BLUE GIANT

ジャズを題材にし、大人も胸が熱くなるとして話題の『BLUE GIANT』


温度が高すぎるため青く光る巨星を意味する『BLUE GIANT』。高校生の宮本大が世界一のジャズプレイヤーを目指す物語である。

小さい頃は「夢は大きく」と言っておきながら、「受験だ」「就職だ」と人生の岐路に立つと「夢だけでは食べられない」とあっさり違うことを言う。大人なんていい加減なものだ。

しかし、圧倒的な才能に出合った時、大人はどうするべきなのだろう。開花するのかわからないものの、おさめられない熱い想いに「あきらめろ」と言うべきか「自分で考えろ」と突き放すべきか、判断は難しい。石橋を用意するより、泳いで渡る力を育てることが大事だと思ってはいるが、いざとなるとヘッピリ腰である。

作品に登場する大人たちは見事だ。希望ある判断をシンプルに重ねている。

大のために働いたお金でサックスを買った兄、大の才能を見出し無償でサックスを教えた由井、文化祭で大と最高のセッションを見せたおばさん世代の黒木先生、かつての厳しい言葉を省みながら大たちをライブに導く平井、彼らもまた輝くGIANTである。

探り合いあい、競り合い、調和し、新しいものが生まれていくJAZZセッションに、自らの人生観をクロスさせてしまう奥深さも魅力的な『BLUE GIANT』。最終巻は決してハッピーではないが、それでも涙を見せず、懸命に胸を張り、前を向いた若者たちに涙が止まらなかった。

日本を飛び立った大の姿は『BLUE GIANT SUPREME』に続いている。しかし、若者賛歌に酔いしれている場合ではない、私たち大人もまだまだだ。
 
 

DATA
石塚真一|BLUE GIANT

出版社: 小学館
全10巻
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