来年以降、進学が続きますが貯蓄は50万円しかありません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、貯蓄が思うようにできず、教育資金と老後資金が不安という43歳の主婦の方。とくに教育資金は進学が間近で、このままでは不足するのはほぼ確実とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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子どもの進学が迫り教育費が足りない

子どもの進学が迫り教育費が足りない




■相談者
Kママ さん(仮名)
女性/パート・アルバイト/43歳
関西/持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
夫(45歳)  子ども3人(20歳・18歳・14歳)
 
■相談内容  
学費と老後の蓄えを何とかしたい。急な出費がなければやりくりできていますが、この先、大学と高校受験が続きます。学費を用意したいのですが、昨年100万円の自宅リフォームで学費がなくなりました。子どもたちは、塾に行かず頑張って勉強しているので学費を捻出できるよう、アドバイスお願いします。
 
■家計収支データ
相談者「Kママ」さんの家計収支データ

相談者「Kママ」さんの家計収支データ



 
 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
住宅ローン30万円、夫小遣い20万円、夫保険20万円、固定資産税12万円、自動車税4万8000円、学資保険6万円、義実家仕送り11万円、交際費11万円、他にコンタクト3人分、被服費、夫趣味、親戚付き合いなど。残り20万円ほどを貯蓄。
 
(2)住宅ローンの内容
・新築購入 2003年築
・ローン残高:1600万円
・30年ローン
・月々の返済額:7万6000円 
・ボーナス月加算額:15万円
・・・・・・
・固定資産税:12万円
 
(3)クルマについて
2台所有。 ともに通勤用。うち1台はローンで購入し、残10カ月×1万8000円で支払い終了
 
(4)加入保険について
♢夫: 死亡保障 100万円 入院保険 5000円
♢妻:死亡保障 100万円  入院保険 5000円
♢妻:個人年金 60歳から10年 42万円
♢子:18歳満期 55万円
♢子:18歳満期 80万円
 
(5)子どもの進路について
高校生の子どもは私大4年予定、自宅通い。中学生の子どもは、高校は公立志望、大学未定。大学進学なら私大になりそう。大学費用は足りない可能性が高く、奨学金二種で200万円ほど借りることを想定している。ただし、高校も私立になった場合、資金的に不安とのこと。
 
(6)夫婦の定年と退職金
夫は大手会社員だが、再雇用は望んでいない。退職金額は不明。
妻はできる限り働きたい。
 
■FP深野康彦の4つのアドバイス
アドバイス1 「ボーナスの半分を貯蓄」を目標に
アドバイス2 教育資金は毎年、必要なところに充てる
アドバイス3 奨学金は親が返済することを前提に
アドバイス4 定年以降も働くことが有効な老後対策
 

アドバイス1 「ボーナスの半分を貯蓄」を目標に

教育資金と老後資金のご相談ですが、優先順位から考えても、まずは教育資金をどう用意するかを考えなくてはなりません。
 
教育資金の原資となるものとして、学資保険があります。満期金が計135万円。これにどれだけ貯蓄を上乗せできるかですが、現在されている貯蓄のうち、財形貯蓄の月2万円の積立が天引きとのこと。となると、データにあるご主人の収入は天引き前、天引き後、どちらの金額かということですが、いただいたデータの収支額から考えて、天引き後としました。
 
結果、貯蓄ペースは月3万円、ボーナスから20万円ですから、年間56万円。しかし、Kママさんも心配されているように、教育資金の必要な時期がもう間近に迫っていますので、これではほぼ間に合いません。その対策としては、大きく家計を見直すしかありません。
 
具体的には、金額の大きなボーナスからの貯蓄目標を50万円増の70万円とします。そのためには、ボーナスの支出先のうち、固定支出となる住宅ローンと固定資産税、保険料、クルマの維持費以外は、大きく減らすことが必要となります。ご実家への仕送り、親戚付き合いを含む交際費、趣味娯楽費、そして、もっとも減らすべきはご主人のお小遣いでしょう。

ご実家や親戚には、教育資金が足りないのでしばらくはお金をそちらに回すと正直に言ってください。そのことで、心苦しい思いや、気が重い部分があるかもしれません。しかし、お子さんたちは塾に行かず頑張っているのですから、親としてもその頑張りに応えるべきです。
 

アドバイス2 教育資金は毎年、必要なところに充てる

ボーナスから70万円貯蓄に回すことができれば、年間貯蓄額は106万円。そして、ここがポイントなのですが、貯まった資金は順次、その年によって必要なところに充てていきます。
 
まずは、先の106万円に学資保険のうち最初の満期分(55万円)を加算して160万円。この資金を来年予定されている、高校生のお子さんの大学1年の費用に充てます。私大文系の初年度費用は120万円程度(入学金、初年度の授業料、施設設備費用の合計)ですから、受験料やその他のコスト(通学費、教科書代)を考慮しても、十分カバーできます。
 
次に2年後以降ですが、社会人のお子さんの仕送り費用、月1万6000円、自動車ローン月1万8000円、そして学資保険の保険料の支払いも半分になっているはすです。年間で44万円程度コスト減になりますから、これもすべて貯蓄に回すと、年間貯蓄ペースは150万円。
 
2年後は下のお子さんが高校入学しますから、もし公立であれば、初年度費用はおそらく40万~50万円。大学生のお子さんの2年目の授業料も合わせてこの年の貯蓄から捻出できます。

