血管腫とは? 原因・主な症状・できやすい部位
自然に消失するものから、年齢を重ねるにつれて大きくなるものまで、様々な種類がある血管腫
血管腫とは、正確には血管が異常に増殖してできたできもののことを指しますが、血管が広がってできた病変も「血管腫」と呼ばれていることが多いです。一言で血管腫と言っても、種類も見え方も様々であり、単純血管腫、乳児血管腫、老人性血管腫、くも状血管腫、海綿状血管腫、静脈湖などに分かれます。
血管腫の検査法・診断基準
血管腫が皮膚の表面にある場合は、肉眼的に診断がつくことが多いです。診断では以下のポイントも注意してチェックします。- 色……血管腫であれば赤、紫、青のいずれかのことが多いです
- 平坦か盛り上がっているか……血管腫の種類で異なります
- 生まれつきあるかどうか……単純血管腫は生まれつきですが、他の場合は後からでてきます
血管腫の種類と各症例画像
■単純血管腫の特徴・症例画像単純血管腫は生まれつきあり、平坦で、赤い病変です。顔、首、体、腕、脚と体のどこにでもできます。年齢が上がってくると紫がかってきたり、一部が盛り上がってくることがあります。
通常自然には消えません。額など、一部の単純血管腫はサーモンパッチと呼ばれて自然に消えることがあるとされていますが、実際には消失しないことも多々あります。
■乳児血管腫(いちご状血管腫)の特徴・症例画像
乳児血管腫といちご状血管腫は同じもので、以前いちご状血管腫と呼ばれていたものが、今は乳児血管腫と呼ばれるようになりました。生まれて数ヶ月以内に出現し、比較的急速に大きくなり、1歳頃には成長が止まり、徐々にしぼんでいきます。単純血管腫と違って自然にも治ります。ただし、治っても普通の皮膚になるわけではなく、ヤケドのあとのように色や表面の皮膚の質に異常が残ります。
■老人性血管腫の特徴・症例画像
年齢とともにできやすくなるできものですが、最初は赤く、平坦な赤い点で気づかれます。時間が立つとある程度拡大し、盛り上がってきます。大きくても5ミリ程度までしか拡大しないことが多いです。
■くも状血管腫の特徴・症例画像
真ん中に赤い点があり、そこからちりちりとした血管の拡張が広がります。赤いくものように見えるのが由来です。顔に多く、小児から大人まで、幅広い年齢でみられます。小児の場合は自然に消失することもあると報告されています。
■海綿状血管腫の特徴・症例画像 静脈が開いているため、青く見えます。皮膚の下にしこりがあり、青く見えている場合にはこの診断であることが多いです。
■静脈湖の特徴・症例画像
唇にできる紫色のできものです。通常症状はないですが、痛みを感じることもあります。
血管腫(赤あざ)と青あざの違い
赤あざは主に単純血管腫のことで、生まれつきある赤みのことを指します。1センチ程度の小さい赤みのこともあれば、顔や腕全体を覆うほど範囲が広いこともあり、程度は様々です。青あざは顔の「太田母斑」や腕、脚、体の「異所性蒙古斑」といったくっきりした青色~灰色の色素斑です。これは真皮という皮膚のやや深いところにメラニンが沈着したもので、通常生まれつきですが、年齢が進んでから出現する場合もあります。
血管腫は遺伝するのか・あかちゃんに多い原因は?
遺伝する稀な血管腫もありますが、通常の血管腫は遺伝しません。単純血管腫は生まれつき、乳児血管腫(いちご状血管腫)も生後すぐ出現するので、小児科で発見されて皮膚科を紹介されてこられるケースが多いです。血管腫は見た目が目立つので、たいていは赤ちゃんのころに一度皮膚科で診察されます。ほかの血管腫の事も考えると、血管腫が特に赤ちゃんに多いというわけではありません。
血管腫は放置するとどうなるか・小児血管腫は自然消滅も
乳児血管腫は幼児の頃までに消えてしまいますが、単純血管腫を含めほかの血管腫は自然には消えません。単純血管腫は年齢が上がってくると、一部が紫色になったり、盛り上がることがあります。老人性血管腫、海綿状血管腫といったほかのタイプの血管腫は出現すると大きさが変わらないか、もしくは少しずつ拡大することが通常です。放置して多少は大きさや形が変化するかもしれませんが、見た目以外には通常問題はありません。