映画

“恋愛体質ではない女子”こそ観てほしい名作『恋人たちの予感』

「男女の友情は成立するか」は永遠のテーマ。自身も「恋愛に素直になれない女子」だったという恋愛ガイドの藤嶋さんがおすすめするのは、メグ・ライアンの可愛さが光る30年前の映画『恋人たちの予感』。婚活時代、恋愛離れの現代にこそ、改めて見直したくなる映画かもしれません。

執筆者:藤嶋 ひじり

恋人たちの予感の扉画像

恋人たちの予感


ご紹介したい映画のタイトルは、30年前の1989年に公開された映画『When Harry Met Sally…』。邦題『恋人たちの予感』です。

実は私、セラピストや編集職の経験をもとに“恋愛ガイド”をしていますが、父親との確執により男性不信があり、恋愛映画には興ざめするタイプ。そんな私が、メグ・ライアンというキュートな女優に興味を持って観た『恋人たちの予感』は、生涯唯一、思い切り笑って思い切り泣いた恋愛映画。

恋愛にどこか冷めた目線を持つ現実的な女子でもスッとその世界に入っていけるロマンティック・コメディなのです。
   

12年越しで結ばれる「運命の恋人」

ハリー(ビリー・クリスタル)とサリー(メグ・ライアン)は、第一印象は最悪というところから物語が始まり、再会を繰り返すなかで「男女の友情」を育み、何度も喧嘩して互いの嫌なところも知りながら、12年越しで互いに大切な人となっていきます。

冒頭の大学卒業後のころのハリーは「男女の友情は成立しない」「なぜなら男は魅力的だと思う女を抱きたいと思うものだから」と言い、サリーは「男女の間に友情は成立する」と言います。紆余曲折を経て、二人は「セックスのない男女の友情」をしばらく堪能し、互いの恋愛を励まし合います。

それゆえ「男女の間に友情は成立するのか」がテーマの映画と紹介されていることもありますが、この映画の一番言いたいところは「友達から始まる素敵な恋もある」ということではないかと個人的には思っています。この二人も「運命の恋人」だと筆者は思うのです。

 

恋愛の「現実」と「甘さ」のバランスが絶妙

出会った瞬間ビビビッと運命を感じるとか、突然モテ系男子からぐいぐいと引っ張られていくような少女漫画や恋愛映画はたくさん存在しますが、あまり現実的ではありませんよね。

かといって、わが娘など20~30代女子の話を聞いていると、マッチングサービスなどの現実的な出会いからは、最初はときめくことはあってもなかなかいい関係に発展しにくいようです。

この映画でも、二人は別の人と何度も恋愛します。ハリーは結婚して離婚しますし、サリーは、ずっと恋人ムードでいたいからと「結婚しない関係」を築こうとして破綻します。二人の関係が動き出すのは30歳を超えてから。

観ていると現実的な「男あるある」「女あるある」がいっぱいで、クスッと笑えたり、共感して頷いたり。こんなに「現実」と「甘さ」のバランスがいい恋愛映画はない、と私は思います。
 

デートやセックスに関する、世界共通の男女差も学べる!

劇中、「女と出会うと、デートに誘ってランチをしてディナーをしてからホテルに行くのが面倒」「行為後の腕枕が面倒なのですぐ帰る」と“ザ・男”なハリーの発言が登場します。「それでも女は満足している」というハリーに対して、サリーは女たちがいかに演技をしているか、レストランで「感じている演技」をして見せるシーンがあります。このシーンのメグ・ライアンのかわいさ! そして、周囲の呆然とした顔が大好きです。

女性の性欲の変化はなだらか。「性欲の扉」を開くには相手への信頼が必要で、だからこそデートやディナーが大切。ムードや気持ちが盛り上がらないと性欲も解放できないので、感じているフリをすることになってしまう。行為後もゆっくり熱が冷めていく間、そばにいてほしい。男性がそこに気づいていないのも世界共通なのかも。

この1本で「男女の違い」が学べる!と言っても過言ではありません。
 

「一日の最後におしゃべりをしたいのは君だ」

物語の終盤、二人は自分の気持ちに気づきギクシャクします。そうして距離を置いたサリーに、「やっとわかった、君を愛してる」とハリーが告白します。

すぐに素直になれないサリーに、「サンドイッチの注文に1時間半、僕を見るときの眉間のシワ、それでも君が好きだ」「一日の最後におしゃべりをしたいのは君だ」とダメ押しの告白をするハリー。「サンドイッチの注文に1時間半」は誇張表現ですが、「パイは温めて」「ソースはかけずに横に添えて」などサリー独特の細かい注文シーンが何度も描かれたうえでの、この告白。

「欠点まるごと君を受け止めているよ」という長年かけて育まれた「愛」を感じるからこそ、このシーンは何度見ても涙が出るのだろうと思います。言葉そのものにはムードはないかもしれないけれど、女が求めるグッとくる告白だと思います。

第一印象が悪くても、考えや価値観が違っても、本当に相手を大切に思えたら素敵な恋人になることはできる……この映画はそんなことを教えてくれます。

男性を「スペック」「優良物件」などとモノのように値踏みしてしまう女性。そして、経済的なことを理由に、女性に一歩踏み込みにくい男性。そんな時代だからこそ観てほしい一本です。老若男女とも心動かされるはずです。ぜひ秋の夜長にご覧ください。
 


DATA
映画『When Harry Met Sally…』(邦題『恋人たちの予感』)

ジャンル:ロマンス
監督:ロブ・ライナー
主演:ビリー・クリスタル, メグ・ライアン, キャリー・フィッシャー
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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