「よく噛んで食べるとダイエットできる」は本当か
よく噛んで食べれば太らない? 噛む回数が多いことのメリットは実際にあるのでしょうか?
噛むことで満腹中枢が刺激されて満腹感を感じやすくなりますので、噛む回数が多ければ実際には少量しか食べていなかったとしても「たくさん食べた」と脳が思い込みます。脳が「たくさん食べた」と思えば、食欲にストップがかかり、食べ過ぎを防ぐことができます。ですのでより正確には、「少量でもよく噛んで食べれば、満腹感が得られて、ダイエットにつながる」といえるでしょう。
「よく噛むこと」のメリットはダイエットだけではない
よく噛むことのメリットは、ダイエットだけではありません。噛むことをまとめた有名なフレーズとして、「ヒミコノハガイーゼ(卑弥呼の歯がいいぜ)」というものがあります。ヒ:肥満防止
ミ:味覚の発達……噛むことで味が分かるようになる
コ:言葉の発達……口の周りの筋肉をよく使うため、あごの周りがきれいになり発音もよくなる
ノ:脳の発達……脳への血流量が増えて頭がよくなる
ハ:歯の病気予防……噛むことで唾液が分泌されて、口腔内や歯を洗浄できる
ガ:ガンの予防……唾液に含まれるペルオキシダーゼにがん予防に効果があることが知られている
イー:胃腸快調……消化を助け、食べすぎを防ぐ。胃腸の働きもよくなる
ゼ:全力投球……体の調子がよくなるので、何事にも前向きになれる
「ゼ」は若干こじ付けではないか(というか、いらないのでは……?)という気がしなくもありませんが、『子どもの食と栄養(保育士養成施設の科目)』の教科書にも載っているほど有名です。カタカナ表記のものも、「ひみこのはがいいぜ」とひらがな表記の場合もあります(参考:月間学校食事研究会 月刊:学校の食事)。
ダイエットを成功させたい! やせたい人への栄養学的アドバイス
これまでにも一貫してお伝えしていますが、ダイエットを成功させたいなら、核心となることは一つだけ。「急がば回れ」
これだけです。
同じものだけを食べ続ける単品ダイエットで一時的に体重が減っても、人間は単一の食品だけで一生を過ごせるわけではありませんから、いつかは単品ダイエットをやめるときが来ます。そのときがリバウンドの始まりです。運動によるダイエットも同じです。その運動がずっと楽しく続けられるものであれば、ダイエット効果も長続きするでしょう。でも、あまりにハードで、しんどい、つらい、無理をしてやっている……というのであれば、長期的な継続は難しいはず。運動をやめてしまったとき、リバウンドがスタートしてしまいます。
いずれも無理をしたにもかかわらず、結局リバウンドしてしまうという悲しい結果を迎えてしまいます。「太ってしまった。嫌だな。1日でも早くやせたいな」という気持ちは分かります。ですが、自分の生活に照らし合わせて「これなら生活の中に無理なく取り入れられる」と思われる方法でダイエットしなければ、リバウンドしてしまいますし、ダイエット祭は永遠に続いてしまいます。
また、「太ったらまたダイエットすればいい」と体重の増減を繰り返すことは、体に負担をかけます。生活習慣病に一歩ずつ近づいてしまうようなものです。ダイエット希望者のなかには、口では「死んでもいいからやせたい!」と言う人もいますが、心の底では死にたくないはずです。ダイエットで人生を台無しにしないように、無理なく上手に食事を選んで、長く続けられる健康的な食習慣と食べ方を身に付けていただければと思います。