しかし、もしも私立なら、初年度の費用として120万円前後は考えておきたいので、大学生のお子さんの2年目の費用は用意できません。その場合、本来、勧めることはしないのですが、選択肢としては奨学金しか手がありません。下のお子さんの高校が公立か私立か不確定ですので、来年大学受験のお子さんにはすぐにでも奨学金の手続きが必要となります。どのくらい借り入れるですが、計算上は2年目の学費だけでも何とか間に合いますが、予期せぬ大きな支出がある、あるいは世帯収入が減額となることだって考えられます。したがって、2~4年の3年分、余裕をもって250万~300万円は借り入れたいところです。
 
大学生のお子さんの卒業までの学費を奨学金でまかなえば、高校生となったお子さんの残りの学費(2~3年)は毎年の貯蓄から捻出でき、さらに50万円前後は余りますから、残りの学資保険の満期金80万円と合わせて、高校卒業となる時点で、貯蓄自体も200万円近く増えていることになります。

このときご主人は49歳ですから、150万円の貯蓄ペースが定年まで続けば1650万円。手持ちの貯蓄(200万円+50万円)と合わせて、1900万円。ここから一番下のお子さんの高校、大学費用(私立文系、自宅通学)を差し引いても、1300万円前後は定年時には貯まっていますので、それが老後資金の原資となります。
 

アドバイス3 奨学金は親が返済することを前提に

ここまでの試算は、ボーナスからしっかり貯蓄すれば、資金の充て方は綱渡り的ではありますが、下のお子さんが私立高校進学なら奨学金の力も借りて、公立高校進学なら、自前の貯蓄だけで何とか学費が用意できることになります。

逆にいえば、もう今年からしっかり貯蓄しなくては間に合わないということ。とくにこの先、7~8年は先の貯蓄ペースを守ることが大前提となります。それが難しいとなると、教育資金も老後資金も厳しい状況になりかねません。そのことをしっかり認識しておきましょう。
 
加えて、それぞれのお子さんにいつ、いくらくらい学費が発生するのかを、視覚でもわかるように、年表形式に整理しておくことをお勧めします。一番下のお子さんの進路の違いで、資金計画も変わってきますので、両方のケースを記載してください。そして、それに合わせて資金が順調に貯まってきているのか、絶えず状況を把握しておくことが大切です。
 
それと奨学金を利用する場合、進学する大学に給付型の奨学金制度があるかどうかを調べてください。国の給付型奨学金制度もありますが、原則として収入が低い世帯が対象ですので、利用は難しいでしょう。また、返済義務のある貸与型=一般的な奨学金を利用するとなると、少なくとも半分、できれば全額、親が返済することが望ましいと考えます。社会に出る前から、何百万円も負債を背負っている。それはお子さんにとって、やはり大変な経済的ハンディです。

先の貯蓄ペースが継続されれば、2年で全額返済可能です。奨学金利用は、余裕資金がないための、短期間の借り入れという位置づけでいいと思います。
 

アドバイス4 定年以降も働くことが有効な老後対策

老後資金についてですが、教育資金でまだ不確定な部分もあり、試算した1300万円から、奨学金利用の場合の返済や、クルマの買い替えもあるでしょう。そうなると、実際にご主人60歳のときに、手元に残る資金は1000万円を割っている可能性も十分あります。ただし、退職金は不明とのことですが、勤務先が大手であれば出る可能性は高いはず。また、前倒しの加算となりますが、Kママさんの個人年金保険の年金額が総額420万円。これらは当然、老後資金に回ります。
 
ともあれ、老後資金がいくらあれば足りるかは、まだわかりません。老後のご夫婦の生活費と公的年金の差額がとのくらいか。それによって、必要な老後資金の金額は大きく変わってくるからです。例えば、年金の手取額が月20万円で生活費が25万円なら、月5万円不足となります。準備した老後資金が個人年金保険と合わせて1500万円程度であれば、不定期の大きな支出がなくても、25年で底をつきます。ただし、普段の生活費以外に別途余裕資金(住宅のリフォームや修繕、クルマの買い替え、入院や介護費用など)も500万~1000万円はほしいところ。したがって、結果的に減る速度はもっと速いということになります。
 
そう考えると、公的年金の支給が始まる65歳の時点で、定年時の老後資金は減らしたくありません。つまり、少なくとも定年から65歳までは、生活費をまかなうだけの収入を得たいということ。ご主人は定年時の再雇用は望まないということですが、あるいはアルバイトでも構いませんので、定年後も一定の収入を得ることを目指してほしいと思います。
 
最後に保険について。ご夫婦とも死亡保障の付いた保険に加入されています。詳細は不明ですが、保険料は合わせて1万5000円程度でしょうか。であれば、終身保険で死亡保障100万円と考えられますが、貯蓄最優先の現状を考えれば、この保険料は割高。払済保険にして、新たに共済に加入してはどうでしょう。シンプルな総合タイプ(病気死亡500万円、入院5000円程度)で、掛け金は月2000円ほど。浮いた保険料は貯蓄に回しましょう。
 

相談者「Kママ」さんより寄せられた感想

深野先生この度は家計診断していただき、ありがとうございました。今まで何とかなるだろうと思いながら家計をやりくりしてきたこと、後悔しきりです。保険や積立など金額をきっちり把握することもできたので、今後は子どもの進学に合わせて計画的に貯金していくようにします。奨学金の手続きも始めました。親の私たちが返す予定で頑張ります。主人とも話し、長く働いてもらって安心できる老後を目指したいと思います。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武


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