アドバイス1 購入時期は5~7年後が望ましい
夢であるスーパーカー購入とそれを保管、そして楽しむための自宅を建てる。そのための資金についてのご相談ですが、結論からいえば、十分可能です。貯蓄ペースですが、給与からは毎月20万~25万円。平均して年270万円としました。また、年間50万円を積み立てている財形貯蓄はボーナスから捻出していると判断し、残りのボーナス分も実質、貯蓄か投資に回しているとのことですが、ここでは全額貯蓄に回すとすると、年間の貯蓄額はトータルで430万円となります。
スーパーカーと住宅の購入を同時期の7年後、40歳のときに設定してみます。その間、貯蓄額は3010万円増えますので、今ある貯蓄450万円と合わせて3460万円。他に投資商品が1200万円(評価額は変わらないとする)ありますから、金融資産は総額4660万円に積み上がっています。
まず、スーパーカーですが、車両価格を諸経費込みで上限の2500万円とします。実際の購入ですが、貯蓄ペースが高く、現金を多く用意できるということと、金利は住宅ローンより高めということで、現金購入とします。それでも、手持資金として2160万円がまだ残ります。
アドバイス2 住宅ローンの繰上返済、借り入れが大きい場合は積極的に
住宅費用ですが、諸経費や場合によっては設計料などのコストも含めて4000万円としました。手持資金として500万円程度を残すとすると、自己資金は1700万円ですから、住宅ローンとして借り入れるのは2300万円。ローンは40歳から20年間、全期間固定で金利1.8%とすると、毎月の返済額は11万4000円。購入後の家計ですが、住宅費は固定資産税も含めて月5万5000円増、車両費は月7万5000円増。結果、毎月の貯蓄ペースは10万円程度に落ちますから、他の生活費が変わらなければ、年間貯蓄は280万円。定年までの20年間で5600万円となり、退職金と合わせて6600万円が老後資金となります。
では、2年前倒しして5年後だとどうでしょう。用意できる自己資金が900万円近く減りますから、住宅ローンの借り入れが3200万円になり、返済期間は22年となりますので、金利が同じなら返済額は毎月約14万7000円と、7年後購入より3万3000円アップします。
ただし、その分、定年までの期間=貯蓄できる期間が長くなりますが、結果的には300万円ほど、先で示した老後資金より減額となります。それでも、詳しくは後述しますが、老後資金としては十分な額。したがって、スーパーカー購入と住宅を建てる時期は、5~7年後が望ましく、それより前倒しとなると自己資金が不足しますので、車両価格もしくは住宅コストを下げる必要が出てきます。
アドバイス3 投資比率は下げ、定年まではiDeCoを活用
60歳以降、大きな支出としては住宅の補修、リフォームは確実に発生するでしょう。他に、医療費や介護費用、あるいは長生きリスクを考慮しても、老後資金としては十分と考えます。また、上記試算では、昇給分も親御さんからの資金援助も考慮していません。つまりは、きびしめの試算ということ。しかも、60歳以降も働くなら、老後資金は実質増えます。そう考えれば、定年以降も引き続き、ある程度の期間、スーパーカーを楽しむことは十分可能でしょう。もちろん、買い替えをする場合、その頻度、価格によって途中で資金不足となる可能性もありますが、やすおさんであれば、それに関しての資金のコントロールはできるはずです。
また、40歳以降貯蓄ペースが高いので、積極的に住宅ローンの繰上返済を行うといいでしょう。返済期間を短縮する必要性は高くないですが、とくに、住宅購入を前倒しして、借り入れ額が大きくなった場合、支払利息の軽減でよりメリットが大きくなります。
スーパーカーと住宅の購入。それを資金的に可能としたのは、高収入であったり、独身を前提としている部分もありますが、やすおさん自身の家計管理も大きく起因しています。楽しみをクルマに特化して、他は一切、生活コストをかけないという割り切りが大きいと感じました。マネープランにはいろいろな側面がありますが、夢を実現させるためというのは、それこそ「夢」があります。ぜひ実現してほしいと思います。
資金管理について1点だけ。今後は徐々に投資比率を下げていき、利益が出ている投資商品、銘柄については早めに利益確定したいところ。実際、40歳の時点で、車両代資金と住宅購入の頭金等で、4200万円の現金が必要ですから、それまでに投資商品を現金化しておく必要があります。
40歳以降も、資金的に現在と同ペースで投資をしていく余裕はありますが、老後資金も現金だけで十分確保できるのですから、あえて余分なリスクを抱える必要はないと考えます。また、投資を行うのであれば、iDeCoを利用することおススメします(※)。掛金が全額、所得控除の対象となりますから、収入がある現役時代は所得税、住民税の節税につながります。
(※)勤務先に企業確定拠出年金制度があり、マッチング拠出を実施している場合はiDeCoを利用することはできません。
相談者「やすお」さんから寄せられた感想
アドバイスありがとうございました。実現可能とアドバイス頂きまして、夢を現実にできる自信が得られました。好きな車を購入できるようにこれからも頑張っていこうと思います!教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/清水京武
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