ペットボトルを水筒代わりに使うと便利そうですが……
ペットボトルを水筒代わりにするのは便利ですが、注意点も……
多くの人が購入しているペットボトル飲料。ペットボトルは軽い材質で、飲みかけはリキャップできるので持ち運びもしやすく、必要がなくなれば捨てられるなど、さまざまなメリットがあります。そのため飲み終わった後に洗って、水筒代わりに再度使いまわしている方も少なくないようです。一見とても便利なリユースに感じられるかもしれませんが、デメリットもあるのです。
ペットボトル水筒の危険性は? リスクとデメリット
とても便利なペットボトルですが、残念ながら水筒としての再利用には向いていません。そもそも洗って再利用することを前提には作られていないため、飲み口も小さく完全にきれいに洗うことができません。すすいだだけでは付着した菌が取れなかったり、水や洗剤の成分が残ったりしやすく、汚染された状態で次の飲み物を入れてしまうことも考えられます。また、ステンレス水筒などでは熱湯消毒で菌を死滅させることもできますが、ペットボトルは熱により容器が破損したり変形したりすることもあるため、こういった消毒にも向きません。
家庭では市販されている状態と同じように衛生管理を徹底することは難しいので、再利用はしない方がよいでしょう。
ペットボトル飲料を多く扱うメーカーサイトでも、ペットボトルは「きれいに洗えない・熱で変形するものもある・他用途に使用すると分別排出できない」などの理由で、使用後のペットボトルを水筒代わりにすることに警鐘を鳴らしています。
食中毒報告はなくても、乳幼児・高齢者・体調不良の方は特に注意を
幸い、ペットボトルの再利用が原因で重大な食中毒などの事故に至った報告はこれまでにはありません。しかし、増殖した菌などで嘔吐(おうと)するリスクなどはありますので、特に乳幼児や高齢者、妊婦さんなど、抵抗力の弱い人は注意すべきでしょう。また、それらに当てはまらなくても、夏バテで体力が落ちている時などは注意が必要です。通常の健康な体調では大丈夫な人でも、抵抗力が落ちている時には菌などの影響を受けやすくなるからです。緊急時など、どうしてもペットボトルを水筒代わりに一時利用したい場合は、空気中のホコリや虫、菌などの混入を防ぐためにこまめに蓋をすること。また、変質を防ぐためにできるだけ冷蔵庫に入れることも大切です。しかし、ステンレス水筒でも、口飲みすれば食べかすや唾液の菌が逆流する恐れがあります。利便性が少し落ちてしまいますが、なるべく口飲みはせず、コップなどに注いでから飲むことをおすすめします。
ペットボトルは避けて! 清潔なボトルと適切な使用でこまめに水分補給を
暑い季節には水分補給がとても大切です。近年は特に35度を超えるような暑さの日が続いています。多くの細菌が30~40度で発育するため、この気温は菌にとっても適温です。お出かけにペットボトルやマイボトルを持っている方は多いと思いますが、夏バテの疲れなどで抵抗力が落ちていると、増殖した菌にあたってしまうこともあります。またペットボトルの蓋をしているから大丈夫といっても、口飲みのリスクは無視できません。使い回しをしない場合でも、なるべく早く飲みきれる小容量のペットボトルを買ったり、できればコップに注いでから飲むようにするなどの工夫が有効です。マイボトルも洗ってよく乾かした後、エタノール(容器により対応可能かご確認ください)などの消毒剤で殺菌してから水やお茶を入れるようにすると安心だと思います。蓋の洗浄、殺菌もお忘れなく。安心できる容器での水分補給を心がけてください。
■参考
- 清涼飲料水中の汚染物質に関する研究(厚生労働省)
- 生活と微生物カビQ&A(衛生微生物研究センター)
- 清涼飲料水ハンドブック(全国清涼飲料連合会)