がりやすい!」というデータもあります。そして、たいていは「PERが20倍を超えると、リスクが大きい割にリターンが小さい」と考えられます。
 
なお、PERは『Yahoo!ファイナンス』や『四季報』など、投資情報サイトを使えば無料で確認することができます。勤め先の会社名を入力して、調べてみるとよいでしょう。
 

パターン2:自分の都合で決める場合

パターン1に当てはまらない場合は、基本的には自分の都合で、「自社株を持ち続けるか」「売ってしまうか」を判断しても、大きな問題はないでしょう。
 
ただし、PERが低くても株価が割高で、保有を続けると危険となる例外ケースがあります。自分の判断に自信が持てない場合は、持ち株を売却し、インデックス投資へ移行しておくと無難でしょう。インデックス投資を行う場合は、NISAやつみたてNISAといった節税制度を使うとよいでしょう。
 
 
「定年後は所得が減る」という方が多いはず。そんなとき、持ち株の扱いを間違えてしまうと、大きな損につながる可能性もあります。安心した老後を過ごすためにも、保有中の株を上手に扱えるとよいですね。
 

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【参考文献】
 
  1. 論文:S. Basu, 1977, "Investment Performance of Common Stocks in Relation to Their Price-Earnings Ratios: A Test of the Efficient Market Hypothesis", The Journal of Finance, 32(3), pp. 663-682
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