夫婦関係

旦那の性欲のリアル!なぜ夫婦のセックスレスが問題になるのか

旦那さんの性欲がどれくらいあるのか、もしくは今後どうなるのか考えたことはありますか?40代、50代の男性の性欲と性機能に関する調査をもとに、令和時代の夫婦のセックスレス問題を、特に旦那の性欲という観点から考えていきたいと思います。

三松 真由美

執筆者:三松 真由美

夫婦関係ガイド

旦那さんの「性欲」と「性機能」のリアル

旦那さんの性欲は?セックスレス問題を考える

「したいのにできない!?」気になる男性の性機能問題

今回は「男性の性欲と性機能」について考えてみましょう。
 
その前に、まずは確認。「男性の性機能」とはいったい何でしょうか? 「ムラムラして勃起して射精すること」と考える方や、「元気な精子を育てて生殖させるまでが性機能の役割」と考える方もいると思います。今回は、特に「勃起射精」にフォーカスして考察してみましょう。

<目次>  

知っているようで知らない「射精」「勃起」の真実

年齢と共に性機能にも変化が

年齢と共に性機能にも変化が

泌尿器科医でED をはじめ男性性機能について研究を重ねておられる永井敦教授が、TENGAヘルスケアセミナーにて、興味深い動画を見せてくださいました。その名も「射精の真実」。
 
20代の男性による射精の瞬間の前立腺、精のう、射精管、尿道を横断面から見ることができる貴重な映像です。精液がすごい勢いで移動し、押し出される様子がはっきりとわかりました。とても複雑な性器官の動き、キレのある見事な射精を見たのは初めてです。

はたしてビール腹のおじさんになってもこれほど完璧な射精ができるのでしょうか。年を取ると血管がもろくなったり、血液がドロドロになってくるイメージがあります。血液と精液、もしかすると似たようなことが起こるのではないでしょうか。
 
永井先生が提示される健常者の射精に必要な4項目があります。これは正常な性機能を考える上で大変参考になります。

<正常な「射精」に必要な4項目>
  • テストステロン(男性ホルモンの一種)が正常
  • 勃起が正常
  • 自律神経が正常
  • 前立腺・精のうが健康
なるほど。これに「セクシーな気分になる相手」、つまり彼女、妻、グラビアアイドル、動画の中の女性(男性)という対象があって精液が放出されるわけです。たかが射精、いつでもできると考えがちですが、ストレス過多でセクシー気分になれないとき、妻とうまくいってないときは正常な射精ができなくなります。
 
そして「射精」の前に男性には通らねばならない高い壁があります。健常な硬度を維持する勃起です。20代ならば、そこを壁に感じる人は少ないでしょう。しかし!アラサー以降……男性にとっては深刻な問題となります。私ども女性には計り知れない大問題なのです。
 
<正常な「勃起」に必要な4項目>
  • 脳が健康
  • 神経が健康
  • 動脈・静脈が健康
  • 陰茎海綿体が健康
やはり、血管(動脈・静脈)というワードが出てくるではありませんか。そしてガイドが唱えるセクシー脳も!

つまり、脳や神経やホルモンなど必要な項目が揃ってこその「勃起&射精」です。男性のセックスは健康なメカニズムが最低8項目重なり合って完遂することがわかります。
 
「妻だけED」などと、ごまかしている場合ではありません。「今日は飲みすぎたからしょうがない」「最近、仕事立て込んでたから眠いんだよね」。こんな言い訳も、女性達は「ほんとかよ」と心の中で毒づきながら受け止めてきました。男性のプライドを傷つけないよう、ニコリとして「そうだね、飲みすぎちゃったね」。寛大な菩薩の心で対応しています。

アラサー以降の性機能維持は、脳も血管も健康でなければ衰退の一途をたどると推測できます。
妻への言い訳を考えるより、脳と身体の鍛錬を強くおすすめします。
 

したいのにできない!セックスレスの時期がくる

さてTENGAヘルスケアの調査結果「男性の性欲と性機能のギャップ」を見てみましょう。
TENGAヘルスケアの調査結果「男性の性欲と性機能のギャップ」

TENGAヘルスケアの調査結果「男性の性欲と性機能のギャップ」

この調査によると、性欲の実感は45-49歳でいったん落ちます。そこから巻き返し、60-64歳でまたも落ちます。おしなべると年をとるにつれ、性欲も性機能つまり勃起維持力も下降線を描いて下がっていきます。

特に75歳以上を見てください。性欲はあるにかかわらず、性機能はガックリ落ちている。つまり「したいのにできない!」ということです。精力増強剤やED治療薬を求めるのはまさにアラ還から。私がよく取材をうけるセックス特集が人気の男性週刊誌。こちらの読者は60代が一番多いそうです。

30代、40代の方々は「ゲ!あと20年後はエッチしたくてもできなくなるのか」と心に留めて、上記8項目の衰えを予防いたしましょう。

ちなみに私の見解としては、したくてもできなくなるのは「20年後」とは限りません。30代でもEDに悩む相談は後をたちません。夫婦仲相談所には、妻側が訪れて、こうおっしゃいます。「夫が途中で折れて最後までできないんです。EDとは認めないんです。どうしたら病院へ行ってくれるでしょうか」。自分の妻がそんな悩みを抱えていると気づいている男性は、どれだけいるでしょうか。
 

夫婦間の性行為の意味は?

次にTENGAヘルスケアの調査結果「夫婦間の性行為の価値」を見てください。
TENGAヘルスケアの調査結果「夫婦間の性行為の価値」

TENGAヘルスケアの調査結果「夫婦間の性行為の価値」

45歳を過ぎても「性行為は夫婦間のコミュニケーション手段」と考える人は男女共にいます。男性は65歳以上でもかなり多い。しかし、女性側は45歳を超えると「不要なもの」と考える人が増加し始めます。そして65歳以上になると「不要なもの」という回答がトップに躍り出ます。まさに、夫は性行為をコミュニケーションとして重要と思っているが、妻は「したくない」という悲しいすれ違いです。
 
私は今まで、スキンシップさえあれば完璧なラブラブ夫婦なのに……というカップルに夫婦仲相談所でたくさん出会ってきました。そして私は女性の性機能の衰退防止のために、「年齢を重ねても性器官を使おう」と提案し続けています。しかし、性行為の概念が「挿入→射精」に固定化している限り、「それは無理、だから不要」となってしまうのです。

性機能(脳も含め)を動かすのはそれだけではありません。
  • セクシーコンテンツに触れる
  • 異性とのスキンシップ
  • 女性として愛でられる環境
  • セルフプレジャー
  • 陰茎以外の代理挿入
固定概念をくずせば、いかなる形でも性機能とセクシー脳を動かすことができます。

性機能の活用は、もちろん夫とのコミュニケーション円滑化の手段にはなりますが、それだけではありません。「健康&若さを保つこと」にも一役買うことを、なんとなく感じている方もいるのでは?

昨今ではお医者さんの健康本がたくさん出ています。それらの中では「使わない筋肉は衰える、使わない脳は衰える」という主張が繰り返されています。つまり「使わない性機能は衰える」ということになるのではないでしょうか。

永井敦教授のみならず他の泌尿器科の先生がたも、「勃起、射精を定期的にするとEDになりにくい」とおっしゃっています。
 

「夫婦の性のギャップ」を埋める作業を避けないで!

50年後もハッピーな2人でいるために必要なこと

50年後もハッピーな2人でいるために必要なこと

さて、男女とも性欲は経年減少するのは当たり前という定説がありますが、私の実感は違います。性欲のグラフの影に隠れた実情を実際に聞いています。このことについては、過去に何度も著書やコラムで示してきました。「女性の性欲は40代で二極化する」という事実です。

今回、「男性の性欲は75歳を過ぎても存在する」ということがTENGAヘルスケアの調査で判明しました。もちろん、個々の性格、生活環境、交友関係も関わるものではありますので個人差はあると考えられます。
 
夫は性欲があるのに性機能が衰えてED気味になり、さらに「マンネリ妻には燃えない」などの問題もあり、「できなく」なくなります。それに対して妻(=二極化のうちの「性欲が高まる」方)は閉経前に性欲が復活し、抱かれない自分に悶々としてしまう。この状態はアラフィフ夫婦の溝を深めます。

老後の備え、介護の準備を話し合う大切な時期にすれ違うと、100歳までの長い晩年の夫婦生活に影を落とします。あと50年、仲良くごきげんに2人で過ごすために、何ができるか? 夫が家事をたくさんするとか、妻に自由時間をあげるとか、そんな生半可なことだけで乗り切ろうとしていませんか。
 
性機能が衰える時期に「性のギャップを埋める作業」を避けてはいけません。


もし妻がセックス不要論を唱える場合、それは半分は男性側の責任です。長年、夫婦の夜の過程ですてきなセックスを研究しなかったため、妻が開かれた性の世界を知らない状態のままでいるからです。自己開発できない妻の場合は夫がリードするしかありません。

寝室事情を考慮すると「女性の方が強い」「夫婦平等」「妻に任せるのが家庭円満」などと言ってる場合ではないのです。
 
男女の性欲と性機能のグラフをじっくり見据え、「俺のこれまでの寝室事情」を復習し、反省もしてください。イキイキ老後、ラブラブ夫婦の鍵は性の概念のシフトチェンジにあります。「老後資金2000万円問題」と同じくらい重要な案件とお考えください。
 
【出典】
TENGAヘルスケア:「エイジングと性に関する意識調査2018」
【監修】
永井敦(川崎医科大学 泌尿器科教授)
【関連記事】  【参考資料】
セックスレスな妻の本音については、私が監修したこちらの書籍もご覧ください。
 
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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