アドバイス1 保険は見直すべきだが、商品は比較検討を
現在の保険内容を見ると、独身のななさんに3000万円の死亡保障は不要ですし、商品名は「養老生命共済」ですが、定期保険にわずかな養老保険が付いているだけでほとんどは掛け捨てです。医療共済は80歳までの定期タイプ。女性の場合は75%が80歳まで生きていますから、本当に必要なときは保険期間が終わっている可能性があります。さらに、この内容から見ると保険料も高いので見直しには賛成です。ただ、検討中のものと決めるには再考の余地があるのではないでしょうか。まず、収入が少なくお金が貯まりにくいから貯蓄型にするという考え方には疑問があります。保険にお金を貯めてもイザというときに使えません(契約者貸付はあるが利息がかかる)。ある程度まとまったお金が手元にあり、すぐ使える方が心強いのではないでしょうか。保険内容だけを見ても掛け捨てならもっと割安な商品がありますし、貯蓄型保険はいったん加入すると見直しがしにくいというデメリットがあります。また、見直しを考えている商品はいずれも同じ会社のものですが、その会社に知人がいて勧められているのではないでしょうか。見直すときは、必ず複数のものを比較検討すべきです。
方法としては、まずインターネットを活用しましょう。いまの時代、ある程度の商品はホームページで試算することが可能です。次は保険ショップ。掛け捨ての商品を排除せず、数軒をはしごしてください。2軒目以降へ行くときは「他店ではこれを提案されたのですが」と資料を持参することも忘れずに。そうすれば違う切り口の提案をするはずですから、メリット・デメリットをしっかり説明してもらいましょう。保険ショップは手数料ビジネスですから保険料が高い=手数料が高い商品を勧めるでしょうが、あくまで自分のライフプランに合った商品を選ぶことが重要です。
アドバイス2 結婚へのプレッシャーが強くなることへの覚悟を
現在の収入で貯蓄を増やすには、何といっても実家で暮らすことが最強です。ただし30歳を過ぎてくると、両親を筆頭に親類縁者からの結婚へのプレッシャーが強くなることが想像できますから、それに負けない覚悟が必要です。そうなっても、もちろん勢いで自宅を飛び出してはいけません。将来への不安を感じマンションを買って自立しようとする女性が増える世代ですが、多額のローンを抱えるだけ。それで幸せになった人を私は見たことがありませんから、くれぐれも気をつけてください。ただし資産運用については、せっかく勤務先に企業型確定拠出年金(DC)の制度があるのだったら、利用しない手はありません。企業型は個人型と違い、運営管理機関の選定や口座管理手数料も企業が負担してくれます。加入者が決めるのは運用商品の種類や配分割合だけですから、まずは信託報酬が低いバランス型の投資信託で運用を始めてみましょう。値動きを見ているだけで、どういうことが起こると相場が動くのかといったことがわかってくるはずです。勉強することが目的なら、企業型DCがあるのにつみたてNISAで追加拠出する必要はありません。手元のお金は、まずは貯蓄を増やすことに使いましょう。
アドバイス3 転職して収入をアップすることが将来の不安解消への近道
「33歳までに結婚の話がなければ転職を考えるかもしれない」とのことですが、結婚とは関係なく最優先すべきは転職し収入アップをすることではないでしょうか。現在の収入では、どう頑張っても自立するのは難しいと言わざるを得ません。まずは一人で生活していけるだけの収入を得て、まとまった貯蓄ができれば、自分に自信ができて状況が打開できるように思います。基本的に転職は若い方が有利ですし、不景気のときの転職ほど厳しいものはありません。現在のように景気がよく人手不足の時期なら、いまよりいい条件で自分を高く売ることもできるかもしれません。一人暮しができる資産や収入があるのに実家にいるのと、一人では生活ができないから実家にいるのでは大きな違いがあります。結婚も誰かに頼ろうと考えてするのと、自立した人間同士がパートナーとして人生を共にするのでは、相手の選び方そのものも変わってくるのではないでしょうか。30歳という歳は、そんなにノンビリしていられる年齢ではありません。いま一番必要なことは、経済的に親から自立し一人で生きていける状況を作ることだと思います。
相談者「なな」さんから寄せられた感想
企業型確定拠出年金を始めることと、経済的に自立できるようにすることを目標に、色々進めていこうと思います。とても丁寧にアドバイスをくださり、ありがとうございました。教えてくれたのは……
藤川太さん
All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。
取材・文/鈴木弥生
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