女性の健康

高齢出産の定義は何歳から?高齢出産の割合とライフプランの考え方

【産婦人科医が解説】「高齢出産」の定期は普遍的なものではなく、社会的背景も加味されます。WHOは35歳以上の初産と40歳以上の経産、現在の日本では35歳以上の初産を「高齢出産」と定義しています。国内外の高齢出産の定義、割合、何歳まで産めるのかといった基本データを挙げつつ、高齢出産のメリット・デメリットに対する考え方について解説します。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

高齢出産の定義……高齢出産は何歳から? 超高齢出産とは

高齢出産とは……定義・割合・ライフプランの考え方

高齢出産とは何歳から? メリット・デメリットを紹介します。

「高齢妊娠」には、明確な定義がなく、一般的に妊娠率が低下し流産率が上昇し始める「36歳くらい」を一つの目安にしているケースが多いと言えます。「高齢出産」の定義は「普遍的なもの」ではなく、平均的な初産年齢などの社会的背景も加味して定義されています。WHOは35歳以上の初産、40歳以上の経産を「高齢出産」と定義しています。日本では、現在は、日本産科婦人科学会が35歳以上の初産を「高齢出産」と定義しています。
 

高齢出産の最高年齢は? 海外では72歳の出産報道も

高齢出産については、国外も含めると様々な記録がありますが、数年前にはインドで72歳の女性の出産が報じられ話題になりました。これは世界的に見ても極めて珍しい例です。

なお、私自身が当院で実際に経験した自然妊娠の最高年齢は47歳でした。
 

高齢出産は出産数全体の何割か……現在は3~4人に1人が高齢出産の時代

近年では、出産に占める高齢出産の割合は、よくいわれている通り増加傾向にあります。厚労省の調査によると、1990年代には高齢出産の割合は出産数全体の数%程度でしたが、2000年代には10%台、2010年代には20%台と上昇を続け、2016年には28%超、2019年になると約30%を記録しています。

現在は、出産される方の3~4人に1人が高齢出産という時代なのです。
 

高齢出産のメリット・デメリット

産む年齢を決めるのは産む本人なので、「高齢出産」と一括りにして良い・悪いをいえるものではありません。まずはそのことを念頭に置いていただければと思います。

■高齢出産のメリット
それを前提とした上で「高齢出産のメリット」を挙げるならば、親が年齢を重ねている分、精神的にも経済的にも安定していることが多い点です。これは出産・育児においてのメリットであるといえるでしょう。

■高齢出産のデメリット
一方で、流産率が高くなる点や母体合併症が多くなる点は、医学的なデータからもデメリットとして挙げられます。年齢によっては子どもが成人するまで健康に見届けられない可能性が高くなることもデメリットということになるかもしれません。

高齢出産の考え方・大切なのは「自分にあったライフプラン」を考えること

いずれにしても、現時点で34歳以下の方、特に30歳未満の方は、高齢妊娠・高齢出産のデメリットや、そもそも年齢によって妊娠率が下がるという、データから読み取れる客観的事実は事実として正しく認識して、自分にとっての「ベストな産み時」を考えることが重要です。「高齢出産にならないようにしよう」と考えるのではなく、「私的にはいつがいいのか」を考えてライフプランを立てるようにしましょう。

一方、すでに35歳を過ぎていて、妊娠を考えている人は「なぜこのタイミングでの妊娠・出産が自分と赤ちゃんにとってベストタイミングなのか」を明確にすることが重要です。なぜ2年前ではなく、1年後でもなく「今」なのかの意味付けをすることで、その年齢で産むことに重要な価値が生まれるのです。

【関連記事】

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます